2024年パリ五輪に向けてスタートした、代表合宿をレポート

日本選手権の予選となる、ブレイキンブロック選手権真っ只中のJDSF  BREAKING(日本ダンススポーツ連盟ブレイキン部)。8月には東京五輪が終わり、24年パリ五輪への関心も寄せられ、より一層オリンピックの新種目となるブレイキンにも注目が集まるようになってきた。

その最中、日本ダンススポーツ連盟ブレイキン部は8月に沖縄県宮古島にて、強化選手・夏季強化合宿を実施。今年6月に正式発表された強化選手団「BREAKING JAPAN」の10選手が合宿に参加し、世界選手権を照準に合わせたフィジカルトレーニングや、栄養学、メンタルをはじめとした様々な講習を通じて、ナショナルチームの強化を図った。

ストリートダンスだけでなく、ドクターやトレーナーなども参加し科学的なアプローチも取り入れたトレーニングは、シーンでも先進事例である。本記事では、ナショナルチームが一丸となり4日間に渡り行われた合宿をレポート!また、今回のプログラムを開発し、ナショナルチームを運営する選手強化部の3名にも話を聞いた。

※記事下部には映像版ダイジェストについても記載しています

栄養学やメンタルトレーニングなどを取り入れた4日間の強化プログラム

今回の合宿では、4日間のうち3日間のプログラムで講習形式のトレーニングが取り入れられた。

DAY1では、昭和大学チームから栄養学のレクチャーがあり、パフォーマンスを左右する「食」について勉強。その後、連盟のオフィシャルメディアパートナーでもあるFINEPLAYチームから、メディア対応やSNS活用についての講義も実施した。

この日の夜からは、東京五輪へ出場した複数のアスリートも担当するスポーツドクター辻 秀一氏が合流し、メンタルトレーニングをスタート。これまでメジャースポーツで取り入れられていた考え方などを、スポーツブレイキンにも活用していく。

DAY3は少人数に分けて、マーケティングや自己管理などをテーマに複数の講習を実施。中でもKastuOneとDJ TEEが担当した「音楽に対するアプローチと知識」の講義は、各選手から特に興味引いていた。ブレイキンの成り立ちやKastuOneが実際に経験した内容をもとにしたシーンの話、またDJ TEEは実際にDJセットを使い実演しながら、音の構造を伝えたり、音に対してのアプローチをレクチャー。

最終日には日本オリンピック委員会からの講習もあり、合宿全体を通じてフィジカルトレーニング以外のプログラムも多く実施された。

DAY2には国際大会を想定した練習試合を実施

合宿2日目には練習試合形式のフィジカルトレーニングを実施。この練習試合は世界選手権をイメージして設計されており、試合が始まる時間や1日のスケジュール、インターバルの間隔なども、実際の世界選手権同様のフォーマットとなっている。

また、数多くのバトルをこなすだけでなく、ラウンド数の多い世界選手権を勝ち抜く為に、BBOY・BGIRLの体力や回復力をデータで可視化。パルスオキシメーターを利用して、ムーブ前後の心肺機能の測定なども行われた。BBOY・BGIRLは自身のムーブについて研究し、今の課題認識とこれからの個別強化ポイントを考える1日となった。

ブレイキン本部長 Katsu One 「スポーツだけでなく、カルチャーも正しく伝える強化をする」

‐強化合宿のテーマは何でしょうか?

全体的なテーマとしては、国際競技大会の中で勝つためにフィジカルはもちろん、他の分野である栄養学やメンタルなど、そういったものも取り入れた強化を行いました。世界で通用するためにも、フィジカルだけでない部分も学んでいきましょう!というのがまず目的の一つ。

‐栄養学やメンタルなど、フィジカル以外のプログラムはどうでしたか?

めちゃめちゃ良かったです。僕らコーチ陣や連盟側も含め勉強になったと思いますね。身体の事もそうですし、BBOY・BGIRLが分からない部分は専門知識が無いと教えきれないので、きちんとその分野のプロから教わることで、もちろん運営側にとってもプラスになりますし、これから連盟としてはもっと幅広くスキルが必要になりますし、こういった活動も増えていくと思います。

‐ Katsuさんご自身がスピーカーを務めた「音楽に対するアプローチとスキル」の講義についてはどうでしたか?

今回のオリンピックでもそうですけど、ニュースでも結構カルチャーの話とかが取り上げられていて。今回の合宿に参加している強化選手も将来的に、ブレイキンカルチャーについてインタビューされることとかもあると思っていて、そのときに正しく歴史を知らないのは嫌なので、しっかりとカルチャーについて教えていきたいですし、本気な分、「本当、これマジで学んでね!」っていうテンションで話しちゃいました。(笑)

‐直近のオリンピックを観て印象に残ったことはありますか?

