最近話題の岸田首相が掲げる「資産所得倍増プラン」、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の改革案が2022年末までに策定される、とのこと。20代の皆さまも、他人事(ひとごと)ではなく、自分事(じぶんごと)として注目してほしいですね。

先日、ちょうどタイミングよくNISA利用状況に関するアンケート調査結果※1が公表されました。今回はその調査結果をもとに、20代の皆さまでNISAをやっている人のリアルを一緒に探ってみたいと思います。

※1 日本証券業協会、日本取引所グループ「」(2022年6月)

20代でNISAの認知や利用が広がったワケ

それでは早速、20代の皆さまのNISAの認知状況と利用状況を確認してみましょう。

 

※2 「前回」とは類似の調査である、金融庁「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査」(2016年2月)のこと。以下、「前回」の項目は同調査からの数値である。

まずは認知状況。NISAを知っている人やNISAに詳しい人が増えています。特に20代、30代を中心に、若い世代でNISAの認知が広がっている、そんな様子が確認できますね。

 

次に利用状況。どの年代でもNISA口座を開設している人が増えています。ところで、前回調査は2016年2月。2018年1月から始まった、つみたてNISAの制度開始前になります。一般NISAとつみたてNISAを比較すると、前回調査から利用が増えたのは、ほぼほぼつみたてNISAですね。こちらも20代、30代を筆頭にして、若い世代で利用者が増えています。つまり、つみたてNISAという制度が20代や30代の若い世代に刺さったからこそ、NISAの認知や利用が進んでいる、そういうことだと思います。

20代にとってNISAは、もはや預貯金代わり!?

次に、NISA口座を開設した理由。「老後の資金を蓄えるため」が最も多く、「預貯金だけでは貯蓄として不十分だから」「余剰資金の運用のため」といった理由が続きます。年代別だと、40〜50代は「老後資金」、20代は「預貯金の代替」、70代は「余剰資金運用」として、NISAやつみたてNISAを利用しています。特徴が表れていて面白いですね。

こうした年代別の特徴は、NISA口座の資金をどこから用立てているのか、そんなアンケート結果からも読み取れます。

 

「毎月の給与」と「預貯金で貯めていた資金」がNISA口座への2大供給源になりますが、年代別に綺麗に逆相関の関係にありますね。前者は若い世代で多く、後者は高齢世代で多い、ということです。

改めて思うのは、「貯蓄から投資へ」のスローガンだけでは不十分なんだろうなぁ〜ということです。特に20代の皆さんは、貯蓄としてつみたてNISAを利用する、つまり、「所得から投資を活用した貯蓄(貯蓄=投資)」なんですね。スローガン一つとっても、そんな利用実態(=20代のリアル)を踏まえた、きめ細やかな啓発活動が、さらなる投資普及には必要なのかもしれません。

NISAを通して、投資への意識が劇的に変わる…!?

最後に、実際にNISAを利用した20代の皆さんは、どんなふうに投資のことを考えているのでしょうか? 言わば、NISAのBefore/After、そんなことを探ってみました。

“Before NISA”では、投資は必要だと思うけど、投資になかなか踏み出せない、そんな状態だと思います。なぜ、投資に一歩踏み出せないのか、金融庁による前回調査(金融庁「国民のNISAの利用状況等に関するアンケート調査」〈2016年2月〉)によると、その理由は「まとまった資金がないから」「投資の知識がないから」「投資は損をしそうで怖いから」。私はこれを人が投資をしない3大理由と呼んでいますが、“After NISA”でその意識がどのように変わっているのでしょうか。今回のアンケート結果(下表)と比べると、特に20代、30代の変化が面白いですね。

 

NISAを始めた結果として、投資は少額から始められること(上表の①、以下同じ)、知識としての長期投資や分散投資の大切さ(②)、そして、やってみたら投資はそれほど怖いものではなかった(⑤)、そんな気づきを得ているみたいですね。

つまり、投資をしない3大理由が、NISAを実際にやってみることで全て解消されているのです。要は、投資は「習うより、慣れよ!」、そういうことなんだと改めて思いました。

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以上、最近公表されたアンケート調査結果をもとに、NISAで投資をしている20代の皆さまのリアルを探ってみました。

NISA制度の認知と利用が広がっていますが、その実態は、特に20代や30代の若い世代を中心に、つみたてNISAという制度が支持されている、そういうことだと思います。

そして、貯蓄意識で預貯金代わりにNISA(特に、つみたてNISA)を利用している、そんな20代の利用実態が広まることで、「投資」という言葉にハードルを感じている若い人たちの中からも「まずはつみたてNISA、やろうかな?」なんて思いが芽生えてくるのではないでしょうか。さらには、実際にNISAを利用すると、投資に対するイメージが、ほぼほぼポジティブになる、そんな好循環がNISAという制度にはあるのです。これは最近までの世界的な株高が味方している、ということだけではなく、つみたてNISAが「長期・積立・分散投資」という投資の3大原則をうまく組み込んでいる、そんな制度だからだと思います。そして、岸田首相が掲げる「資産所得倍増プラン」における、さらなるNISA改革にも大いに期待したい、そんなふうにも思います。