日経平均は反発。266.37円高の27156.95円(出来高概算5億4985万株)で前場の取引を終えている。

 前週末21日の米株式市場のNYダウは748.97ドル高(+2.47%)と大幅反発。連邦準備制度理事会(FRB)が11月連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%利上げ後に利上げペース減速を協議する可能性があると報じられたため、12月FOMCでの小幅利上げの思惑が強まった。また、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の「より小幅な利上げを計画し始めるべき」との発言も手伝い上げ幅を拡大した。ナスダック総合指数も大幅反発、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を受けて、日経平均は前週末比342.42円高の27233.00円と大幅反発でスタート。その後は、堅調もみ合い展開となっている。

 個別では、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>、アドバンテ<6857>などの半導体関連株が上昇、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>、商船三井<9104>などの海運株も大幅に上昇している。ソフトバンクG<9984>やトヨタ自<7203>などの大型株も堅調に推移。ソニーG<6758>やリクルートHD<6098>、ベイカレント<6532>などのグロース株の一角、日本電産<6594>や信越化<4063>、東京海上<8766>、キーエンス<6861>なども大幅に上昇した。ほか米金融引き締め緩和期待で中小型グロースの代表格として物色が向かったラクス<3923>が急騰、メック<4971>、タツモ<6266>、トレックス・セミコンダクター<6616>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。

 一方、ファーストリテ<9983>が下落。JR東<9020>やJR東海<9022>などの陸運、ANA<9202>やエーザイ<4523>なども軟調に推移した。ほか、10月既存店売上高が回復も想定内との見方が先行した西松屋チェ<7545>、上半期上方修正も小幅にとどまり出尽くし感が優勢となった大東建託<1878>などが大幅に下落した。YTL<1773>、ギフティ<4449>、京急<9006>などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。

 セクターでは海運、非鉄金属、機械が上昇率上位となった一方、不動産、小売、陸運が下落率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の64%、対して値下がり銘柄は32%となっている。

 本日の日経平均株価は、大幅反発でスタートした後プラス圏で売り買いが交錯する展開となっている。12月FOMCでの利上げ幅縮小に向けてFRBが議論する見込みと報じられたことは、国内の個人投資家心理にもポジティブに働いた。また、個別材料株中心の物色が主体となっている。そのほか、アジア市況は軟調に推移、米株先物は堅調に推移している。

 新興市場でも買い優勢の展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートした後プラス圏での堅調もみ合い展開となっている。利上げ減速期待が台頭して米長期金利がやや低下したことが新興株の追い風となっている。前引け時点で東証マザーズ指数が0.75%高と日経平均株価よりも上げ幅は限定的、東証グロース市場Core指数が1.35%高で時価総額上位銘柄が上昇をけん引した。

 さて、前週末の米株市場はウォールストリート・ジャーナル紙が12月FOMCでの利上げ幅縮小に向けてFRBが議論する見込みと報じたことでポジティブサプライズとなった。米国株が上昇したことで東京市場でも買い優勢の展開が続いている。

 一方、前週20日のブルームバーグでは、モルガン・スタンレー・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)を務めるリサ・シャレット氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「弱気相場の中での上昇が定期的に起こり、どこにも行き着かないローラーコースターにわれわれは乗り続けることになるだろう」と指摘。「投資家は痛みに耐える力がないらしく、追い風が吹き始めたかもしれないという兆候が少しでもあれば2、3日は相場が上昇する」と続けていた。現に、「GAFAM」と呼ばれる米IT大手の企業決算のほか国内企業の決算発表が本格化する前に、少しの追い風が吹き始めたことで上昇している。

 21日には米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁がFRBの利上げはまだ終わっていないと述べ、FF金利の誘導目標は年内に4%を大きく超える水準に引き上げられるとの見方を示していた。一方、FRBが一歩引き下がり利上げサイクルが経済に及ぼした影響を確認できる時期が近づいているとも指摘。「来年のある時点で利上げは一旦停止される」とした。株式市場では一旦主力企業の決算発表が注目されるだろうが、引き続き今後のFRB高官のタカ派発言に警戒しながら11月・12月のFOMCでの利上げ幅に注目せざるおえない。

 そのほか、依然として外部環境の不透明感も強い。かつて米金融危機を予測した米経済学者のヌリエル・ルービニ氏は第3次世界大戦がすでに勃発しており、米国と中国がすでに冷戦を開始しているとの見解を示した。今後10年以内に大規模な倒産ラッシュと金融危機が起こる可能性があると警告。また、ドル円相場は32年ぶりに1ドル=150円を割り込んだ。アジアの代表通貨とされる円が人民元と共に下落を続け、「第2のアジア金融危機」の到来に対する不安も高まっているとの報道もある。やはり、各国の経済状況を注視するだけでなく、地政学リスクなども引き続き注視していく必要がある。

 現時点では、追い風が吹き始めたことで年末にかけて一旦の反発が起こる可能性が高まってきた。ただ、前週の当欄で筆者が示唆したように、世界的に様々なリスクが散見されるなか、年末にかけて一旦の反発があったとしても来年以降大きく下落する可能性があることを念頭に置いている点に変化はない。さて、後場の日経平均は、堅調もみ合い展開が続くか。米株先物の動向を横目に、幅広い銘柄に物色が継続して向かうか注目しておきたい。