日経平均は3日続伸。329.39円高の27547.24円(出来高概算4億8000万株)で前場の取引を終えている。

 20日の米株式市場でNYダウは続伸し、249ドル高となった。IT大手のIBMや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が好決算を受けて急伸し、NYダウを押し上げた。また、インフレのピークアウト期待が根強いうえ、20年物国債の入札結果が好調だったことから、金利が幅広い年限で低下したことも買いを誘ったようだ。ただ、動画配信のネットフリックスの株価急落でハイテク株に売りが広がり、ナスダック総合指数は-1.22%となった。本日の日経平均は米国でのNYダウ上昇や金利低下を好感して41円高からスタートすると、寄り付き後も上げ幅を拡大。前日下落していた半導体関連などの値がさ株を中心に買いが入り、日経平均は前引けにかけて27571.12円(353.27円高)まで上昇する場面があった。

 個別では、売買代金トップのレーザーテック<6920>が6%近く上昇し、東エレク<8035>も3%超の上昇。米金利低下で買い安心感が広がったほか、半導体製造装置のオランダASMLホールディングの決算が受注堅調と受け止められたようだ。花王<4452>もP&Gの好決算が意識されているようで3%超上昇している。その他売買代金上位ではファーストリテ<9983>やソニーG<6758>が堅調。一部住宅建材の値上げ実施を発表したLIXILG<5938>が急伸し、新サービスを発表したマイネット<3928>はストップ高を付けている。一方、郵船<9101>、ソフトバンクG<9984>、トヨタ自<7203>、任天堂<7974>は小安い。業績観測が報じられたキヤノン<7751>は2%超の下落。また、BEENOS<3328>やグリー<3632>が東証プライム市場の下落率上位に顔を出している。

 セクターでは、金属製品、パルプ・紙、精密機器などが上昇率上位。一方、鉱業、保険業、石油・石炭製品などが下落率上位だった。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の60%、対して値下がり銘柄は35%となっている。

 本日の日経平均は300円超上昇し、27500円台を回復して前場を折り返した。日足チャートを見ると、5日や25日といった短期の移動平均線の上昇に沿った形で、緩やかに下降する75日移動平均線を上抜け。値動きの好転が意識されやすいかもしれない。個別では、米金利低下や海外企業の好決算を受けて半導体・トイレタリー関連を中心に買われているが、値がさ株が多いだけに日経平均の押し上げに寄与している。ただ、ネットフリックスの急落が意識されてか、東証プライム市場の下落率上位にはIT・インターネット関連株が多い。前引けの日経平均が+1.21%なのに対し、東証株価指数(TOPIX)は+0.61%。ここまでの東証プライム市場の売買代金は1兆2000億円ほどで、さほど膨らんでいる印象はない。

 新興株ではマザーズ指数が-0.89%と6日続落。ここ数日と同様に朝方買い優勢となる場面もあったが続かず、日経平均とは対照的に軟調な展開だ。主力株は高安まちまちといったところだが、やはりIT・ネット関連株全般に売り優勢となっているようだ。なお、東証スタンダード市場では新規上場したフルハシEPO<9221>が公開価格比+52.0%という初値を付けた(名証メイン市場にも上場)。木質系廃材のリサイクル・チップ販売等を手掛け、本日の相場全体の地合いではテック系より買いやすかったのかもしれない。また、名証ネクスト市場にはASNOVA<9223>が新規上場した。

 さて、20日の米主要株価指数はNYダウ+0.71%、S&P500指数-0.06%、ナスダック総合指数-1.22%とまちまちだった。NYダウは35000ドルを上回り、3月後半の直近戻り高値(35372.26ドル、取引時間中)に迫る動きを見せている。ただ、ナスダック総合指数は高寄り後に失速。納税期限通過で個人投資家に人気のハイグロース(高成長)銘柄が再び買われ、ナスダック総合指数もここ数日のもみ合いから上放れすると期待する向きがあった。「ネットフリックスショック」がこうした期待を腰折れさせてしまった影響は小さくないだろう。世界中の投資家から資金を集めていたネットフリックスは1日で7兆円近い時価総額が消失した。

 急ピッチの米金利上昇はひとまず一服し、20日の10年物国債利回りは2.83%(-0.10pt)で終了。節目の3%を前に低下へ転じた格好だ。期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)も2.92%(-0.01pt)にやや低下したが、名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は再びマイナスとなった。商品では、原油先物相場(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI5月物)が1バレル=102.75ドル(+0.19ドル)と反発、金先物相場(ニューヨーク商品取引所、COMEX6月物)が1トロイオンス=1955.6ドル(-3.4ドル)と続落し、まちまちだった。

 一昨日の当欄「焦点は『利上げペース』より…」で指摘したとおり、先週後半から「インフレ長期化(ひいては金融政策の将来的な再緩和への期待後退)を織り込む動きが強まっていたが、なお金融大手を中心に「インフレは一時的」「債券市場は利上げを過度に織り込み過ぎ」との指摘が根強く聞かれることから、相場は一方向に進みづらいだろう。

 そして本日はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の討論会参加が予定されており、金融政策の先行きを巡って相場が大きく変動する可能性がある。市場関係者からは(1)目先の利上げ後について「データ次第」との姿勢が示されるか、(2)量的引き締め(QT)について先の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で示された「月950億ドル上限」から増額の余地が示されるか、などに注目したいといった声が聞かれる。

 また、国内でも本日から日本電産<6594>などを皮切りに3月期決算発表が本格化するため、企業業績の動向を注視したいところだろう。後場の取引では徐々に様子見ムードが強まる可能性がある。
(小林大純)