インターネットでお買い物をするとき、皆さんはどのEC(※)サイトを利用しますか? おそらく「楽天市場」か「アマゾン」を利用するという人が多いでしょう。どちらも魅力あるサービスを展開しているため、いずれも使っているという人も少なくないかもしれません。

※ EC(electronic commerce):電子商取引。インターネット上で商品やサービスを売買すること。

アマゾンを運営する「アマゾン・ドット・コム」は7月5日に誕生しました。創業期から急速に成長し、今やビッグテックと呼ばれる巨大IT企業群の一角を占めています。今日は世界的EC企業アマゾンについて詳しくなりましょう。

“ECの巨人”は自宅ガレージから始まった

アマゾンは1994年、創業者ジェフ・ベゾスの自宅ガレージで誕生しました。当初はインターネットを通じ、主に書籍の販売を手掛けます。わずか3年後にはナスダック市場に上場し、年間の売上高は1億4800万ドルにまで到達していました。1ドル=135円で計算すればおよそ200億円もの売り上げに相当します。創業当初からすさまじいスピードで成長していたことが分かりますね。

アマゾンの成長率は今日でも目覚ましく、直近の2021年12月期で売上高は前期比およそ21.7%、純利益はおよそ56.4%増加しました。アマゾンは“ECの巨人”と呼ばれるほど巨大企業になりましたが、成長力はまだまだ健在のようです。

【アマゾンの業績】

出所:Nasdaq AMZN Financials

ただし、2022年1〜3月期は38億4400万ドルの純損失となり、2015年1〜3月期以来7年ぶりの最終赤字に転落しました。売上高は1〜3月期で過去最高となりましたが、出資する電気自動車メーカーの株式評価損を計上したことが響いたようです。

資産23兆円のビリオネアは慰謝料も破格

アマゾン創業者ジェフ・ベゾスは億万長者としても有名です。フォーブスの世界長者番付(Forbes Billionaires List)では2021年版まで4年連続首位となり、今年も総資産1710億ドルで2位にランクインしました。1ドル=135円で換算すると実に23兆円に相当する金額です。ネット証券大手「SBI証券」の預かり資産が20兆3142億円(連結、2022年3月末時点)ですから、ジェフ・ベゾスがいかに巨大な資産を持っているかが分かりますね。ちなみに2022年の首位は電気自動車メーカー「テスラ」の創業者イーロン・マスク(総資産2190億ドル)が獲得しました。

ジェフ・ベゾスの巨額資産のほとんどはアマゾン株式が占めているとみられています。アマゾン株式はその成長力を基にこれまで大きく上昇してきました。2022年6月27日時点で株価は113.22ドル、時価総額は1兆1500億ドルです。今年は下落傾向にありますが、それでも20年前の143倍以上の株価を維持しています。

【アマゾン 過去20年の株価チャート(2022年6月27日時点)】

Investing.comより著者作成

ジェフ・ベゾスはアマゾン株式のおよそ10%を保有しているとみられ、単純計算すると1150億ドルをアマゾン株式が占める計算です。

ジェフ・ベゾスは以前、もっと多くのアマゾン株式を持っていました。しかし2019年、保有割合を大きく減らすことになります。離婚に伴う慰謝料のためで、ジェフ・ベゾスは離婚した元妻に350億ドル相当のアマゾン株式を譲渡しました。当時のレートで約4兆円にもなり、慰謝料としては過去最高額とみられています。

巨額慰謝料を受け取った元妻は、今年のフォーブス世界長者番付で30位にランクインしました(総資産436億ドル)。世界トップレベルの富裕層は離婚劇も桁違いですね。

小売を襲う「アマゾンエフェクト」とは

アマゾンはその影響力から「アマゾンエフェクト」と呼ばれる現象も引き起こしました。アマゾンの企業活動によって引き起こされるさまざまな影響の総称で、特にスーパーや百貨店といった既存の小売店の業績悪化を招いたとされています。消費の場がリアルからインターネットへ移ったことで、実店舗で商品を販売する小売店には打撃となりました。

さらにアマゾンは実店舗の経営にも乗り出します。2015年に書籍を対面で販売する「アマゾン・ブックス」を出店し、2017年には食品スーパー「ホールフーズ・マーケット」を買収しました。インターネットで覇権を取ったアマゾンが実店舗でもシェア獲得を目指す構図で、既存の小売店におけるアマゾンエフェクトは今後も吹き荒れそうです。

もっとも、コロナ禍における実店舗経営はアマゾンにとっても試練だったのかもしれません。2022年3月、アマゾンは戦略の見直しに伴いアマゾン・ブックスを含む3つの実店舗ブランドの閉店を発表しました。

アマゾンが現在持つ実店舗ブランドは、レジがないコンビニとして話題を集めた「アマゾン・ゴー」、生鮮食品店の「アマゾン・フレッシュ」、アパレル店「アマゾン・スタイル」の3ブランド、そして2017年に買収したホールフーズ・マーケットなどです。アマゾンはリアルでも覇者となれるのか、注目しておきましょう。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。