皆さんは生協(消費生活協同組合)を利用したことがありますか? 「CO・OP(コープ)」の愛称でも呼ばれますが、自宅まで食材を運んでくれる「宅配」や少ない掛け金から加入できる「CO・OP共済」などの人気サービスを提供しています。学生時代は大学生協を利用したことがある人もいるのではないでしょうか。2005年には『生協の白石さん』という本が人気を集めたことも記憶に新しいですね。

7月30日は「生協の日」です。今日は生協について注目してみましょう。

労働者の生活を守るため1844年にイギリスで発祥

生協は協同組合の1つです。初めての協同組合は1844年にイギリスで誕生した「ロッチデール公正開拓者組合」だといわれています。

当時のイギリスは産業革命にあり、経済発展の一方で労働者の搾取が問題となっていました。労働者階級の人たちの生活は苦しく、質の悪い商品を売りつけられるようなこともあったようです。こういった劣悪な環境を背景に、労働者たちの間で「自分たちの生活を自分たちで守る」という考えが芽生え始めます。

ロッチデール公正開拓者組合は、そんな人たちの思いで設立されました。28人の労働者が1人1ポンドずつ出し合い、小麦粉などの販売を始めたのです。組合員は1人1票を持ち運営に参加し、販売などで得られた利益は公正に分配するよう定めました。これを「ロッチデール原則」と呼び、今日まで協同組合の基本的な考えとして受け継がれています。

【ロッチデール原則】
1.購買高による剰余金の分配
2.品質の純良
3.取引は市価で行う
4.現金取引
5.組合員の平等(1人1票)
6.政治的・宗教的中立の原則
7.組合員の教育促進

出所:日本生活協同組合連合会 協同組合の歴史

現在の生協も組合員1人1人が参加し助け合いながら運営されています。参加するためには出資金を支払う必要がありますが、組合員になれば生協のさまざまなサービスを利用できるようになります。出資金は脱退時に返還されるケースも多いため、一度加入を検討してみてはいかがでしょうか。

【「消費生活協同組合法」第21条(払戻請求権)】
脱退した組合員は、定款の定めるところにより、その払込済出資額の全部又は一部の払戻しを請求することができる。

引用:e-GOV法令検索 消費生活協同組合法

「共済」と「保険」の違い

ところで、生協は「CO・OP共済」という保険のような商品を取り扱っています。ラインアップも充実しており、入院や手術などを保障する医療保険に相当するものや、自宅の損害などを補償する火災保険に相当するもの、自動車事故の賠償責任などを補償する自動車保険にあたるものなど、商品の取り扱いは一般的な保険会社に引けを取りません。

保険と共済はどう違うのでしょうか? 大きな違いはその目的にあります。保険は一般に営利を目的に運営されますが、共済は営利を目的としていません。組合員やその家族といった限られた範囲全体の幸福を目的に運営されています。その一環で、掛け金(保険料に相当)の還元率の大きさをうたう共済も少なくありません。中には集めた掛け金の100%還元を目指している共済もあります。

また保障内容の違いもあります。商品次第というところもありますが、一般的な保険は保障の範囲を広くしたり、数億円の保険金を設定したりと、手厚い内容で契約可能です。それに伴い保険料が高くなることもあるでしょう。一方、共済の保障内容は小規模にとどまるものが多く、保険と比べると契約できる保障範囲や共済金(保険金に相当)が限定的です。しかしその分、少ない掛け金で加入しやすいでしょう。

もっとも、保障内容と保険料(掛け金)は基本的につり合うため、そのいずれかだけでどちらが優れているか断じることはできません。保障内容が手厚いなら保険料(掛け金)も高いはずで、保険料(掛け金)が少ないなら保障内容もそれなりになるためです。保険と共済を商品として見たとき、両者の違いが直接的に優劣を分けることにはならないでしょう。

加入者全体で支え合うという仕組みは保険も共済も変わりません。いずれの商品に加入する場合でも、契約内容をしっかり確認し、自分にぴったりのものを選ぶようにしましょう。

「エシカル消費」とは?

生協は「宅配」や「店舗」で食品などの商品を販売していますが、取扱商品には「エシカル消費」に着目したものが少なくありません。エシカル消費とは何なのでしょうか?

エシカル消費とは、消費者が自ら社会的な課題に注目し、その解決に貢献する消費行動をいいます。エシカル(ethical)は「倫理的」といった意味を持つ英単語で、エシカル消費を直訳すれば「倫理的な消費」という意味になります。

通常、商品やサービスは値段などを基準に選ぶことが多いでしょう。エシカル消費では「その商品やサービスを選ぶことで、社会に良い影響を与えるか否か」を基準に判断します。

世の中の商品やサービスはさまざまなプロセスを経て生産されます。残念ながら、中には望ましくない方法で生産されているものもあるでしょう。知らずに購入してしまうと、間接的にそれらに加担してしまいかねません。エシカル消費はそういった事業者へ資金が流れないよう、その商品やサービスがどのように生産・提供されているかまで判断し、消費の力をもって社会を望ましい姿へ導いていこうという狙いがあります。

生協は持続可能な社会実現に役立つ商品を2021年に「コープサステナブル」としてシリーズ化しました。共通のロゴが記載されているため、ひと目でエシカル消費につながるか判断できるでしょう。

同じようなマークは生協の商品以外でも見つけることができます。誰もが簡単にできる社会貢献として、エシカル消費を意識してみてはいかがでしょうか。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。