大手証券(野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券)4月の販売金額ランキングから、注目のファンドを紹介していきます。

大手証券で投資信託を購入するメリットって?

大手証券会社で投資信託を購入するメリットは主に以下の3つである。

1.知識が豊富な担当者
2.商品数の多さ
3.セミナーが充実している

大手証券は、株や投資信託などを専門に販売している会社である。そのため、投資信託に関する知識が豊富な担当者に相談できる。また、取り扱っている投資信託の商品数が多いので、自分に合った商品を見つけることが可能である。また、多くの証券会社では初心者向けのセミナーやイベントを開催しており、投資信託について学べるというメリットもある。

ただ、大手証券で投資信託を購入する場合、購入手数料が発生する。この購入手数料は、ネット証券よりも高いケースが多い。そのため、多くの投資信託を購入する予定がある場合は、ネット証券で購入した方が得になる場合がある。

高止まりする投資信託の本数

日本で販売されている投資信託は、6000本近くある。しかし、投資信託の数が多すぎると、個人がどのファンドを選べばいいのかわからなくなり、運用会社や販売会社の負担も大きくなってしまう。そのため、最近では複数のファンドを1つに統合したり、早期償還を行うなどして、投資信託の数を大幅に減らそうという動きがでてきている。

運用会社別でファンド数がもっとも多いのは野村アセットマネジメントで、700本以上のファンドを運用している。ただ、野村アセットマネジメントは、ファンドの見直しを行うことで、今後数年間でファンド数を半減させることを目指している。

これにより、運用の手間やコストを削減し、運用資源をパフォーマンスの向上に集中させることが可能になる。また、信託報酬の引き下げや情報開示の充実にもつながる。

投資信託の本数を減らすことは、投資家にとって有益である。投資信託を選択する際の迷いが少なくなり、運用会社や販売会社はより良いファンドを提供できるようになるからである。また、投資家は信託報酬の引き下げや情報開示の充実を期待できる。

大手証券の4月販売ランキングでは高配当株ファンドが人気

SMBC日興証券の4月販売ランキング1位は「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」だった。また、みずほ証券の4月販売ランキング1位は「世界高配当株セレクト(目標払出し型)(毎月決算・為替ヘッジなしコース)」で、高配当株ファンドの人気が高い印象である。それぞれのファンドの特徴を解説する。

インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
基準価額 8494円
純資産残高 4470.41億円
信託報酬 1.903%(年率・税込)

<騰落率>
1カ月 1.14%
3カ月 5.11%
6カ月 12.19%
1年   17.01%
(4月末時点)

日本経済新聞によると、同ファンドの2022年度(2022年4月〜2023年3月)の1年間の資金流入額は2771億円で、アクティブファンドの中でトップだった。同ファンドは世界の株式の中から割安な銘柄を独自の手法で選定し、毎月分配金を支払う。1999年1月から運用を開始し、毎月分配型で20年以上の運用実績を持つ唯一の世界株式ファンドである。2023年4月末時点における1年騰落率は17.01%と好調だ。また、2022年度は1万口あたり150円の毎月分配金を支払った。定期的に分配金を受け取りたいシニア世代を中心に人気を集めている投資信託である。

世界高配当株セレクト(目標払出し型)(毎月決算・為替ヘッジなしコース)
基準価額 6065円
純資産残高 663.54億円
信託報酬 1.943%(年率・税込)

<騰落率>
1カ月 2.6%
3カ月 1.9%
6カ月 3.6%
1年  11.1%
(4月末時点)

日本を含む世界の高配当株投資戦略の運用成果を反映する 「クロッキー高配当世界株指数」から得られる収益の獲得と分配金の実施による定期的な運用資産の一部払い出しを目的として運用するアクティブファンドである。MSCIワールド・インデックスの構成銘柄(金融セクターを除く)の中から時価総額上位450銘柄を選び、さらに高配当利回り銘柄を50銘柄以上選定する。4月末時点における組入銘柄1位の「ウッドサイド・エナジー・グループ」の配当利回りは16.1%、2位の「BHPグループ」は12.7%、3位の「パイオニア・ナチュラル・リソーシズ」は12.5%となっており、組入銘柄の配当利回りは4.8%と高い。5月以降も、配当利回り狙いの買いが入る可能性は高いだろう。

米国では高配当株ファンドから資金流出

大手証券では高配当株ファンドの人気が高いものの、米国では高配当株ファンドから資金流出が続いている。より安全なMMF(マネー・マーケット・ファンド)や銀行預金の利回りが高まっているからだ。6月13〜14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが継続されるかどうかに注目している。

執筆/山下 耕太郎