「働きたいから働く」、そんな当たり前のことができない女性が日本には多くいます。「男女共同参画白書(2022年)」によると、出産や介護などのために就業を希望しながら求職していない女性は約171万人に上るようです。全体の労働者数も、女性は男性を大きく下回ります。

【労働者数の比較】

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より著者作成

女性が働きにくい状況の打開を目指し、2014年に「女性活躍推進法」が建議され、2015年に成立しました。

9月30日は同法が正式に建議された日です。今日は男女の格差と、女性活躍推進法についてチェックしてみましょう。

151年=男女間の経済格差が埋まるために必要な時間

世界経済フォーラムが発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップレポート 2022」では、全般的な男女間格差の解消には132年かかると予測されました。2021年から4年短縮されたものの、世界的に拡大した新型コロナウイルスの影響などもあり、大きな進捗はなかったようです。

特に経済的な格差解消には、さらに長い151年を要すると指摘しています。同レポートでは男女間の格差を「経済」「教育」「医療(健康)」「政治参加」の4分野で評価する「ジェンダー・ギャップ指数」を公表していますが、「経済」は「政治参加」に次いで悪い数値となりました。

【ジェンダー・ギャップ指数を構成する4分野のスコア(2022年)】
・経済:0.603
・教育:0.944
・医療(健康):0.958
・政治参加:0.220
(参考)ジェンダー・ギャップ指数(総合):0.681

※男女が完全に平等な状態を「1」とした場合の数値
※対象は全世界

出所:世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2022

日本における男女間の格差は?

グローバル・ジェンダー・ギャップレポートは、国別のジェンダー・ギャップ指数ランキングも公表しており、2022年はアイスランドが13年連続で1位となりました。ちなみに日本のランキングは146カ国中116位です。4分野別に見ると、日本は世界の傾向と同じく「経済」と「政治参加」の格差が大きいため、全体の足を引っ張りました。

【ジェンダー・ギャップ指数における世界ランキング(2022年)】
1位:アイスランド(0.908)
2位:フィンランド(0.860)
3位:ノルウェー(0.845)
116位:日本(0.650)

※()は総合スコア

【日本におけるジェンダー・ギャップ指数4分野の順位とスコア(2022年)】

 

出所:世界経済フォーラム Global Gender Gap Report 2022

日本の男女間における経済格差はどれくらいあるのでしょうか。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(2021年)」によると、男性の平均賃金が33万7200円(月額)であるところ、女性は25万3600円(同)にとどまりました。年間でおよそ100万円、40年間働くとすると約4000万円もの格差が生まれる計算です。

【平均賃金(月額)】
・女性:25万3600円
・男性:33万7200円

出所:厚生労働省 令和3年賃金構造基本統計調査

年齢別に平均賃金を見ると、年齢が進むにつれて男女間の格差が拡大していることが分かります。

【年齢階級別、平均賃金(月額)】

厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より著者作成

他の調査でも男女間の経済的格差の大きさが読み取れます。内閣府男女共同参画局の「男女共同参画白書(2022年)」によると、世帯年収300万円未満の割合は女性の方が大きくなりました。確かに、日本には男女間に少なくない経済的な格差があるようです。

【世帯年収300万円未満の割合】

※2017年における世帯主が就業している世帯

出所:男女共同参画局 令和4年版男女共同参画白書

「女性活躍推進法」で何が変わる?

冒頭紹介した「女性活躍推進法」は、企業に女性が働きやすい職場環境づくりを促す法律です。いくつかのルールが整備されましたが、そのうちの1つが女性の労働環境に関する情報の公開義務です。常時301人以上の労働者を雇用する企業に対し、以下のような情報を公開するよう義務付けました。

【企業に公表が義務付けられる項目】

※労働者301人以上の事業主が対象

出所:厚生労働省 女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ

企業に女性の働きやすさに関する情報を公開させることで、女性が就職先を選びやすくなるほか、企業にも女性が働きやすい環境を整備させる狙いがあります。

また、国は女性の活躍に関する取り組みが優良な企業の公表を始めました。厚生労働省のウェブサイトなどで確認できるため、気になる人は一度確認してみてください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。