僕らはユースオリンピックで経験はしていますが、やっぱりオリンピックってなるとパンチ力が違いすぎてインパクトがありました!

‐3年後に注目が集まることをイメージしたときに、イマやるべきことは何でしょうか?

まずは(シーンやメディアに対しての)会話ですかね。しっかりとこちらのストラテジーや想いを伝えて、何を考えて行動しているのか?ちゃんと理解してもらえるように発信したいです。

「ブレイキンがスポーツになりました!金メダル獲らせます!」というところだけを取り上げられないように、ブレイキンっていうのはカルチャーがあった上で、こういう考えをして、こういう背景でスポーツにもなって、それでいて「金メダルを獲れるように支援するんだよ」って伝えていきたいです。だからこそ、僕らも言い続けなければならないと思っています。

理事 Narumi 「金メダルを目指すのは当たり前、それプラスどんな成長をしたいのか?が重要」

‐今回のSummerCampどうでしたか?

宮古島というロケーションだけでなく、参加してくれた人たちのお陰で空気感が前より全然いいなと思っているし、前回の合宿後に色々とブレストして「どれが選手のためになるのか」を考えて内容を組んだし、内容はかなりブラッシュアップされてて良いモノになったかなぁって思います。

練習の中で色んな動きを試すことで掴んでくれていた子も多いし、メンタルとかのアプローチにしてもみんな自分で探りながらやっていて良かったです。普段は自分で答えを見つけ出してそこで終わっている子も、今回の様に言語化されることによってその子の中でフッと落ちてくる事もあると思っています。

‐Narumiさんの狙いは何でしたか?

ブレイクダンスをやる上で、楽しむことも大事だけどしっかり「自分に何が出来るか」というのを考えて自分自身を知って、考えてもらうことも私の大きな狙いでした。それがメンタル的な部分なのか、技術的なのか、普段の心構えなのか、振舞いなのか、それは人それぞれ違うと思うんですけど。何か自分に新しい気づきがあれば、持ち帰って練習や私生活で自分と向き合いながら生活して、それでまた気付いたところを改善したり、違うアプローチを自分で考えると思うんですよ。そういったことを考えるきっかけに出来ればと想っていました。

‐今後はどんな強化を図っていきたいですか?

強化選手をサポートしていく中で「金メダル!金メダル!」っていうのはあまり好きじゃなくて。金メダルを目指すのは強化選手だったら当たり前だと思うんですよ。そこを目指します!だけじゃなくて、目指すのは当たり前で、それプラス自分はどう成長したいのか?がはっきりしていることが重要だと思っています。オリンピックで金メダルを取った先に何があるのか。そういう事がその子が競技をやっていくうえで一番大事だと思うし、引退した後に別の仕事でこの経験を活かしたっていいと思うから。オリンピックを目指すにあたって、そこを考えて貰えるようにサポートしていきたいです。

強化部長 MARROCK「 選手一人一人の目的にフィットした強化設計をする 」

強化合宿を終えてみてどうでしたか?

今回の合宿を開催するまでには、強化選手を発表してから期間があったので、会って話すこともありましたし、面談をしたりとか、選手たちと対話を重ねた結果、みんながオープンマインドで参加しているなって思います。あとは選手たちだけでは無くて、今回たくさんの先輩のBBOY・BGIRLの人たちにも参加してもらいました。周りの方の協力もあり、とても濃密な3泊4日を終えることが出来たかなと思っています。

‐実施にあたり意識していたことは何でしょうか?

一人一人が参加する目的を事前に設定して、理解をして、それに向けて準備をしてから当日を迎えるというプロセスで臨んだので、目的に対してはかなり良いアプローチは取れたと思います。

‐今回で見えてきた課題や、これから強化部として取り組むべきことがあれば教えてください。

全部ひっくるめて言うと、合宿中に意識していたのは「なんでダンスやってんの?」「ダンスをやる目的ってのはなんなの?」っていうのを選手に常に問いました。それが今ハッキリ答えられる人もいれば、まだはっきりは答えられない選手もいるんだけど、それを自分で考えて見つけ出して「目的」をしっかりコアに持っていてもらうっていう事が、強化合宿だけではなく強化事業に参加するうえで非常に重要なミッションだとは思っています。
今後の強化部の活動としては、それぞれの人が目的を持っているから、その目的を達成するためにサポートをちゃんとやっていこうと思っています。

ダイジェスト映像 DAY1~DAY4

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