投資家は人気のある大型株に注目しがちで、投資信託も大型株を対象にしたファンドが人気だ。ただ、中小型株式ファンドでも長期にわたって好リターンをだしているものもあり、投資家はもっと中小型株にも注目するべきであろう。

この記事では、中小型株の魅力と注目のファンドについて紹介していく。

中小型株とは

「中小型株」とは、株式市場において発行株式数や時価総額(株価×発行済み株式数)が相対的に低い中・小型の株式のことである。一方、発行株式数や時価総額が相対的に大きいものを「大型株」という。

分類上、時価総額でいくらという明確な定義はない。ただ、東京証券取引所では時価総額の大きい上位100社を「大型株」とし、「TOPIX100」に採用。次に時価総額の大きい400社を「中型株」とし、「TOPIX Mid 400」に採用している。

そして、このいずれにも該当しない銘柄はすべて「小型株」となる。中型株と小型株を総称して「中小型株」と呼び、大型株より規模が小さい分類となっているのだ。

中小型株のメリットは、大きな利益を狙えることだ。 発行株数が少なく時価総額が小さいことから株価の変動リスクが高く、上下どちらにも大きく動く可能性があるからだ。 また、大型株に比べれば株価指数や海外市場の影響を受けにくいという特徴がある。

ただ、中小型株は流動性が低く、自由に売買できない流動性リスクがある。また、倒産や上場廃止などの信用リスクがあり、投機的な動きに大きな影響を受けるので、株価も乱高下しやすい。

日本株の中小型株式ファンドの魅力

中小型の個別株を取引するのはリスクが高いので、複数の銘柄に分散投資できる中小型株式ファンドがおすすめだ。

日本の中小型株式ファンドとは、主に日本国内の中小型株に投資するファンドのことである。中小型株は、大型株に比べて時価総額が小さいため、値幅が比較的大きくリスクが高いといわれるが、実際には、投資信託全体の中で優れたパフォーマンスをだしている中小型ファンドも少なくない。

2022年9月末時点における日本株の中小型株式ファンドのリターンランキング上位と、純資産残高上位ファンドは、以下の通り。

出所:三菱アセット・ブレインズの提供データを基に編集部作成

国内で見逃されている中小型株が多い理由

国内では見逃されている中小型株が多い。運用会社のアナリストがカバーしていない中小型株も多く、投資先としての中小型株に関する調査が不十分だからだ。その結果、中小型の優良企業や業績が好調な企業が見落とされ、株価の極端なミスプライスにつながっている場合もある。

また、日本の中小型株が見過ごされる理由として、日本の中小型株は内需型企業が多い点もある。日本の国内市場は、長引くデフレ経済と少子高齢化で成長力に乏しいと見られているため、なおさら調査しにくいのだ。

さらに、中小型株式ファンドは、パフォーマンスが良くても、純資産が増えない傾向がある。金融機関が顧客に基準価額の上がっている投資信託の解約を促し、その売却資金で新規設定されたファンドを購入させることがあるからだ。

欧米では基本的に長期的な運用歴を持つファンドほど人気がある。日本でも、長期でのパフォーマンスがいいファンドが評価されるという当たり前の市場になることが必要だ。

注目の中小型株式ファンド

中小型株式ファンドの年初来リターン上位や純資産残高上位の中から、注目のファンドを3つ紹介する。

イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド

中小型株式ファンドの2022年9月までの年間リターンランキング1位は、「イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド」の4.01%だった。同ファンドは国内の中小型株に投資し、中長期的な値上がり益の確保を目指して運用を行うアクティブファンドで、9月末時点における組入上位銘柄は、以下の通り。

1.NOK  3.0%

2.大東建託  3.0%

3.コンコルディア・フィナンシャルグループ 3.0%

4.クレディセゾン 3.0%

5.リコー 2.9%

8月末の基準価額は1万8195円まで上昇し、設定来高値を更新した。投資家は人気のある大型株に注目しがちだが、今後は好調なパフォーマンスをだしている中小型株にも目を向けるべきだろう。

■イーストスプリング・ジャパン中小型厳選バリュー株ファンド
基準価額 1万7603円
信託報酬 1.925%(年率・税込)
純資産残高 27億4000万円
運用会社 イーストスプリング・インベストメンツ

<騰落率>
1カ月 -3.3%
3カ月 0.7%
6カ月 3.1%
1年 -2.2%
設定来 76.0%(2014年8月~)

※9月末時点

小型ブルーチップオープン

「小型ブルーチップオープン」は1996年7月に設定された。26年間の運用実績を持ち、設定来の騰落率も218.7%と好調だ。同ファンドは国内の中小型成長株に投資するアクティブファンドで、9月末時点における組入上位銘柄は以下の通り。

1.いすゞ自動車 4.6%

2.ジーエス・ユアサ コーポレーション 4.3%

3.SOMPOホールディングス 4.2%

4.豊田通商 3.9%

5.第一三共 3.9%

優良銘柄67銘柄に厳選投資し、長期では高いリターンをだしている。日経平均株価などの株価指数を対象にしたインデックスファンドは低コストで値動きがわかりやすいというメリットがあるが、市場平均並のリターンしか期待できない。好調なリターンをだしているアクティブファンドも、ポートフォリオに加えることを検討してもいいだろう。

■小型ブルーチップオープン
基準価額 1万6088円
信託報酬 1.672%(年率・税込)
純資産残高 122億7000万円
運用会社 野村アセットマネジメント

<騰落率>
1カ月 -4.5%
3カ月 2.9%
6カ月 -5.5%
1年 -8.2%
設定来 218.7%(1996年7月~)

※9月末時点

いちよし中小型成長株ファンド(あすなろ)

9月末時点における中小型株式ファンドの純資産残高1位は、「いちよし中小型成長株ファンド(あすなろ)」(754億2300万円)だった。同ファンドは、中長期的に上昇が期待される日本中小型株に特化した運用を行うアクティブファンドで、9月末時点における組入上位銘柄は、以下の通り。

1.東洋炭素 3.4%

2. プレミアグループ 2.7%

3. シーイーシー 2.1%

4. ナカニシ 2.1%

5.ネクステージ 2.0%

2022年9月末時点における6カ月騰落率は-3.54%、1年騰落率は-14.94%とさえないものの、中小型株の発掘で高い実績を持つ、いちよしグループのリサーチ力に期待したい。

■いちよし中小型成長株ファンド(あすなろ)
基準価額 1万4841円
円信託報酬 1.584%(年率・税込)
純資産残高 754億2300万円
運用会社 いちよしアセットマネジメント

<騰落率>
1カ月 -4.6%
3カ月 4.4%
6カ月 -3.54%
1年 -14.94%
設定来 48.41%(2016年6月29日〜) 

※9月末時点