日経平均は6日ぶり大幅反落。397.74円安の27848.79円(出来高概算7億1622万株)で前場の取引を終えている。

 9日の米株式市場でNYダウは638.11ドル安と大幅続落。欧州中央銀行(ECB)が7月からの利上げ及び9月の0.5ptの大幅利上げの可能性を示唆したことで、金融引き締め懸念が再燃。中国上海市の一部区域で都市封鎖が再開されたことも相まって、世界経済の成長鈍化懸念が強まったことも重石に。引けにかけては5月消費者物価指数(CPI)の発表を控えた警戒感から売りが加速した。ナスダック総合指数は-2.74%と大幅続落。米株安を引き継いで日経平均は250.18円安と28000円割れからスタート。朝方から売りが先行し、前場中ごろには27805.45円(441.08円安)まで下落。香港ハンセン指数の大幅安も影響し、前引けまで軟調推移が続いた。

 個別では、米ハイテク・グロース(成長)株安を受けてレーザーテック<6920>、ソフトバンクG<9984>、アドバンテスト<6857>、リクルートHD<6098>などが大幅に下落。景気後退懸念も強まるなかファナック<6954>、日本製鉄<5401>、クボタ<6326>なども大幅安。INPEX<1605>、コスモエネHD<5021>、住友鉱<5713>など資源関連株も安い。東証プライム市場値下がり率上位にはIRJHD<6035>、Bガレジ<3180>、レーティングの格下げが観測されたTOWA<6315>のほか、JMDC<4483>、ZOZO<3092>、ラクーンHD<3031>などグロース株が多く並んだ。

 一方、KDDI<9433>やNTT<9432>などディフェンシブの一角が小じっかり。三菱地所<8802>はレーティング格上げに支えられ堅調。円安進行を支援要因に三菱自<7211>も買い優勢。第1四半期決算が市場予想を上回った積水ハウス<1928>は大幅に上昇。石炭価格サーチャージ制の導入を発表した太平洋セメント<5233>が東証プライム値上がり率上位に躍り出ている。入国者数上限を現行の2万人からさらに引き上げる方向で検討と伝わるなか、藤田観光<9722>、ラウンドワン<4680>などリオープン(経済再開)関連の一角も値上がり率上位に入っている。IDOM<7599>はレーティング格上げを受けて大きく上昇。

 セクターでは鉄鋼、石油・石炭、医薬品を筆頭に全般売り優勢の展開。一方、保険、海運、建設の3業種が上昇となった。東証プライムの値下がり銘柄は全体の82%、対して値上がり銘柄は14%となっている。

 先週から想定以上に力強い上昇を見せてきた日経平均は6日ぶりに反落。28000円を大きく下回り、回復したばかりの200日移動平均線も割り込んできている。

 前日日中取引の日経平均先物が28400円と、節目の28500円近くまで上昇した後、終盤にかけて急失速していたことから、リバウンド基調の一服は示唆されていた。6月限先物・オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出日に当たる今日が、ちょうど需給の転換点として警戒されていたが、今日の大幅下落により、こうした傾向がより鮮明になってしまった。

 6月SQ概算値が28122.81円の一方、本日の日経平均の高値は28044.45円。SQ値を大きく下回った状態での推移が続き、完全に「幻のSQ」となってしまった。今晩の米5月CPIの結果と米国市場の反応次第ではあるが、来週以降の相場の調整局面入りに注意した方がよさそうだ。

 前日のECB定例理事会での利上げペースの決定は、大きなサプライズとまでは言えないものの、7月に続き9月も0.25ptの利上げにとどまる可能性も残されていたなか、9月の0.5ptの利上げ示唆がタカ派的に捉えられたようだ。また、インフレ見通しについて、2022年末は5.1%→6.8%へ、23年末は2.1%→3.5%へと3月時点から大幅に引き上げられたことで、スタグフレーション(インフレと景気後退の併存)リスクが強まったことも投資家心理に悪影響を与えたようだ。

 相場が再び神経質になるなか、今晩は注目の米5月CPIが発表される。変動の激しい食品・エネルギーを除くコア指数は前年比+5.9%(前月+6.2%)、前月比+0.4%(同+0.6%)と5月からの鈍化が予想されているが、一方で、総合指数では前年比+8.3%(同+8.3%)と高止まりが予想されており、前月比では+0.6%(同+0.3%)と加速する見込みだ。

 また、欧州連合(EU)によるロシア産石油の一部禁輸などもあり、足元で原油先物価格などは再び上値を試す展開となっており、来月発表される6月分CPIについては再加速も懸念される。実際、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストなどを務め、市場関係者として著名なモハメド・エラリアン氏は、「インフレはピークに達していない」と警告し、6月分CPIの再加速の可能性を指摘。インフレは3月でピークアウトしたとする多くの市場関係者については「再考を迫られる可能性がある」としている。

 さらに、元米連邦準備制度理事会(FRB)副議長のアラン・ブラインダー氏は、FRBが今後3回もしくは4回の会合で0.5ptずつの利上げを行う必要があり、インフレ率を目標の2%に戻すためにはリセッション(景気後退)に耐えなくてはならないだろうとも指摘したという。

 メジャーSQの日に日経平均がSQ値と心理的な節目の28000円を下回ったことで、基調転換が警戒されるなか、こうした警戒材料が多く確認されていることも嫌な流れを感じさせる。投資家は再び慎重なスタンスが求められよう。

 米5月CPIを前にした警戒感から押し目買いが入りにくいなか、後場の日経平均は引き続き軟調な展開が予想される。来週14〜15日には米連邦公開市場委員会(FOMC)も控えていることから、神経質な展開に注意したい。
(仲村幸浩)