企業型DC加入者の方がiDeCoに同時加入できる10月があと3ヶ月後に迫りました。加入できる期間を最大限活用したいと思っている方はそろそろ準備しましょう。手続きを進める上でのポイントを解説します。

iDeCoは申し込みから口座開設まで約2か月かかる

「え? 2週間ぐらいなんじゃないの?」と思われた方も多いと思います。実は、iDeCoの加入申し出をしてから実際に口座開設が完了するまでは最短で1か月、通常2か月程度かかります。これほど時間がかかるのは、加入資格の確認に時間を要するからです。ご存じのとおりiDeCoは国の年金である国民年金に上乗せする年金を作る制度なので、国民年金保険料を納めている被保険者であることが加入条件となっています。口座開設あたってこの加入資格確認を行う業務は国民年金基金が担っており、この確認に、現在は1ヶ月程度かかっているのです。

具体的には、国民年金基金はみなさんが金融機関に提出した加入申出書を金融機関から受け取り、日本年金機構に対して加入希望者の資格を月毎にまとめて確認をしているのですが、取りまとめの締切日に間に合わないと翌月に回ることになり、加入申出書類を提出してから2ヶ月かかってしまうことがよくあります。時間がかかり過ぎて不安になるかもしれませんが、書類不備などの連絡がなければ手続きは無事進んでいます。最初から、忘れていた頃にしか口座開設されない、と知っておいていただくと気が楽だと思います。

10月は企業型DC加入者のお申し込みが殺到することが予想されるため、すでに大手ネット証券では10月加入の先行受付を7月から開始すると加入受付画面で案内しています。通常は8月下旬、9月の書類受け入れが10月の口座開設ですから、2か月近く前倒しして受付開始するようです。他社も追随して早めに受付を開始すると思われますから、10月の加入解禁と同時に加入したい場合には、8月までに申し込みをされると良いと思います。

申し込み準備は7月から 金融機関の選択も慎重に!

8月に申し込みをするということはその前に、契約する運営管理機関・運用する商品・掛金の額を決定することと、勤務先に依頼して「事業主の証明書」という企業年金制度の加入状況を証明してもらう書類を作成してもらっていることが必要です。企業型と違って運営管理機関は自分で自由に決めることができます。7月ぐらいからiDeCoの情報サイトなどを使って、運営管理機関各社の口座管理料や商品を比較し、良さそうだと思う数社の金融機関から資料を取り寄せしてください。買いたい運用商品を取り扱っている運営管理機関を候補にするという選び方も良いと思います。

「数社から資料を取り寄せるのは面倒だ」と思われた方が多いと思いますが、私としてはこの手間はぜひかけて欲しいと思っています。その理由は大きく2つあります。

ひとつは、確定拠出年金アナリストとして運営管理機関を比較してみると、費用もサービスも大きく異なるからです。例えば毎月徴収される口座管理料は運営管理機関によって176円から589円までと3倍以上も違い、年間で5千円、20年ならば10万円もの差になります。コールセンターの対応力、WEBでの情報提供や加入後のフォローセミナーの有無なども大きく異なります。

2つめは、60歳以降年金を受け取り終えるまでの数十年にわたって付き合うことになるということです。つみたてNISAのようにとりあえず契約して、気に入らなければ翌年から他の金融機関で契約し、昨年までの資産は元の契約先の口座においていればいい、というようなわけにはいきません。iDeCoでは契約先を変更する際にはそれまでに積み立てた資産をいったん売却して現金化し、新しい契約先に持ち運び、ひとまとめにしなければなりませんから、残高の売買が発生しますし、移す作業の間は運用もできません。いったん契約すると他社に変更ということはあまりしないので、iDeCoの契約先金融機関は少し慎重に選んでいただきたいのです。

マッチングがある企業型DCに加入している方であれば、会社掛金が少ないときはiDeCo、一定の金額以降はマッチングを選択されるケースも多いと思うので、将来iDeCoの資産を企業型DCに取りまとめすることも見据え、移換手数料のかからない金融機関を選んでおいた方がいいかもしれません。

資料の取り寄せを数社から行うと、コールセンターに電話した時のオペレーターの対応、資料が届くまでの日数、届いた資料の見やすさに違いがあることが実感できると思います。それによって、金融機関のソフト面のサービスの質を見極めることができます。やはりこういったソフト面でクオリティの高い運営管理機関は商品やコストも加入者目線で整えられており、良いことが多いです。ぜひ、ひと手間かけて後悔しない運営管理機関選びをしてください。

