日経平均は3日続伸。109.01円高の29497.51円(出来高概算7億4000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け8日の米株式市場でNYダウは6日続伸し、237ドル高となった。S&P500指数、ナスダック総合指数をあわせた主要3指数は揃って過去最高値を更新。イエレン財務長官が「追加経済対策が成立すれば、来年には完全雇用に戻る」と述べるなど、追加経済対策の早期成立への期待が一段と高まった。本日の日経平均もこうした流れを引き継いで47円高からスタート。5日、8日の2日間で1000円を超える大幅な上昇となった後だけに、利益確定の売りも出て朝方マイナスに転じる場面があったが、企業業績の持ち直しなどから先高期待は根強く、前場に一時29585.75円(197.25円高)まで上昇した。

 個別では、ソフトバンクG<9984>が売買代金トップで3%超の上昇。第3四半期までの純利益が3兆円を超え、投資事業の好調がポジティブ視された。その他ではファーストリテ<9983>、村田製<6981>、日本電産<6594>、東エレク<8035>などが堅調で、トヨタ自<7203>は小じっかり。英社買収を正式発表したルネサス<6723>は評価の声が多く、一転2%を超える上昇。決算発表銘柄ではポーラオルHD<4927>などが急伸し、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの急騰を受けて関連銘柄も東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、ソニー<6758>や任天堂<7974>の軟調ぶりが目立ち、エムスリー<2413>は小安い。決算発表銘柄では太陽誘電<6976>やバンナムHD<7832>が売られ、MDV<3902>などが東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、鉱業、空運業、証券などが上昇率上位。半面、その他金融業、その他製品、鉄鋼などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の34%、対して値下がり銘柄は62%となっている。

 本日の日経平均は3ケタの上昇で前場を折り返した。ただ、ソフトバンクGとファーストリテの2銘柄で約127円の押し上げ要因となっており、堅調な値がさ株によるところが大きそうだ。東証1部全体としては値下がり銘柄の方が多く、東証株価指数(TOPIX)は0.04%と小幅な上昇。5日、8日の2日間で1000円を超える大幅な上昇を演じた後だけに、利益確定の売りが出やすいところだろう。

 前日の日経平均は市場関係者の朝方の想定を大きく上回り、600円超の上昇となった。東証1部売買代金は3兆1898億円に膨らみ、引き続き現物株の買い意欲が強かったことが窺えるが、注目したいのは株価指数先物だ。前週やや低調だった売買高が膨らむとともに、外資系証券が買い越し上位に多く顔を出した。先週末5日の当欄で述べた「先物の買い戻しが鈍く、金融市場の落ち着きとともに売り持ち解消の動きが一段と広がる可能性がある」との予想が早々に現実となった格好だろう。ただ、海外勢による一段の買い戻し余地は低下したと言えるかもしれない。

 また、前日のネット証券売買代金ランキングでは日経レバETF<1570>が明確に売り超となっていた。前週の反発局面で個人投資家は積極的に日経レバETFを買っていたが、こうした投資家はその後の急ピッチの上昇を受けて利益確定しているのだろう。さらに信用取引の状況を見ると、足元売り持ちに転じる向きが多いようだ。

 一方で日経レバETFの純資産総額は価格上昇並みに増加しており、買い手もいるのだろう。米国で民主党政権による大規模な経済対策の実現が見込まれるなか、長期金利の先高観(=債券価格の下落)が根強く、金融機関などで債券の運用比率を引き下げるとともに株式の比率を引き上げる動きが出てきているのかもしれない。

 個別株の物色動向からは、「ここから買える銘柄」の模索に苦心する投資家の姿が透けて見える。グロース(成長)株、バリュー(割安)株とも過去のPBR(株価純資産倍率)推移などから見れば「まずまずいいところまで上昇してきた」感が拭えない。いきおい、コロナ禍の影響でなお出遅れ感の残る空運株や原油関連銘柄に物色の矛先が向きやすいのだろう。新興市場でも見込んでいたとおり、5日上場のQDレーザ<6613>が買いを集め続け、初値後も大幅高となっている。こうした局面では、上値の節目がないだけにIPO(新規株式公開)銘柄が買いを集めやすい。

 それでも、やはり全体としてはなお「株は買い」とのムードが強いと言えるだろう。短期的に「強気」との見方を維持したい。
(小林大純)