日経平均は4日ぶり大幅反落。534.66円安の29150.71円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け19日の米株式市場でNYダウは4日ぶりに反落し、123ドル安となった。前の週に連日で過去最高値を更新しただけに、利益確定売りが優勢だった。長期金利が上昇したことで、自動運転車の死亡事故が伝わった電気自動車(EV)のテスラを中心とするハイテク株も売られた。また、国内でも大阪府や東京都が緊急事態宣言の発令要請を視野に入れるなど、新型コロナウイルス感染拡大への懸念が強まっており、本日の日経平均は329円安からスタート。朝方はそのまま下げ幅を広げる展開となり、前場中ごろに一時29082.40円(602.97円安)まで下落すると、その後軟調もみ合いが続いた。

 個別では、ファーストリテ<9983>や東エレク<8035>が2%近く下落しているほか、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>といった売買代金上位は全般軟調。ただ、レーザーテック<6920>は比較的小幅な下げにとどまっている。前日まで賑わいを見せていた直近上場の紀文食品<2933>も本日は利益確定売り優勢。緊急事態宣言の発令が警戒されてか丸井G<8252>の下げがややきつく、ユーグレナ<2931>などとともに東証1部下落率上位に顔を出している。一方、外資系証券の目標株価引き上げが観測されたSUMCO<3436>は小じっかり。OLC<4661>などは堅調に推移している。イーグル工<6486>や日本調剤<3341>は前期業績の上方修正を好感した買いが優勢。また、ウイングアーク<4432>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。

 セクターでは、機械、パルプ・紙、電気機器などが下落率上位で、その他も全般軟調。海運業と電気・ガス業の2業種のみ上昇した。東証1部の値下がり銘柄は全体の72%、対して値上がり銘柄は23%となっている。

 前日の米株安や新型コロナウイルス感染拡大への懸念を背景に、本日の日経平均は500円を超える下落で前場を折り返した。ひとまず29100円近辺に位置する75日移動平均線水準で下げ渋る動きだが、戻りの鈍さも拭えず、積極的な押し目買いが入っている印象は乏しい。実際、東証1部のここまでの売買代金は1兆1000億円程度で、値幅の割に膨らんではいない。ファーストリテや東エレクといった値がさ株の軟調ぶりを見ると、株価指数先物の売り主導での下げと考えられる。新興市場でもマザーズ指数が3日ぶりに反落しているが、こちらは朝方の売り一巡後に下げ渋っており、直近IPO(新規株式公開)銘柄の一角や個別材料株が買われるなど個人投資家の物色意欲の根強さを窺わせる。

 米国では前の週にNYダウやS&P500指数が連日で最高値を更新してきた。恐怖指数とされる米株の変動性指数(VIX)は節目とされる20を下回って比較的安定的に推移しており、その割にVIX先物の投機筋のポジションも過度に楽観的に傾いている印象はない。但し、足元では金融大手が資本力の強い企業やディフェンシブ銘柄(景気動向に左右されにくい銘柄)へのシフトを推奨し始めたようだ。経済指標改善のピークアウト、決算発表による「Sell-the-News(ニュースで売れ)」の動きを念頭に置いているもよう。先日、当欄でも紹介したベテラントレーダー勢の「強い(経済・業績)数値を確認したらリスクを減らすのがセオリー」という言葉と整合的だ。先行して決算発表した金融大手の株価は初期反応こそ良かったものの、その後伸び悩んでいる。

 それにしてもNYダウ、それにアジア各国の主要株価指数の下落幅に比べ、本日の日経平均の弱さは際立っている。新型コロナ感染拡大への懸念が要因だろうが、そもそも当欄では以前から米国株対比でのアンダーパフォームと上値の重い展開を予想しており、想定内に過ぎない。株式需給等の市場状況、それに経済状況に関する解説はこれまでも度々してきたので、本日は割愛する。ただ、足元でまた気になる動きが出てきた。前日の先物手口を見ると、シティグループ証券やクレディ・スイス証券といった外資系証券が日経平均先物を売り越していた。このところ日経平均先物も現物株と同様に薄商いが続いていたため、久しぶりにやや傾きが出た印象だ。

 クレディ・スイス証券の先物手口は商品投資顧問(CTA)など海外短期筋によるものとみられている。CTAは3月までに日経平均先物の買い持ち高を減らしたのち(年初から3月第5週までに外国人投資家は日経平均先物を1兆3000億円あまり売り越している)、4月に入ってから様子見姿勢だったもよう。実際、日経平均先物の売買高は4月初めのイースター(復活祭)休暇以降、低空飛行が続いている。それがここにきて一段の持ち高削減に動き始めた可能性がある。思えば、海外から見た日本の優位点として「新型コロナ感染拡大が欧米に比べ抑えられている」「中国の経済回復の恩恵が大きい」といったことが挙げられていたが、足元では緊急事態宣言の再発令が視野に入り、米中対立再燃の懸念がくすぶるなど、その優位性は薄れつつあると言わざるを得ない。

 それに、そろそろ決算発表の本格化とともに、ゴールデンウィークの連休もスケジュール要因として意識されてくるだろう。先日取り上げたが、株式市場全体の信用買い残は足元で2年半ぶり高水準。そこに5月1〜5日の5連休がやってくる。果たしてそれまでに買い持ち高の維持コストを払ってまでの「持たざるリスク」が意識されてくるだろうか?

 これらを踏まえ、GW連休前後に日経平均は28000円台まで調整する場面も出てくるとみておきたい。
(小林大純)