日経平均は反発。51.54円高の29459.71円(出来高概算5億9562万株)で前場の取引を終えている。

 前日の米国株式市場では、週明けの相場急伸後に伴う利益確定売りが優勢となったほか、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)の主席が2日、国内の不動産バブルに加えて米欧の金融市場のバブルが弾ける可能性を懸念すると表明したことが市場心理を冷やした。米長期金利には引き続き落ち着きが見られていたが、ハイテク株を中心に弱く、主要株価指数は軟調推移となった。ただ、日経平均は前日中に時間外の米株価指数先物の軟調を横目にすでに下落していたことから、本日は小反発でスタート。その後は手掛かり材料難のなか再び売りに押され、一時は前日比マイナス圏に転じたが、前引けにかけては改めてプラスに転じるなど方向感に欠く展開となった。

 個別では、米フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)の下落を受けて東京エレクトロン<8035>やレーザーテック<6920>といった半導体関連株が売られた。また、キーエンス<6861>やSMC<6273>などのFA関連のほか、任天堂<7974>や日本電産<6594>といったグロース銘柄も総じて軟調だった。一方、為替の円安を好感したホンダ<7267>や日産自<7201>といった自動車関連が堅調。米バイオ製薬モデルナが開発した新型コロナウイルスワクチンについて、週内にも厚生労働省に製造販売承認を申請する方針と伝わった武田<4502>も上昇。また、2月既存店売上高の数値が好感された良品計画<7453>も買われた。

 セクターでは、鉄鋼、非鉄金属、海運業、ゴム製品、石油・石炭などが上昇率上位に並んだ。一方、電気機器、その他金融業、その他製品、サービス業、金属製品が下落率上位となった。東証1部の値上がり銘柄は全体の47.5%、対して値下がり銘柄は47.9%となっている。

 日経平均は上向きの25日移動平均線がサポートする一方で、下向きの5日線に頭を抑えられる格好となっており、下値は限定的と思われる一方で上値も重いこう着感の強い展開となっている。こうしたチャート形状からも、買いたい一方でなかなか積極的には買い上がれない投資家心理が窺える。

 相場の調整要因になったインフレ懸念に基づく米長期金利の上昇については、一服感が見られた後も引き続き落ち着いた動きとなっているが、日米ともにハイテク株は足元で思ったほどには買い戻しが進まずに軟調な動きが続いている。先日の半期に一度の議会証言では、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「足元のインフレは短期的」なものとし、「インフレ目標の達成には3年かかる可能性」を指摘した。これに続く形で、前日には、ブレイナードFRB理事が、経済成長や消費の見通しは改善し始めているものの、足元の雇用やインフレは目標には程遠いとし、資産購入ペースの維持・金融緩和の長期化を改めて示唆した。また、最近の債券市場の不安定な動きによっては更にずれ込む可能性があるとも指摘した。

 ブレイナードFRB理事は足元の長期金利の急騰について、「動きのスピードは注意を引くものだった」、「市場の動向に注意を払っている」とも言及したもよう。この先、再び想定以上のスピードで米長期金利が急騰することを予め防ぐような牽制発言がFRB高官から聞かれたことは、長期金利の動向に敏感になっている足元の市場に対して一定の安心感をもたらすだろう。また、今週4日のOPECプラス会合では、原油の協調減産が緩和されるとの予想も出ており、これを先取りする形でWTI原油先物価格は1バレル=60ドルを割り込む動きが見られている。こうした資源価格の落ち着きは、先のFRBからの発言と合わせて市場のインフレや金利高懸念を和らげよう。

 ただ、10年物米国物価連動債に基づく期待インフレ率(BEI)は再び2.2%台を付けてきている。純粋な景気回復期待に基づくものとも思われるが、ワクチン接種のペースが加速する中でも大規模な財政出動を急ぐ米政権に対するインフレ懸念のくすぶりの表れともいえようか。今夜は、そのインフレや金利動向に影響を及ぼしかねない週末の米雇用統計の前哨戦とも呼ばれる米国ADP全米雇用リポートのほか、2月の米ISM非製造業景気指数も発表される。

 これらの経済指標の結果を受けた米株市場の動きを見極めたいとする思惑も働きやすく、本日は後場も買いは手控えられそうだ。個人的には、ワクチン接種のペース加速による景気回復を織り込めるほか、景気のオーバーシュートによるインフレをヘッジするという観点からも、本日改めて強さが目立っている鉄鋼や非鉄金属などの資源関連株が引き続き有望とみている。