日経平均は続落。244.81円安の26074.53円(出来高概算6億9401万株)で前場の取引を終えている。

 9日の米株式市場でNYダウは653.67ドル安と大幅に3日続落。連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げや都市封鎖(ロックダウン)が続く中国経済の減速などを背景に、景気後退懸念が強まるなか投資家のリスク回避の動きが終日続いた。ハイテク株比率の高いナスダック総合指数は-4.29%と大幅に3日続落。ほぼ全面安となった米株市場の流れを引き継いで、日経平均は170.28円安からスタート。米株市場と同様、ハイテク株から景気敏感株まで幅広く売りが膨らみ、寄り付き直後に25773.83円(545.51円安)まで下落。ただ、前日からの2日間だけで1200円超も下落しただけに、突っ込み警戒感も台頭し、前場中ごろからは急速に買い戻しが進展、前引けにかけて26000円を回復した。

 個別では、米ハイテク・グロース(成長)株の急落を受けてレーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、OLC<4661>、NTTデータ<9613>などが大幅安。原油先物相場の下落を背景にINPEX<1605>が急落しており、住友鉱<5713>、丸紅<8002>などの資源関連株も軒並み下落。エムスリー<2413>はレーティング格下げもあり下落。JAL<9201>、エアトリ<6191>などは国内大型連休明けの新型コロナ感染再拡大への警戒感から大幅に下落。子会社の不適切行為が発覚した日製鋼<5631>は本日も急落。決算を受けてチャームケア<6062>、冶金工<5480>、アウトソーシング<2427>などが東証プライム値下がり率上位に入っている。

 一方、前日に今期見通しと併せて1000億円以上の追加的な株主還元策の検討を発表した川崎汽船<9107>が本日も買い優勢。NTT<9432>やKDDI<9433>などディフェンシブ銘柄の一角が堅調。約2年ぶりの自社株買いを発表したキヤノン<7751>、目標株価引き上げのあった山崎パン<2212>、今期見通しが好感されたワールド<3612>などは大幅に上昇。今期増益・増配見通しに加えて自社株買いも発表したリンナイ<5947>は東証プライム値上がり率トップとなっている。

 セクターでは鉱業、海運、石油・石炭製品などが下落率上位に並んだ一方、金属製品、電気・ガス、パルプ・紙などが上昇率上位に並んだ。東証プライムの値下がり銘柄は全体の65%、対して値上がり銘柄は32%となっている。

 前日の米国市場は全面安商状。幅広い年限で債券利回りが低下するなかではあったが、ハイテク・グロース株の売りは止まらず、ナスダックやフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は再び急落した。これまで相場の下支え役だった石油や建設機械といったコモディティ・景気敏感株も、景気後退懸念が強まるなか大きく売り込まれた。ビットコイン(BTC)など暗号資産(仮想通貨)の価格も足元で厳しい下落トレンドが続いており、今朝には一時1BTC=30000ドルを割り込む場面もあった。ほぼ全ての資産クラスが大幅に下落しており、完全に投げ売りの状態だ。

 一方で、こうしたやや乱暴とも言える動きが出てきたことは、短期的にはそろそろ底打ちを期待させてくれる。実際、昨日の米株市場の急落においては、出来高が直近に比してそれなりに大きめの水準まで膨らんでいた。S&P500指数への組み入れ銘柄を対象とした計算では、3月18日以来の出来高水準だった。見境のない投げ売りや出来高を伴った急落により、需給整理が進んだともいえる。

 本日の前引け時点での東証プライム市場の売買代金は1兆6000億円超とまずまず大きく膨らんでいる。出来高と値幅を大きく伴った日が先週末6日から3日続いていることで、東京市場でも需給整理が少しは進んだだろう。また、朝方の一時急落により、日経平均は3月16日の高値25824.94円を上端としたマド埋めを完了。昨日からの下落幅も考慮すると、テクニカル的にも値幅的にも短期的には底打ち感が台頭してくるタイミングが近づいていると言えそうだ。明日11日に発表予定の米4月消費者物価指数(CPI)で、3月CPIに続きインフレピークアウトが確認できれば、買い戻しが強まる展開が期待されよう。

 一方、ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・コスティン氏らストラテジストチームは、前日、米国株の見通しはあまり明るくないと顧客向けリポートで指摘。「インフレの軌道が明確になるまで、値動きが大きい展開は続く」とし、「金融状況の引き締まりや市場の流動性不足を踏まえれば、3月下旬と同様の規模の短期的な上げ相場が到来すると論じるのは難しい」とコメントしたという。

 市場関係者の間でも、相場の先行きについては依然として大きく強気派と弱気派に分かれており、相場の見方がある程度収れんしてこない限りは、まだまだボラティリティー(変動率)の高い相場環境が続かざるを得ないだろう。11日の米4月CPIでインフレピークアウトを確認できれば、インフレ対応で後手に回ったのではないかとの見方から疑念が強まっているFRBに対する信任が少しでも回復する可能性がある。弱気派の過度な悲観も後退し、ボラティリティーの低下に寄与してくれるのではないかと期待したい。

 さて、後場の東京市場は戻りを試す展開か。上述したように日経平均は3月16日高値を上端としたマド埋めを完了し、値幅的にも調整一巡感が台頭してくる頃合いだ。実際、朝方540円超下落していた日経平均は、前引けにかけて急速に下げ渋り、割ったばかりの26000円を早々に回復してきている。こうした下げ渋りは前日の急落時には見られなかった動きであり、売り一巡を感じさせてくれる。時間外取引のナスダック100先物が堅調に推移していることで、今晩の米株市場での反発も見込まれる。午後の東京市場では、売り方の買い戻しに期待したい。
(仲村幸浩)