日経平均は反発。213.53円高の23636.35円(出来高概算5億株)で前場の取引を終えている。

 7日の米株式市場でNYダウは反発し、530ドル高となった。トランプ大統領が航空会社や中小企業などに的を絞った追加支援策を支持する意向を示し、財政政策への期待が高まった。9月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で将来の国債購入に柔軟性を持たせる方針が示唆されたこともあり、終日堅調に推移した。また、米市場の取引終了後には米民主党のペロシ下院議長が「航空会社支援策について明日ムニューシン米財務長官と話し合う」と述べたことが伝わり、本日の日経平均はこうした流れを好感して83.52円高の23506.34円でスタートすると、寄り付き後も上げ幅を拡大。コロナショック後の戻り高値を更新したことで買い戻しや追随買いが広がり、前引けにかけて23669.97円(247.15円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、東エレク<8035>が3%超、レーザーテック<6920>やアドバンテス<6857>が5%超の上昇となった。前日の米市場で半導体関連を中心としたハイテク株が上昇した流れを引き継いだ。その他売買代金上位もソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、トヨタ自<7203>、NTT<9432>など全般しっかり。川崎船<9107>が5%近く上昇するなど海運株の上げが目立つ。また、株式分割実施を発表したコーア商事HD<9273>や決算が好感されたイオンファン<4343>は急伸し、東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、「携帯電話料金の値下げを検討」と報じられたソフトバンク<9434>はさえない。イオン<8267>は決算発表による材料出尽くし感から3%超の下落。また、ダントーHD<5337>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、海運業、鉄鋼、パルプ・紙などが上昇率上位で、その他も全般堅調。反面、空運業、小売業、倉庫・運輸関連業の3業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の64%、対して値下がり銘柄は31%となっている。

 米市場では一部ながら追加経済対策が実現するとの期待が高まり、前日のNYダウは500ドルを超える上昇となった。また、取引終了後には副大統領候補の討論会が行われているが、材料視する向きは少ないようで、NYダウ先物は小じっかりと推移している。米長期金利が0.8%近い水準まで上昇し、ドル円相場は一時1ドル=106円台まで上昇。本日の日経平均はコロナショック後の戻り高値を更新した。前場中ごろを過ぎると上げ幅を急拡大する場面があり、買い戻しや追随買いが広がった可能性も考えられる。

 売買代金上位銘柄や業種別騰落率を見ると、半導体関連株や海運株の上昇が目立つ。これらは11月の米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利することを見越した動きだろう。中国に対するハイテク規制や貿易摩擦の緩和が期待されているものとみられる。一昨日の当欄で指摘したとおり、「シナリオさえ定まってくれば投資資金は動き出す」。直近の世論調査では、バイデン氏が勝敗を左右する激戦州でリードを広げていると伝わっている。上下院も野党・民主党が制すことになれば、拡張的な財政政策が行われて経済は回復。政府債務の増大も加わって長期金利は上昇、といった筋書きだろう。

 但し、一部の世論調査ではトランプ氏リードと伝えているものもある。バイデン氏勝利を金融市場が確信しているかどうかは判断しにくい。ここまでの東証1部売買代金は1兆円ほど。先物売買もさほど膨らんでいるようには見えず、薄商いのなか、短期筋の思惑的な売買に相場が振らされている印象は拭えない。それに現在はバイデン氏・民主党勝利のシナリオに基づく「いいとこ取り」な物色といった趣もある。大統領選を前に方向感が出てくるか、慎重に見極める必要があるだろう。

 一方、新興市場ではマザーズ指数が4日続伸し、連日で年初来高値を更新している。2018年2月以来、およそ2年8カ月ぶりに1300pt台に乗せ、同年1月の高値1367.86ptも視野に入ってきた。既にマザーズ市場の信用買い残は記録的な水準だが、個人投資家の取引参加が増え、資金回転も利いており、トレンド反転の兆候は見られない。日経平均の方向感が見定めにくいだけに、個人投資家の新興株物色は根強く続きそうだ。
(小林大純)