投資地域は一般に「先進国」と「新興国」に分けられ、長期的な経済発展に期待する人には後者が人気のようです。

しかし、新興国株式型の投資信託は一般に、中国や韓国など経済規模が既に大きい国にも投資します。成長余地に期待するという趣旨なら「フロンティア市場」の方が向いているかもしれません。従来の新興国地域より、さらに経済が未発達な地域をフロンティア市場と呼びます。

フロンティア市場は中東や東南アジアなどの国々が代表的ですが、アフリカも見逃せません。11月20日は国際連合が定める「アフリカ工業化の日」です。今日はアフリカの経済に注目してみましょう。

アフリカ諸国のGDPと主要産業

アフリカで経済規模が大きい国は「ナイジェリア」「南アフリカ」「エジプト」の3つが挙げられます。アフリカといえば天然資源のイメージが強いですが、3カ国はいずれも第3次産業がGDPの半分以上を占めており、鉱業などを含む第2次産業の割合は必ずしも高いとはいえません。

特に南アフリカは経済構造が先進的で、GDPに占める第1次産業の割合が低く、金融業といった第3次産業の割合が高い点が特徴的です。

【アフリカ諸国の名目GDP(2017年)】
・ナイジェリア:3763億ドル
・南アフリカ:3493億ドル
・エジプト:2371億ドル
​(参考)日本:4兆8721億ドル

【産業別GDP構成比(2017年)】

出所:農林水産省 アフリカ統計データ集

成長が遅いのは「資源の呪い」のせい?

アフリカは、しばしば「資源の呪い」にかかっていると指摘されます。これは天然資源が豊かな国ほど経済成長が遅くなる現象を指す言葉です。ジェフリー・D・サックスとアンドリュー・M・ワーナーによって、天然資源輸出の割合が大きい国はそうでない国より経済成長率が劣る傾向があることが示され、広く知られるようになりました。経済成長には資源が豊富なほど有利に思えますが、実際にはそう単純ではないようです。

上述した3カ国はどうでしょうか。いずれも資源国で、日本への輸出品も天然資源が中心です。ただし、南アフリカは世界の主要な自動車メーカーが工場を置いている事情もあり、代表的な工業製品である「自動車」の輸出割合が比較的大きくなりました。

【対日主要輸出品目(2021年)】
・ナイジェリア:液化天然ガス(69.1%)、非鉄金属(18.1%)、原料品(12.6%)
・南アフリカ:非鉄金属(78.0%)、鉄鉱石(6.5%)、自動車(2.4%)
・エジプト:鉱物性燃料(79.5%)、食料品(8.1%)

出所:ジェトロ

1990年〜2020年でGDPの推移を見ると、ナイジェリアの成長が目を引きます。ただし、ここ数年は停滞気味で、新興国としては平均的な水準にとどまりました。また南アフリカとエジプトは新興国全体を大きく下回っています。経済発展が期待される地域としては、やや物足りない水準といえるかもしれません。

【名目GDPの推移(米ドルベース 1990年を100とした場合)】

IMF「World Economic Outlook database(October 2022)」より著者作成

アフリカに投資する投資信託

これまでの成長が見劣りするとはいえ、アフリカは人口増加が最も期待される地域の1つであり、投資に興味を持つ人はいると考えられます。アフリカ株式に直接投資することは難しいため、現実的には投資信託を介して投資することになるでしょう。

しかし、アフリカ株式で運用される投資信託は多くありません。投資信託協会の「投信総合検索ライブラリー」で調べたところ、アフリカ株式を主要な投資対象としている銘柄は「野村アフリカ株投資」だけです(2022年11月3日時点)。

【「野村アフリカ株投資」の概要】

※2022年9月末時点

出所:野村アセットマネジメント 野村アフリカ株投資 月次レポート

ただし、野村アフリカ株投資は信託期間が2025年11月17日までです(設定日:2008年3月6日)。延長されない限りおよそ3年で運用が終わってしまうため、中長期的な運用が前提となる投資信託としてはやや短く感じられるかもしれません。

米国ETFを利用するという手もあります。日本にはアフリカ株式に連動するETFはありません(2022年11月3日時点)。しかし、米国には以下のようなアフリカ株式型のETFが上場しています。

【アフリカに投資する米国ETFの例】
・ヴァンエック・アフリカ・インデックスETF
・グローバル X・MSCI・ナイジェリア・ETF
・iシェアーズ・MSCI・南アフリカ・ETF
・ヴァンエック・エジプト・インデックスETF

なお、米国ETFは証券会社ごとに取り扱いが異なり、全ての証券会社で投資できるわけではない点に注意してください。

執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)

証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。