去る10月30日に開催された、業界初となる高校生のダブルダッチコンペティション『ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2021』。FINEPLAYでも直後のリポートやTwitch配信などで、その熱闘の模様をお伝えした。

そのITADAKIで優勝に輝いたのは、関西出身の6人組「Crumb Company」(クラムカンパニー)。初代王者に輝いた思いやその背景を訊いた独占インタビューをお届けする。

 

“Crumb Company”とは

MIYAKO JUMP ROPE CLUB(略称:MJRC)所属の高校生チーム。ココロ・ナオ・セレカ・サクピー・カンナ・ヒナミの6人によって構成。アクロバットからHIPHOPまでダブルダッチにおける様々なジャンルの技が高いレベルで盛り込まれた、迫力満点のパフォーマンスを特徴としている。

 

写真提供: ITADAKI 実行委員会

ココロ: 私たちはMIYAKO JUMP ROPE CLUBというスクールで7〜8年ダブルダッチをやっています。ただ、このメンバーがチームを組むのは初めてだったんです。だから別々の場所でダブルダッチをやっていた“かけら”=Crumbが、今年の夏に向けて結集するということで「Crumb Company」という名前を付けました。

 

ココロ / photo by 園田 玲

旧知の関係でチームを組んだ彼ら6人。結成から順調に進んだかと思いきや、決してそうではなかったようで…

セレカ: 正直今までのダブルダッチライフで、一番ケンカしました(笑)。

ナオ: 今までそれぞれが培ってきた文化や練習の仕方があって、まずはそれを擦り合わせるので一苦労でした。

ココロ: 昔から知っていたとはいえ、高校で例えるなら「隣のクラスの、顔だけは知っている子」のような関係なんです。ナオなんて、3歳くらい下だと思っていました(笑)。

サクピー: 話し合いもたくさんしました。答えが出ないこともたくさんありました。今思うと本当に大変でしたね。

ナオ: いい意味での妥協というか、個人の価値観の押し付け合いをするのではなくて、引くところは引くことが大事なんだと実感しました。

 

乗り越えてきた苦しみ

――ずばり、今回のITADAKIを制することができた理由は何だったと思いますか。

サクピー: 勝因… たくさん練習したからですね。

ナオ: だいぶ頑張ったよな(笑)。

ヒナミ: 夏休みの”20連勤“とかもありました。

――“20連勤”ってことは… 20日連続の練習ってこと?

ヒナミ: そうですね。もはや練習というより勤務の感覚でした(笑)。

――高校生のみんなの夏休みって1カ月くらいしか無いよね? それに“連勤”ってことは、連続していない練習日もあったと思うんですが…。

ヒナミ: それも合わせると、夏休みだけで28日くらいは練習していたと思います。

――ということは、夏のほとんどを練習に費やしていたんだね…。

カンナ: ただ逆にオフの日があっても何をしてよいか分からなくて、気が付いたら練習だらけになっていました(笑)。

セレカ: あとはコロナの影響もありました。コロナ禍以前は室内の練習場所が使えていたけれど、今は限られた場所でしか使えません。パフォーマンスにはアクロバット技もありますし、真夏の炎天下で練習するのも大変なので、室内で使える練習場所を探して、多少遠くても集まって練習するようにしていました。

 

セレカ / photo by 園田 玲

 

超えられなかった“壁”

チーム結成から半年で掲げた”大会制覇”の目標。確かに鍛錬を積み重ねることは大切だが、遥か想像を超える努力に、ただただ労いの言葉を掛けることしか出来なかった。そしていよいよ、戦いが始まる。

ヒナミ: ITADAKIの前に、関西で開催される「DOUBLE DUTCH GRANDPRIX」という大会と、全国の学生大会「Double Dutch Delight」という2つの大会がありました。

サクピー: 私たちはITADAKIを含め、3つの大会を制覇することを目標としていたのですが…

ヒナミ: 最初のGRANDPRIXではミスを連発してしまいました。この大会はDelightに向けての前哨戦の要素もあったので、急いで修正しなければマズいと思い、そこからもまた練習を積み重ねましたね。

そうして迎えたDouble Dutch Delight。関西での地区予選を勝ち進み、全国大会に進出。しかし結果は2位と、惜しくも国際大会への切符を掴み取ることは出来なかった。

ヒナミ: なんで優勝出来なかったのか、終わった後にみんなで考えました。足りないものはいっぱいありましたが、一番は「勝ちたい!」という気持ちを、パフォーマンスに乗せることが出来ていなかったのではないかと。

 

ヒナミ / photo by 園田 玲

カンナ: だから、ITADAKIでも優勝出来る自信があったかと言われたら、正直NOでした。

一方でチームメイトのNAOは、昨シーズンのDelightでは優勝に輝き、また5月に開催されたソロバトルの決勝大会「DOUBLE DUTCH ONE’S FINAL」にも出場するなど、個人としても大きな期待を背負った中での戦いであった。

