日経平均は続伸。435.07円高の29164.95円(出来高概算6億1000万株)で前場の取引を終えている。

 25日の米株式市場でNYダウは3日ぶりに反発し、199ドル高となった。パウエル連邦準備理事会(FRB)議長の発言で金融緩和縮小への警戒感が先行したものの、週間の新規失業保険申請件数が1年ぶりの低水準に改善。また、バイデン大統領が新型コロナウイルスのワクチン配給目標を引き上げ、景気敏感株を中心に買いが入った。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数も小幅ながら3日ぶりに反発した。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで338円高からスタートすると、朝方には一時29240.74円(510.86円高)まで上昇。ただ、年度末を前に一段と上値を追う動きは限られ、前場中ごろにかけて伸び悩む場面もあった。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、任天堂<7974>、東エレク<8035>、ソニー<6758>、トヨタ自<7203>など売買代金上位はおおむね堅調。ただ、ファーストリテ<9983>は小幅高にとどまっている。ツムラ<4540>やIHI<7013>は一部証券会社の投資判断・目標株価引き上げを受けて急伸。業績上方修正を発表したJCRファーマ<4552>なども大きく買われており、アクセル<6730>は東証1部上昇率トップとなっている。一方、キーエンス<6861>が反落し、村田製<6981>は小安い。良品計画<7453>は5%近く下落しているが、中国・ウイグル族を巡る問題の影響が懸念されているようだ。日立<6501>による売却観測が報じられた日立金<5486>も下げが目立つ。また、前日ストップ高のハイパー<3054>が急反落し、東証1部下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、全33業種がプラスとなり、ゴム製品、パルプ・紙、輸送用機器、海運業、不動産業などが上昇率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の79%、対して値下がり銘柄は17%となっている。

 日経平均は連日で1%を超える上昇となり、29000円台を回復してきている。週間騰落率はなお2%超のマイナスだが、前日の当欄で述べたとおり、先週末からの下落局面では日経レバETF<1570>などに押し目買いの動きが見られたため、ひとまず持ち直しは明るい材料だ。新興市場でもマザーズ指数が6日ぶりに反発。フリー<4478>が海外公募・売出価格決定を受けて急反発しているほか、25日上場のベビーカレンダー<7363>や19日上場のココナラ<4176>といった直近IPO(新規株式公開)銘柄にも買いが入っている。

 持ち高調整の売りが出る一方、機関投資家の積極的な買いが入りにくい年度末は多くの市場参加者にとって「がまんどころ」のようだ。ここを抜ければ売りが一巡する一方、配当再投資目的の買いや機関投資家の新たな持ち高構築のための買いが入り、需給好転が見込める。本日、日経平均が29000円台をキープして終えることができれば、こうした「耐え忍ぶ」投資家の力強いサポートとなりそうだ。

 一方、筆者が気掛かりなのは国内外で個人の投資行動に変化の兆しが出てきたことだ。改めて触れると、米国では追加経済対策に基づく給付金が株式投資には向いていないとの見方が出てきている。以前の給付時のように株式のコールオプション(買う権利)の取引量が膨らんでいないという。

 また、日本では今週に入ってから個人投資家が主な取引主体のIPO銘柄で初値水準が低下しつつある。今週は6社が新規上場し、うち5社は公開価格を上回る堅調な初値を付けた(本日上場のブロードマインド<7343>はまだ買い気配)。ただ、市場予想に届かないケースが相次ぎ、公募・売出規模の小さい案件が多かったにもかかわらず、上場2日目まで初値を持ち越す銘柄も出てきていない。

 先週末からの株式相場の下落から当然とみる向きもあるだろうが、IPO銘柄の初値は株式相場の地合い以上に「個人投資家の物色意欲」を映す。多少の相場調整局面ではIPO銘柄への取引参加意欲は衰えないだけに、足元の動きは気になるところだ。注目されたココナラの株価が上場2日目以降伸び悩み、初値を下回っていることから、資金回転が利きにくくなったとの懸念もある。

 結局のところファンドも何も最終的な資金の出し手は個人である。個人の株式投資に対する見方に変化が出てきていないか注目したい。
(小林大純)