〈前編のあらすじ〉

中堅IT企業に勤める岡部大輔さん(仮名)は2年前に派遣社員の妻と結婚。待望の第1子が年末に誕生予定で、仕事もプライベートも順調そのものでした。

ところが、つわりの重い妻の体を気遣った義母が毎日岡部さんの自宅に入り浸るようになり、生活にいろいろと口出しするようになったことで状況が一変。義母の肩を持つ妻の態度にもストレスがたまっていきます。

そしてある日、ついに我慢の限界を超える事件が。子供の学資保険加入を強要してくる義母に、積み立て投資を検討している岡部さんは真っ向から反対。すると義母は烈火のごとく怒り出し……。

●ブチ切れ寸前! バブル世代の義母の“ありえない”行動… 

専門家に相談、ジャッジを仰ぐことに

子供の学資保険を巡って義母と一触即発状態になった一件で、私は専門家の助言を受ける必要性を強く感じるようになりました。幼少時から“良い子”だった妻は、ずっと義母に従順だったのでしょう。しかし、今度は自分が母親になるわけですから、何でも義母任せでなく、妻自身が主体的に判断してくれないと困ります。一方で、私が考えていることについても、それが適切なのかどうか専門家のジャッジが欲しかったのです。

そんな時、インターネットで私の希望にぴったりな専門家を見つけました。それが、心理学を学ぶファイナンシャルプランナー(FP)の城田さんです。

妻には「子供も生まれることだし、これからのマネープランについて専門家のアドバイスをもらおうと思って」と説明し、義母が所用で来られない日に2人で自宅近くのファミレスで城田さんと会うことにしました。

「保険は裏切らない」義母の教え信じる妻

結婚してからは私の収入で生計を立ててきたこともあり、妻の年収くらいは把握していましたが、資産についてはノータッチでした。ですから、その時、妻の資産の9割が保険商品に置いてあることを知って驚きました。城田さんも同じだったらしく、「奥さまの年齢では珍しいですね」と理由を尋ねたところ、妻はこう説明しました。

「株式は紙クズになるけれど、保険は裏切らないから」

それもまた義母の影響だったようです。株式や不動産に手広く投資していた親族がバブル崩壊で破産の憂き目に遭って以来、義母は投資を目の敵にするようになり、妻にも「株式投資はギャンブル。運用するなら保険が確実」と教え込んでいたのです。

そんな妻に、城田さんは穏やかに話しかけました。

「私は世の中に絶対確実なものはないと思っています。それは、資産運用の世界も同じです。ですから、値動きの異なる複数の金融商品に資産を振り分けて、1つが失敗しても他でカバーできるようにしておくことが大切なんです」

そして、株式投資も短い期間で結果を出そうとするとギャンブルになってしまう可能性が高いけれど、時間をかけて分散投資をしていけば安定的に利益を上げやすくなること、さらに、自分で銘柄を選ぶ自信がなくても、市場全体に投資したり、投資の専門家が銘柄を選んでくれたりする投資信託という便利な金融商品もあることを丁寧に説明してくれました。

マイナス金利の今、学資保険は“元本割れ”も

妻が理解した様子を見て、話題は保険へと移りました。「今から30年くらい前の貯蓄性保険は『お宝保険』と呼ばれていたんですよ。お母さまが奥さまに掛けた学資保険だと、恐らく、払った保険料の1.3〜1.5倍くらいの保険金が戻ってきたはずです」。妻は城田さんの言葉に目を丸くしました。城田さんは大きくうなずいた後、次のように続けました。

「でも、マイナス金利の今、学資保険は払った保険料の分も戻ってはきません。言葉を変えれば“元本割れ”です。こういう時代は、保険で運用しようと考えるのではなく、保険は万一のための保障と割り切った方がいいでしょうね」

妻は城田さんの話を受け止めながらも、いまひとつ納得できない様子でした。「母は私に間違ったことを教えたのでしょうか?」。城田さんは、そんな妻の目を見ながら、諭すように言いました。

「そうではありません。お母さまはそれが正しいと考えていらっしゃるのです。ただ、時代が変わって、お母さまの常識が今の常識ではなくなっていたというだけです」

妻は、その城田さんの言葉で吹っ切れたようでした。帰途、小さいけれど決意が感じられる声で、「ママには私から話をするから」と伝えてきました。そして、母娘の間でどんな話し合いがあったのかは知りませんが、その後、義母がわが家を訪れる回数はめっきり減りました。

一触即発の危機を回避、義母も資産運用に興味

城田さんの助言もあって、子供の学資保険の加入は見送り、代わりに今からつみたてNISA(少額投資非課税制度)を、そして私と妻の老後のためにiDeCo(個人型確定拠出年金)の積み立ても始めることにしました。取扱金融機関や銘柄の比較サイト「つみたてNISAナビ」や「iDeCoナビ」から資料を請求して、最終的にここと決めた金融機関で手続きを行い、つい最近、銀行口座から初回の引き落としが行われたところです。

先日、妻がこんなふうに話してくれました。「名前とか、教育資金とか、ベビー用品とか、生まれてくる子供のために準備をするのって本当に楽しいね。ママもこんな気持ちだったのかな」。聞けばあの後、妻の勧めで義母も城田さんの面談を受け、「娘さん夫婦には娘さん夫婦の考えがあります。お母さまはどんと構えて見守ってあげませんか?」とやんわり釘を刺されたようです。義母はカウンセラー的な助言もしてくれる城田さんのことをすっかり気に入り、資産運用や高齢の義祖父母の相続など、あれこれ相談をしていると聞きました。

義母との一触即発の危機を回避できたのは、城田さんがお金のことだけでなく家族それぞれの思いに真摯に向き合ってくれたおかげです。ぶしつけながら初対面の時に「なぜFPに心理学が必要なのですか?」と尋ねたら、こんな答えが返ってきました。「多くの人間は理性よりも感情で動きます。その時々で適切なアドバイスを差し上げるには、複雑で流動的な人間心理の研究が欠かせないからです」。その説明には説得力がありました。

城田さんがいなかったら、私も自分を抑えることができず、妻を巻き込んで義母との関係をこじらせていたかもしれません。絶妙なタイミングで城田さんと出会えたことに感謝すると同時に、「お金と人間心理の専門家」というユニークな立ち位置で、今後も末永くわが家の家計や私の仕事をサポートしていただけたらと思います。

●義母の行き過ぎた介入にブチ切れ寸前! 

※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。