2020年のコロナショックによって世界各国で利下げがおこなわれ、債券ファンドへの関心は急速に薄れた。また、2022年になって米国を中心に世界各国で利上げがおこなわれているが、利上げは既存の債券にとってマイナスの材料になる。しかし、金利が上昇すれば新発債の利率は上昇するので、債券ファンドはより金利の高い債券を購入できる。2000年代以降、基本的に米国を中心とした先進国の金利は低下してきた。しかし、米国では経済正常化によって2004〜2006年、2015〜2018年に政策金利を引き上げており、金利上昇局面があった。そうした時期を乗り越えて安定的なリターンをだしてきた外国債券型ファンドに注目だ。

外国債券の純資産残高上位ファンドは毎月分配型が多い

外国債券型ファンドは毎月分配型(毎月決算型)が多い。1990年代後半から2000年代前半は、2005年に廃止となった「マル優(少額貯蓄非課税制度)」の受け皿として、毎月分配型の債券ファンドが多く設定されたからだ。「マル優」は、65歳以上の高齢者の銀行預金や郵便貯金、国債などの利子が元本300万円まで非課税になる制度である。「マル優」の資金の受け皿として定期的に分配金が受け取れ、年金以外の定期収入が得られるという高齢者のニーズを満たした外国債券の毎月分配型ファンドに人気が集まったのである。

2022年10月末時点における純資産額上位10ファンドは、以下の通り。

出所:三菱アセット・ブレインズ提供のデータを基に編集部作成

この中から、注目ファンドを2つ紹介する。

グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)

外国債券型ファンドの純資産残高1位は、「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」だった。同ファンドは、世界主要先進国の、信用力の高いソブリン債券に投資する外国債券型ファンドである。ソブリン債券とは、各国の政府が発行する国債や、政府機関が発行する政府機関債などのことである。同ファンドは1997年12月に設定され、毎月分配型の代表ファンドとして2008年には純資産残高が5兆円を超えるなど、2000年代はトップの座をキープしていた。しかし、より利回りの高い米国REIT型ファンドや低コストの株式インデックスファンドに資金が集まったことや、金融庁が毎月分配型ファンドを「顧客本位ではない商品」と批判したことから、同ファンドの純資産残高は3000億円前後まで減少している。ただ、20年以上の実績があり、設定来騰落率は96.8%となっている。長期で安定的なリターンが期待できるファンドとして、もっと注目されてもいいだろう。

■グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
基準価額 5073円
信託報酬 1.375%(年率・税込)
純資産残高 3076億700万円


1カ月 2.4%
3カ月 0.6%
6カ月 2.5%
1年 1.5%

(10月末時点)

ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)

純資産残高3位の「ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)」は、オーストラリア・ドル建ておよびニュージーランド・ドル建ての公社債等に投資する毎月分配型ファンドである。ポートフォリオの最終利回りは4.1%で、格付けは「AAA(トリプルA)」が64.7%、「AA(ダブルA)」が35.3%となっている。州債券や政府機関債といった格付けの高い債券に投資しており、同ファンドが投資している債券の安全性は高い。今後も安定的な利回りが期待できるファンドとして注目だ。

■ハイグレード・オセアニア・ボンド・オープン(毎月分配型)
基準価額 5145円
信託報酬 1.375%(年率・税込)
純資産残高 1361億円


1カ月 1.9%
3カ月 -1.0%
6カ月 1.3%
1年 2.5%

(10月末時点)

外国債券の毎月分配型リターンランキング

外国債券では毎月分配型ファンドが多いが、2022年10月末時点における外国債券の毎月分配型ファンドの1年リターンランキングは、以下の通り。

出所:三菱アセット・ブレインズ提供のデータを基に編集部作成

ランキング上位には「ロシアルーブル」「ブラジルレアル」「メキシコペソ」といった新興国通貨が多いが、それらの通貨は値動きが大きくリスクも高い。よって、ドル建ての中から注目ファンドを紹介する。

フランクリン・テンプルトン・米ドル毎月分配型ファンド

「フランクリン・テンプルトン・米ドル毎月分配型ファンド」は、主に米国の国債、政府機関債、事業債、モーゲージ証券(MBS)、資産担保証券(ABS)等に投資し、米ドル資産ベースでの元本の安定を目指す。組入銘柄の最終利回りは4.5%で、インカムゲイン狙いのファンドとして魅力が高い。同ファンドは為替ヘッジをしないので、2022年は円安・ドル高が大きく進んだことにより、同ファンドの1年騰落率は+27.69%と高いリターンになっている。為替変動リスクはあるものの、株式ファンドよりも安定的なリターンが期待できるファンドとして注目だ。

■フランクリン・テンプルトン・米ドル毎月分配型ファンド
基準価額 9374円
信託報酬 0.484〜0.990%(年率・税込)
純資産残高 約65億円


1カ月 3.62%
3カ月 7.44%
6カ月 16.60%
1年 27.69%

(10月18日時点)

米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)

ランキング7位の「米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、米ドル建ての米国企業向けバンクローン(貸付債券)等を主要投資対象とする外国債券型ファンドである。バンクローンとは、金融機関が主にBB格相当以下の投資適格未満の事業会社等に対して行う貸付債権で、信用力が低い分、相対的に利回りが高いという特徴がある。同ファンドの直接利回りは7.0%と米10年債利回りの4%前後と比較しても高い。投資先企業のデフォルト(債務不履行)リスクはあるものの168銘柄に分散投資しているので、リスクを抑えた運用が可能だ。11月以降も高いリターンをキープできるかどうかに注目している。

■米国バンクローン・オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
基準価額 7800円
信託報酬 1.7625%(年率・税込)
純資産残高 163億400万円


1カ月 2.3%
3カ月 9.1%
6カ月 10.2%
1年 24.4%

(10月末時点)