企業型DCでの運用経験を活かして商品を決める

iDeCoでの運用商品の決定には企業型DCでの運用経験を活かし、ご自身のリスク許容度に合った商品配分をしてください。考え方としては2つあると思います。

①    企業型DCの運用と同じ資産配分にする
これまでの経験から値動きのブレ幅のイメージが掴みやすいのでマーケットが大きく変動しても冷静に対処できる。
②    企業型DCとは異なった値動きの資産に配分する
値動きの異なる資産に分散することは、価格のブレであるリスクの低減を図ることができる。

私はの考え方で基本的にはよいと思っています。逆にこの機会に企業型DCの配分が適切な配分になっているのか加入者WEBにあるシミュレーションなどを使って確認し、必要ならばまとまった資産がたまっている企業型DCの方も資産配分の見直しをしてください。

iDeCoの積立額を決める

お勤め先の企業年金制度ならびに企業型DCでの拠出額によって、iDeCoで拠出できる額は一人ひとり異なります。

<企業型DCのみ加入している場合>
原則2万円、ただし企業型DCの掛金と合わせて5万5千円まで

<企業型DCと確定給付企業年金にも加入している場合>
原則1.2万円、ただし企業型DCの掛金と合わせて2万7500円まで

お勤め先の退職金・企業年金制度によって違うiDeCoについて詳しく知りたい方はぜひこちらの動画を参照してください。⇒

勤務先でスムーズに事業主証明を作成してもらうコツ

加入申し出には勤務先で作成したもらった企業年金等の加入状況に関する「事業主の証明」が必要です。勤務先の方が「事業主の証明」の作成に慣れていれば問題ないのですが、企業型DCを導入されている会社では今までiDeCoにほぼ加入できない状況だったことから、「事業主の証明」の作成経験がないご担当者も少なくないと思います。そうすると、作成依頼をした際にちょっと冷たい反応が返ってくることがあるかもしれません。しかし、以下のように法令にも事業主の協力は明文化されており、ひるむ必要はありません

確定拠出年金法(平成13年6月29日法律第88号)
(個人型年金についての事業主の協力等)
第78条 厚生年金適用事業所の事業主は、当該厚生年金適用事業所に使用される者が個人型年金加入者である場合には、当該個人型年金加入者に対し、必要な協力をするとともに、法令及び個人型年金規約が遵守されるよう指導等に努めなければならない。
2 前項の場合において、国は、厚生年金適用事業所の事業主に対し、必要な指導及び助言を行うことができる

ただ、自分の勤務先の人事や総務の方に強く物言うのは憚られますよね。そんな皆様をサポートできればと、NPO法人確定拠出年金教育協会では動画を作成いたしました。⇒

事業主として行わなければいけないことや書類の記入方法などをコンパクトに解説していますので、よろしければご担当者の方にご案内ください。

10月加入の初回引落は11月26日、買い付けは12月入ってから

さて、10月に加入資格が取得できると、国民年金基金連合会から「個人型年金加入確認通知書」が、記録関連運営管理機関から「口座開設のお知らせ」や「ID/パスワード」がバラバラと届きます。この段階では残高はありませんがパスワードなどをなくす前に一度iDeCoの加入者WEBにアクセスしてブックマーク登録をしておくとよいと思います。

11月26日に初回の掛け金引落があり、そこから、加入時手数料(2829円)や口座管理料が引かれた額が初回の買い付け金になって、ご自身が指定した商品を買い付けます。企業型DCでは口座管理料などの手数料はすべて会社が負担してくれているので掛金がすべて運用商品の購入に回っていますが、iDeCoはそうはなりません。特に初回は3千円近い加入時手数料も引かれるので、買い付け額が大幅に少なくなります。ですから、購入した商品残高も少なくなり、初回買い付け後のiDeCoの時価評価額は自分が決めた掛金よりも大幅に少ないというのが一般的です。いきなり、元本割れしたような錯覚をしてしまいがちになりますから驚かないようにしてください。こういった手数料による目減り分も、年末調整で戻ってくる所得税・翌年以降軽減される住民税といったメリットで十分カバーされます。

今日がみなさんにとって一番若い日、つまり老後資金を準備できる期間を一番長くできる日です。ぜひそのチャンスを最大限生かして、安心老後の準備を始めてください。