毎月のように純資産総額が増えたファンド
フィデリティ投信が運用する「フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」(愛称:テンバガー・ハンター)は、設定が2020年と比較的若い銘柄ながら、4000億円もの資金が集まる人気銘柄です。純資産総額はほぼ毎月増加しており、2022年末までに前月比でマイナスになったことは4回しかありません。
【純資産総額の推移(月末時点)】
なぜフィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)はこんなにも人気なのでしょうか。
【フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)】
元祖「テンバガー・ハンター」のネームバリューが資金を惹きつける
フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)は、ピーター・リンチ氏の愛弟子が実質的に運用する点が注目され、資金が集まったと考えられます。
同銘柄の愛称に付された「テンバガー」とは、株価が10倍に成長することが期待される銘柄のことで、もともとフィデリティのポートフォリオ・マネージャーだったリンチ氏が使い始めた言葉だといわれています。同氏は多くの10倍株を発掘し、運用するファンドを13年間で約28倍にまで増やす驚異的なリターンを残しました。これらの実績から、リンチ氏は元祖「テンバガー・ハンター」と呼ばれています。
その哲学は、ジュエル・ティリングハスト氏に承継されました。同氏が運用する「フィデリティ・ロープライス・ストック・ファンド」も、これまで数々のテンバガー銘柄に投資し、大きな実績を残しています。
【「フィデリティ・ロープライス・ストック・ファンド」が発掘したテンバガー銘柄】
・モンスター・ビバレッジ(米国)
・ユナイテッド・ヘルス(米国)
・アンシス(米国)
・ワークマン(日本)
フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)のマザーファンド「フィデリティ・世界割安成長株・マザーファンド」は、このフィデリティ・ロープライス・ストック・ファンドと同様の運用担当者、運用哲学、運用戦略によって運用されます。つまり、フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)を購入すれば、リンチ氏から薫陶を受けたティリングハスト氏に運用を任せられるのです。
リンチ氏やティリングハスト氏のネームバリューは絶大で、日本においてもファンは少なくありません。同銘柄の純資産総額が積み上がった理由の1つだといえるでしょう。
好調なパフォーマンスも人気の理由
フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)の運用実績も、資金が流入した要因だと考えられます。
同銘柄は2020年3月に運用を開始しました。当時は新型コロナウイルスが流行し始めた頃で、多くの主要国が金融緩和を実施したこともあり、基準価額は運用1年目の2020年末までに約57%も上昇します。
その後の運用も概ね好調で、マイナスの月もありますが、プラスとなった月の方が多く、設定来のリターンは120%を超えました(2022年末時点)。
【月次リターン】
本格的なアクティブ運用を求める人に
フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)の投資対象は、世界の株式のうち、市場が気付いていない成長機会を持ち、かつ割安に放置されている銘柄です。
フィデリティのグローバルな調査体制で世界の上場企業約1万社を調査し、面談などを通じて「成長性」「競争優位性」「収益性」、および「株価の割安度」に着目してポートフォリオを構築します。最終的に、ティリングハスト氏らが運用するマザーファンドが、500〜800銘柄に幅広く投資する仕組みです。
このように、フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)は、徹底した調査を通じ、市場が見過ごす銘柄に投資する王道のアクティブファンドです。運用担当者の実績やフィデリティのリサーチ力を考えれば、その説得力は申し分ないでしょう。
現在インデックスファンドといったパッシブ運用の商品で運用しており、かつそのパフォーマンスに不満がある人は、資金の預け先としてフィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)を検討してみてはいかがでしょうか。市場平均を上回るリターンを得られるかもしれません。
もちろん、アクティブ運用が必ず奏功するわけではなく、またパッシブ運用と比べるとコストが高いデメリットもあります。購入の際は必ず目論見書に目を通し、リスクとコストを慎重に判断するようにしてください。
【フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)の概要】
銘柄 | フィデリティ・世界割安成長株投信Bコース(為替ヘッジなし) |
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運用会社 | フィデリティ投信 |
ファンドのタイプ | 内外株式型 |
設定日 | 2020年3月23日 |
信託期間 | 無期限 |
決算日 | 2月20日 |
受渡期間 | 5営業日 |
販売手数料(最大、税込み) | 3.3% |
信託報酬(全体、税込み) | 1.65% |
信託報酬(販売会社、税込み) | 0.81125% |
信託財産留保額 | なし |
主な販売会社 | 野村證券 大和証券 SMBC日興証券 |
執筆/若山卓也(わかやまFPサービス)
証券会社で個人向け営業を経験し、その後ファイナンシャルプランナーとして独立。金融商品仲介業(IFA)および保険募集人に登録し、金融商品の販売も行う。2017年から金融系ライターとして活動。AFP、証券外務員一種、プライベートバンキング・コーディネーター。