日経平均は4日ぶり反発。380.66円高の22710.60円(出来高概算7億9000万株)で前場の取引を終えている。

 日本の3連休中、米株式市場ではNYダウが7日46ドル高、10日357ドル高となった。昨年9月以来の7日続伸で、5カ月半ぶりの高値水準を付けた。7月の米雇用統計で非農業部門雇用者数の伸びなどが市場予想を上回ったほか、トランプ米大統領が追加経済対策の大統領令を発動したことも好感された。米中対立の影響が懸念されてハイテク株に利益確定の売りが出る一方、景気敏感株を中心に大きく上昇。連休明けの日経平均もこうした流れを引き継いで175円高からスタートすると上げ幅を広げ、前引けにかけて22735.94円(406.00円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、トヨタ自<7203>などの自動車株や三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>などのメガバンク株が大きく上昇している。日経平均への寄与が大きい値がさ株でもファーストリテ<9983>が堅調。足元軟調だった半導体関連株ではレーザーテック<6920>が急反発している。決算発表銘柄では三菱地所<8802>やSMC<6273>が大きく買われ、アイフル<8515>は商いを伴って急伸。また、エーザイ<4523>は認知症治療薬が米当局から優先審査に指定されて賑わっている。一方、売買代金トップのソフトバンクG<9984>が2%超下落し、資生堂<4911>やZHD<4689>も軟調。任天堂<7974>やソニー<6758>は小安い。太陽誘電<6976>は決算が嫌気されて6%近い下落。また、LINK&M<2170>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、不動産業、鉄鋼、鉱業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。半面、海運業、情報・通信業、その他製品の3業種が下落している。東証1部の値上がり銘柄は全体の77%、対して値下がり銘柄は20%となっている。

 日経平均は前週半ばから3連休にかけて売りに押される展開を強いられたが、結果的に連休中の米国株は雇用統計の上振れや追加経済対策の大統領令を受けて一段高となった。年内に新型コロナウイルスワクチンが開発・承認されるとの期待も相場の押し上げに寄与したようだ。連休明けの本日はギャップアップスタートから上げ幅を広げる展開。日経平均や東証株価指数(TOPIX)の日足チャートを見ると、収れんしていた5日移動平均線及び25日移動平均線水準を上放れてきており、売り方の買い戻しを誘っている可能性がある。

 売買代金上位を見ると、自動車株やメガバンク株といった大型バリュー(割安)株の堅調ぶりが目立つ。日経平均の上昇に伴い値がさグロース(成長)株の一角も上げているが、バリュー株ほどの勢いはない。前引け時点では日経平均が1.70%の上昇なのに対し、TOPIXは2.13%の上昇。米長期金利が上昇(債券価格は下落)するとともに、為替相場は1ドル=106円近辺とやや円安方向に振れている。「TikTok」「WeChat」といった中国発アプリを禁止する動きが広がっていることもあり、ハイテク関連を中心としたグロース株の売りと景気敏感系を中心としたバリュー株の買い戻しが広がっているものと考えられる。ここまでの東証1部売買代金は1兆3000億円あまりで、お盆休みシーズンに入った割にはまずまず膨らんでいる。

 新興市場でもハイテク株安の流れからマザーズ指数が反落。前週のマザーズ指数の上昇をけん引したIT・インターネット関連株に利益確定の売りが出ている。アンジェス<4563>が厚生労働省のワクチン整備事業に採択されて健闘しているが、業績上方修正を発表したミクシィ<2121>は材料出尽くし感から急落する場面もあった。上場2日目のティアンドエス<4055>は公開価格の約2.5倍となる初値を付けている。

 アジア株式市場でも香港ハンセン指数が2%超上昇するなど、主要指数は全般堅調。海外勢の一段の買い戻しを誘う可能性があり、日経平均は後場も堅調に推移しそうだ。なお、本日は楽天<4755>、住友不<8830>、NTT<9432>、ソフトバンクGなどが決算発表を予定している。また、海外では独8月ZEW(欧州経済研究センター)景況感指数、米7月生産者物価などが発表される。

 さて、先週末の当欄では8月の日経平均について大方の予想する「波乱相場」でなく、「こう着相場」となる可能性が高いかもしれないと述べた。これに対し「8月は株価下落するのが常」とのご意見も数多く頂いたが、果たしてそうだろうか。2015年に株価急落した「チャイナ・ショック」のイメージが強く残っているのだろうが、16年以降の8月の日経平均騰落率を見ると、16年+1.92%、17年-1.40%、18年+1.38%、19年-3.80%と2勝2敗だ。8月が「下落の月」とは言えない(根拠はないが、プラス年とマイナス年が交互に続いている法則性に照らすと、今年はプラスになるとの期待も出てくる)。

 また、株価指数先物や日経ダブルイン<1357>の動向を見る限り、中長期目線の個人投資家や海外投資家が「既に」ある程度の売り持ち高を抱えているであろうことも見逃せない。市場は買い持ち一辺倒に傾いている訳でない。また、ここ2週間の動きからは日経平均のもち合い推移を見越した個人投資家の22000円割れ局面での押し目買い意欲が強いことが確認され、商品投資顧問(CTA)などの短期筋も22000円割れから一段と下値を売り込まず、早々に買い戻しに転じた。日経平均が3月安値を付けてから6月初めに22000円台を回復するまでの戻りを日銀や公的年金が主導してきたことも再度指摘しておきたい。これらの保有者は当面売り手とならず、根雪のように株価水準を底上げしているとみられる。

 当面のニュースも新型コロナ再拡大に米中対立の深刻化、一方でワクチン開発進展など好悪材料が入り混じると考えられる。これらの要因を挙げたうえで、当面もち合い相場となる可能性があると改めて述べたい。
(小林大純)