資産運用に取り組む人の多くは証券会社に口座を持つことになります。NISA(ニーサ)やiDeCo(イデコ)といった優遇制度も充実してきており、証券会社に口座を開設する人はおおむね増加してきました。中には1社で800万以上の口座を持つ証券会社も登場してきており、口座開設を検討する人も多いのではないでしょうか。

【証券会社の口座数】

日本証券業協会より著者作成

好調な証券業界でも国内首位のシェアを誇るのが「野村證券」です。江戸時代から続く両替商を祖に持ち、今日まで大きく成長してきました。8月7日はその創業者、2代目野村徳七(のむら・とくしち)の誕生日です。

今日は野村グループの歴史と証券会社の役割、また新しいタイプの証券会社「スマートフォン証券」について焦点を当ててみましょう。

国内最大手「野村證券」の創業者

野村徳七は1878年に生まれます。偶然にも東京と大阪に株式取引所が開設された年でした。生家は「野村商店」という両替商を営んでいましたが、両替は弟に任せ、徳七は株式の取り次ぎを行うようになります。

野村商店は1917年に株式会社へ改組され、1926年1月4日には「野村證券」として営業を開始しました。当時の社員は84人と少数でしたが、現在は世界30カ国以上に2万6000人以上の従業員を抱える巨大企業となっています。顧客からの預かり資産は100兆円を超えており、他社の追随を許していません。まさに国内証券業のリーディングカンパニーといえるでしょう。

【主要証券会社の預かり資産】
・野村証券:119.5兆円(2022年5月)
・大和証券:72.8兆円(2022年6月)
・SMBC日興証券:65.0兆円(2022年6月)
・みずほ証券:48.5兆円(2022年6月)
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券:42.8兆円(2022年6月)
・SBI証券:23.1兆円(2022年3月)
・楽天証券:16.6兆円(2022年6月)

出所:各社公式ページ、決算資料より

【野村ホールディングスの業績】

出所:野村ホールディングス 2022年3月期決算短信より

証券会社の役割

ところで、証券会社にはどのような役割があるのでしょうか。1つには企業の上場をサポートするという役割があります。

自社を上場させる場合、まずは社内整備を進めなければいけません。上場企業となるためには取引所の審査を受ける必要がありますが、審査にはさまざまな基準があり、未上場企業は基準を満たしていないことが一般的です。そこで、上場に向けて基準に適合するよう社内を整備する必要がありますが、証券会社はそのサポートを行います。

この一連のサポートを行う証券会社を「主幹事証券会社」といい、投資家の募集をしてもらったり、上場後の管理をしてもらったりと、上場企業にとって何かとお世話になることが多くなります。

ただし、証券会社のこのような業務を「引受業務」といいますが、中堅の証券会社やネット証券では引受業務を行わないことも珍しくありません。この点を踏まえると、証券会社の役割は株式注文の取り次ぎや金融商品の販売にあるといえるでしょう。

証券会社は株式注文を取引所に取り次いだり自社が取引の相手方となったりして、顧客の注文が成立するよう働きかけます。また株式に限らず、債券や投資信託といった金融商品を幅広く販売します。取扱商品に差はあるものの、これらの業務は多くの証券会社が行っています。証券会社は金融商品を扱う百貨店というイメージが近いかもしれません。

しかし株式や債券を発行する企業などから見ると、証券会社は資金調達のサポート機関にも映ります。証券会社は、資産を運用したい人と資金を調達したい人をつなぐ重要な役割を果たしているのです。

「スマートフォン証券」とは?

近年は新しい業態として「スマートフォン証券」と呼ばれる証券会社が増えてきました。スマートフォン証券とは、スマートフォンからの取引を前提としたインターネット証券です。小さい画面でも操作しやすいよう、デザインや取扱商品をあえてシンプルにしている特徴があります。

スマートフォン証券のはしりは「PayPay証券(旧:ワンタップバイ)」といわれています。スマートフォンから日米の株式を少額で購入できるサービスを先駆けて展開し、多くの話題を集めました。なお、スマートフォン証券を指す「スマホ証券」は同社の登録商標となっています。

PayPay証券のように、スマートフォン証券は少ない金額で投資できることも多く、国内株式を1株単位(通常は100株単位)や1000円単位で売買できるサービスや、投資信託を100円や1000円から購入できるサービスを展開しています。

このような特徴から、スマートフォン証券は若年層や投資初心者に選ばれてきました。例えばスマートフォン証券の1つ「LINE証券」は2021年11月に100万口座を突破しますが、2019年12月の調査では口座開設者の53%を20〜30代が占め、同じく投資未経験者が51%を占めています。PC向けの取引ツールや大きな最低投資額にハードルを感じる人がスマートフォン証券に流入しているのかもしれません。

これから資産運用に取り組もうと考えている人は、スマートフォン証券に口座を開設してみてはいかがでしょうか。

【主なスマートフォン証券】
・PayPay証券
・LINE証券
・SBIネオモバイル証券
・CONNECT(コネクト)
・tsumiki証券

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。