日経平均は続伸。269.19円高の27763.43円(出来高概算4億6000万株)で前場の取引を終えている。

 週明け23日の米株式市場でNYダウは続伸し、215ドル高となった。食品医薬品局(FDA)が米国内で初めてファイザー・独ビオンテック製の新型コロナウイルスワクチンを正式承認し、今後接種が一段と進むとの期待が高まった。また、引き続き金融緩和の早期縮小への警戒感が和らいだことや、原油先物相場が大幅反発したことも買いを誘った。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は1.5%高となり、過去最高値を更新。本日の日経平均はこうした流れを引き継いで158円高からスタートすると、その後もアジア株高などを追い風に上げ幅を広げ、前場中ごろを過ぎると一時27817.89円(323.65円高)まで上昇した。

 個別では、郵船<9101>や商船三井<9104>などの海運株、レーザーテック<6920>などの半導体関連株、それにソニーG<6758>の上昇が目立つ。その他売買代金上位もソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>など全般堅調。ヤマハ発<7272>株の売却と自社株買いを発表したヤマハ<7951>、業績上方修正を発表したタカショー<7590>は大きく買われ、前日ストップ高の邦アセチレン<4093>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。一方、ヤマハ発は6%超の下落となり、公募増資の実施を発表した昭電工<4004>は11%を超える下落で、ともに東証1部下落率上位にランクイン。8月既存店売上が減収となったしまむら<8227>なども売りが出ている。

 セクターでは、海運業、鉄鋼、空運業などが上昇率上位で、その他も全般堅調。一方、ゴム製品、銀行業、精密機器の3業種が下落した。東証1部の値上がり銘柄は全体の80%、対して値下がり銘柄は15%となっている。

 本日の日経平均はリバウンドが続き、200円超の上昇で前場を折り返した。日足チャートを見ると、窓を開けての上昇で27600円台に位置する25日移動平均線を上回った。米国などの海外株高を受け、先週末にかけて売られた海運株やその他市況関連株、またこのところ軟調だった半導体関連株などが上昇。前日の先物手口では、海外勢による株価指数先物の買い戻しも観測されている。ただ、ここまでの東証1部売買代金は1兆1000億円あまりとさほど膨らんでいない。新興市場ではマザーズ指数が+0.91%と3日続伸しているが、日経平均と異なって1080pt台に位置する25日移動平均線が上値を抑え、朝方に本日の高値を付けてからはやや伸び悩みといった様相だ。

 さて、先週末からのNYダウの上昇を巡っては、(1)タカ派的だったダラス連銀のカプラン総裁が見解を調整する可能性を示唆したことなどから、金融緩和の早期縮小懸念が後退、また(2)新型コロナワクチンの正式承認による一段の普及期待、などといった説明がなされているが、市場関係者からは「思いのほか上げ幅が大きかった」との声が聞かれる。実際のところ、20日のオプション取引期日を通過したによる買い戻し、あるいは取引機会を求めて短期的な反騰に乗る動きが想定以上に強かったに過ぎないのかもしれない。

 米国では相場下落を見越したプットオプション(売る権利)の買いが広がっていたといい、それに対応するオプションディーラーがヘッジ目的で先物を売建て、相場下落の一因になっていると考えられている。特にここ数カ月は因果関係こそはっきり説明されていないが、取引期日にかけて相場が急落する傾向があったため、今回も波乱を警戒する向きがあった。反動が強く出やすかった面もあるだろう。

 しかし、英IHSマークイットが23日発表した8月の米購買担当者景気指数(PMI)は55.4と低下が続き、株高とは裏腹に10年物国債利回りの戻りは限定的。経済減速懸念が和らいだとみるのは時期尚早だろう。今晩の米国では7月の新築住宅販売件数が発表されるが、住宅価格の高騰が消費者のセンチメントを悪化させているだけに、やはり市場予想を下回ってくるかもしれない。

 先週の下落幅の大きさを考慮すれば、日経平均もまだまだ自律反発の範囲内だろう。戻りの持続力を慎重に見極めて取り組みたい。
(小林大純)