ナオ: 正直しんどかったです。自分のスキルよりも周囲の方が過大評価しているような気がしていて、今シーズンも常にプレッシャーとの闘いでした。Delightは負けてしまいましたが、ただ一つ良かったと思えたのは、それで肩の荷が軽くなったような気がしていて。悔しいですが、ITADAKIに向けてリフレッシュして臨むことが出来たと思います。

ナオ / photo by 園田 玲

 

掴み取った優勝旗

苦しみや悔しさを滲ませながらも、それでも掴み取ったITADAKIの優勝旗。彼らの表情は明るかった。

サクピー: ITADAKIでは、Delightとは少し違うパフォーマンスではありましたが、それでもベースは同じものですし、何より(ITADAKIの)本番でミスもあったので優勝することが出来るか内心不安でした。
優勝することが出来て一安心です。何よりコーチのSTR(サトル)さんに良い報告が出来たことが嬉しかったですね。

 

サクピー / photo by 園田 玲

国内のプロチーム・NEWTRADの一員として活躍するSTR。Cramb Companyのコーチを務めていたが、急遽今年の夏からシルク・ドゥ・ソレイユの公演に立つためメキシコに発った。

ナオ: パフォーマンスの“骨格”の部分はサトルさんが作ってくれていたので、地球の裏側へ嬉しい報告が出来て良かったです(笑)。

ココロ: サトルさんに何パターンかアイディアを出して頂いて、私たちが試してみてしっくり来た方を選んだり、全く新しいアイディアをこちらから提示したり。良い関係でパフォーマンスを作ることが出来たのも優勝の一因だと思っています。

 

写真提供: ITADAKI 実行委員会

 

かけらが、ひとつになった時

結成から半年。衝突や苦悩を超えて、”かけら”はひとつになった——。そんな激動の日々を振り返り、最後にコメントをもらった。

ヒナミ: なかなか結果に繋がらず苦しく感じることは多かったです。なので今日、優勝することが出来て本当に良かったです。この夏の“20連勤”をはじめとして、たくさん練習を積み重ねてきましたが、その時間は無駄ではなかったと思えました。

カンナ: これまで7年間ダブルダッチをやってきて、幾度となくプレッシャーと戦ってきましたが、ITADAKIでのパフォーマンスで初めて「楽しい」と感じることが出来たんです。あのステージに「負けたくない」という思いや、お世話になった方への感謝など、様々な思いを乗せて伝えることが出来たからだと思います。

 

カンナ / photo by 園田 玲

セレカ: 過去イチで練習量も多く、衝突も多くて、一番上手くいかなかったからこそ、本番は上手くやろうという思いを一番持てました。何より出来上がったショーをお客さんや審査員の方々に観て欲しいという思いも強くて、納得いく形で披露できて、結果もついてきて良かったです。

ナオ: 先程も話しましたが、今年の夏はとてもプレッシャーでした。周囲の期待を裏切りたくないという思いが積み重なって、色んなものと戦ってきましたが、それでもこうして最高の優勝旗を手にすることが出来て良かったです。

サクピー: 私は8年間ダブルダッチをやっていたのですが、本気でやっても勝てたことの方が少ないです。実はダブルダッチの大会に参加するのは卒業する今年度までと決めていて、だから今シーズンは全て勝つんだと決めていました。ただ、最上級の努力をしようと決めて実践しても、Delightでは負けてしまった。だから、ITADAKIでは絶対に勝つと決めていて、勝利を手にすることが出来て良かったです。

ココロ: 紆余曲折がありましたが、あの舞台に立つことが出来たことに、チームメイトやコーチ、家族に感謝したいです。何よりステージでは楽しくパフォーマンスをすることが出来ました。みんな、ありがとう。

 

photo by 園田 玲

高校生の汗と涙に溢れたITADAKI。歓喜も、悔しさも、あらゆる青春の物語が川崎の地に刻み込まれた。これから高校生たちは、どんなダブルダッチを、どんな物語を見せてくれるのだろうか。
まだ始まったばかりのITADAKIだが、これからもダブルダッチで夢を見る高校生たちに向けて、最高のステージを創り出してくれることだろう。

 

大会概要

「ITADAKI ダブルダッチ甲子園 2021」
日時:2021年 10月30日(土)
会場:川崎ルフロン
主催:ITADAKI ダブルダッチ甲子園 実行委員会
主管:有限会社 OVER THUMPZ
協賛:ポカリスエット / ヘインズブランズ ジャパン株式会社
後援:一般財団法人 日本ジャンプロープ連合 / 川崎市
協力:スキルハック / 日本学生ダブルダッチ連盟
メディア協力:FINEPLAY

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