日経平均は大幅反落。379.76円安の27308.66円(出来高概算5億597万株)で前場の取引を終えている。

 20日の米株式市場でダウ平均は313.45ドル安(-1.01%)と反落。連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され長期金利が一段と上昇。FOMCの結果を警戒した売りが強まった。後に延期が報じられたが、ロシアのプーチン大統領がウクライナ戦争に関するスピーチを実施しなかったことが伝わると、地政学リスクの低下を受けた買い戻しが入り、終盤に下げ幅を縮小した。ナスダック総合指数は-0.95%と反落。米金利の上昇を受けたハイテク株安で東京市場も売りが先行し、日経平均は247.58円安と27500円割れからスタート。FOMCの公表結果を明朝午前3時に控えるなかリスク回避の動きが膨らみ、前場終盤には27297.50円(390.92円安)まで下落した。その後は下げ止まったものの上値は重く、安値圏でのもみ合いが続いた。

 個別では、レーザーテック<6920>、東エレク<8035>、ソフトバンクG<9984>、ソニーG<6758>、キーエンス<6861>の半導体関連・グロース株のほか、三井ハイテック<6966>、イビデン<4062>、TDK<6762>などハイテク株が大きく下落。トヨタ自<7203>、ホンダ<7267>、デンソー<6902>などの輸送用機器、三井物産<8031>、DOWA<5714>、フジクラ<5803>など市況関連株も軟調。JAL<9201>、JR東海<9022>、OLC<4661>、オープンドア<3926>のインバウンド関連も冴えない。東証プライム市場の下落率上位にはSansan<4443>、ギフティ<4449>、MSOL<7033>、オプティム<3694>などの中小型グロース株が多く並んだ。業績予想の引き上げが小幅にとどまったインソース<6200>は出尽くし感から急落。ダイキン<6367>はレーティング格下げ観測、四国電力<9507>は中間配当見送りで大幅安となった。

 一方、前日大きく下落した郵船<9101>、商船三井<9104>の海運大手が反発。米10年債利回りの連日での2011年来の高値更新を受けて第一生命HD<8750>、東京海上<8766>が高い。業績予想を下方修正も不適切行為発覚後の過度な懸念が後退した日製鋼<5631>、第1四半期決算が市場予想を上回ったツルハHD<3391>、関連会社が楽天グループ<4755>とオンライン診療で協業合意したと発表したネクシィーズG<4346>などが大幅に上昇し、東証プライム市場の上昇率上位に入った。

 セクターでは輸送用機器、ガラス・土石製品、空運が下落率上位に並んだ一方、海運、保険、鉱業が上昇率上位となった。東証プライム市場の値下がり銘柄は全体88%、対して値上がり銘柄は10%となっている。

 本日の日経平均は寄り付きから27500円及び75日移動平均線を割り込んで始まった。前場中ごろからは更に売りが膨らみ、200日線も下回った。前回200日線を割り込んだのは9月7日で、この際は、米長期金利の上昇一服感により翌日からは大きく切り返して同線上への復帰を果たした。今回も、明日のFOMC通過後のあく抜け感による上昇で再び切り返せるかが注目される。仮にここを明日明確に下放れると、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの売りが加速する可能性が高いため、注意が必要だ。

 8月25日付の日本経済新聞社朝刊の中の「意外にもろい日本株需給 欧州系2社の『ドテン』警戒」の記事においては、7月以降の株価上昇のけん引役とみられるCTAの手口として、バークレイズとソシエテ・ジェネラルの2社が取り上げられていた。前日20日の先物手口では、その両社が日経225先物の売り方上位1位、2位を占めていた。また、先週は、クレディ・スイスと並んでCTAの動きと整合性の高いドイツ証券が日経225先物の売り方で週間累計のトップとなっていた。トレンドフォロー型ファンドは既に徐々に売り目線に転じてきている可能性が高そうだ。

 改めて整理すると、日経平均が7月20日から8月17日まで急上昇した期間、海外投資家は日経225先物を1兆3500億円ほど買い越していた(日経225ミニを除く)。8月第4週(8月22日〜26日)〜9月第1週(9月5日〜9日)の3週間累計では一転して売り越しに回っていたが、この間の売り越し額は5200億円程にとどまっている。そのため、買い持ち高の解消余地はまだ残っていると考えられる。上述したように、CTAの一段の売りには注意しておきたい。

 FOMCについては、既に0.75ptの利上げを完全に織り込み、1.00pt利上げも20%程の確率で織り込んでいる。さらに、ターミナルレート(政策金利の最終到達点)についても4.5%までは織り込み済みだ。このように事前にかなり警戒感が高まっているほか、株式市場も直近高値から調整してきていることもあり、公表結果を反映する明日については、あく抜けでいったん相場が持ち直す可能性もある。

 ただ、ターミナルレートに達した後の政策金利の推移については、まだ市場とFRBとの間に乖離がある。現在、FF(フェデラル・ファンド)金利先物市場は来年3月をピークに政策金利が4.5%近くまで上昇することを予想し、その後は利上げ停止を想定、来年末時点では4.0%程度の水準を予想している。つまり、年後半に0.5pt程度の利下げを織り込んでいる。

 しかし、繰り返しになるが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はジャクソンホール会議で、家計や企業に痛みが伴ってでもインフレ沈静化を最優先にすることを主張。1970年台後半のウィリアム・ミラー議長時代の政策運営を例に挙げ、景気悪化に応じてすぐに利下げに転じた結果、インフレをぶり返してしまった過ちと、それを再び繰り返すことの危険性を指摘し、早期の利下げに転換しないことを既に表明している。

 明日公表される政策金利見通し(ドットチャート)において、4.5%を超えるターミナルレートや、年末までの金利据え置きの方針が示されれば、想定よりもタカ派と捉えられ、市場がネガティブに反応する可能性は残されているだろう。

 ほか、前日の当欄でも触れたが、個人投資家からの人気が高く東証プライム市場売買代金上位の常連となっていたダブル・スコープ<6619>が本日も場中値付かずのストップ安売り気配となっている。先週末のストップ安から始まり、今週は連休明けから値が付かない状態で、信用買い残も相当に膨れ上がっていた中、個人投資家の含み損益の急速悪化が懸念される。

 また、米10年債利回りが3.5%を超え、2011年来の高値更新を続けるなか、名目金利から期待インフレ率を差し引いた米10年物実質金利は前日1.16%と2018年10月来の高値を更新し、終値ベースでは直近10年内で最高水準まで上昇してきた。個人投資家の含み損益悪化と実質金利の上昇というネガティブな要素が重なるなか、マザーズ指数は連日で大幅に下落。マザーズ先物にいたっては700ptを割ってきている。

 このように市場環境はファンダメンタルズとテクニカルの双方の観点からかなり悪化している。目先はイベント通過後のあく抜けに期待したいところだが、安易なエントリーは避け、イベント通過後の市場の動きをしばらく注視した方がよいだろう。
(仲村幸浩)