日経平均は3日ぶり反発。161.77円高の30485.11円(出来高概算5億4000万株)で前場の取引を終えている。

 16日の米株式市場でNYダウは反落し、63ドル安となった。8月の小売売上高が市場予想に反して増加する一方、新規失業保険申請件数が増加したことなどから、景気敏感株を中心に売りが出た。ただ、NYダウは一時274ドル安まで下落したのち下げ渋った。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は+0.13%と小じっかり。中国恒大集団の債務問題への懸念から前日軟調だった日経平均だが、本日は米国株の底堅い展開を受けて64円高からスタートした。また、自民党総裁選の告示で次期政権への期待が続いたほか、香港・上海株がひとまず反発したこともあり、日経平均は前場中ごろを過ぎると30506.58円(183.24円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株や、レーザーテック<6920>、エムスリー<2413>といった値がさハイテク株の一角で堅調ぶりが目立つ。ソフトバンクG<9984>、キーエンス<6861>、東エレク<8035>もしっかり。来年3月に水素発電所を稼働すると発表したイーレックス<9517>、自社株買い実施を発表したジョイ本田<3191>、決算が好感されたアスクル<2678>などが買われ、クロスキャット<2307>はストップ高を付けている。一方、転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行を発表した日本製鉄<5401>は6%の下落となり、サインポスト<3996>などとともに東証1部下落率上位にランクイン。JFE<5411>など他の鉄鋼株も軟調となっている。JR西<9021>やファーストリテ<9983>は小安い。

 セクターでは、海運業、倉庫・運輸関連業、医薬品などが上昇率上位。一方、鉄鋼、非鉄金属、不動産業などが下落率上位だった。東証1部の値上がり銘柄は全体の46%、対して値下がり銘柄は48%となっている。

 本日の日経平均は反発し、3ケタの上昇で前場を折り返した。前日の米国株が底堅く、香港ハンセン指数なども小幅反発していることから、中国恒大問題への不安が幾分和らいだのだろう。市場では中国当局がソフトランディングに導くべく救済に乗り出すのでは、などと期待する声が聞かれた。もっとも、前日の下落分を完全に埋めきれないあたり、やはり警戒感はくすぶっているものと考えられる。産業界の引き締めを強める中国当局が民間企業の救済に乗り出すのでは示しがつかないし、負債3000億ドル(約33兆円)以上ともなれば中国内外の経済や金融市場に相応の影響があるだろう。特に日本は週明け20日が敬老の日で祝日となるため、この間の海外リスクを考えると買いの手が出にくい投資家も多そうだ。

 売買代金上位は海運株や値がさグロース(成長)株の一角を中心に堅調な印象を受けるが、東証1部全体としては値下がり銘柄の方がやや多い。ここまでの東証1部売買代金は1兆5000億円弱。新興市場ではマザーズ指数も+0.85%と3日ぶりに反発しているが、前日に-3.65%と大きく下落したことを踏まえれば、戻りは限定的と言わざるを得ない。

 さて、日本取引所グループが16日発表した9月第2週(6日〜10日)の投資主体別売買動向では、外国人投資家が現物株を2745億円、東証株価指数(TOPIX)先物を3642億円、日経平均先物を4520億円それぞれ買い越していた。3日の菅義偉首相の退陣表明をきっかけに、海外勢が次期政権への期待から日本株の積極投資に転じてきたことが改めて確認された。9月第1週(8月30日〜9月3日)との合計では現物株が6400億円程度、TOPIX先物が4700億円程度、日経平均先物が6000億円弱の買い越しだ。

 ただ、前日当欄で指摘したとおり、日経平均が2月高値を付けた2月15日週から8月23日週までに外国人投資家はTOPIX先物を1兆円強、日経平均先物を7000億円強売り越していた。短期筋中心とみられる日経平均先物の買い戻しは早々に進んだが、実需筋中心とみられるTOPIX先物はなお買い戻しの余地が大きいことがわかる。実際、ここ2日の相場下落局面でもBofA証券など外資系証券の一角が買い越しを継続していた。

 また、前日からのマザーズ銘柄の値動きやネット証券での売買動向などを見ると、海外勢のみならず、急ピッチの相場上昇に乗り遅れた個人投資家らの押し目買い需要も根強いことが窺えた。中国恒大問題がくすぶることに加え、来週は日銀金融政策決定会合(21〜22日)、米連邦公開市場委員会(FOMC、21〜22日)といった重要イベントがある一方、20日と23日(秋分の日)が祝日で取引日が少ないことを念頭に置く必要があるものの、日本株の先高期待はなお強く、相場を下支えするだろう。
(小林大純)