日経平均は反落。215.99円安の28047.58円(出来高概算7億5251万株)で前場の取引を終えている。

 前週末11日の米株式市場のNYダウは32.49ドル高(+0.10%)と続伸。中国のコロナ規制緩和を好感し寄り付き後、上昇。しかし、11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値が予想を下回ったことや、暗号資産取引所FTXが国内で破産法適用申請を明らかにし同資産市場が下落したことが警戒され一時下落に転じた。ただ、利上げペース減速の思惑が根強く金利先高観の後退でハイテク株の買いが続き市場を支え、ダウは再び上昇。さらにドル安による企業の収益改善を期待する買いも根強かった。ナスダック総合指数は大幅続伸、主要株価指数がそろって上昇した米株市場を受けて、日経平均は前週末比14.07円高の28277.64円と小幅ながら続伸でスタート。その後は、マイナス圏に転落して軟調に推移している。

 個別では、ソフトバンクG<9984>、オリンパス<7733>、大阪チタ<5726>が急落。ANA<9202>やJAL<9201>などの空運株、日本郵船<9101>や川崎汽船<9107>、商船三井<9104>などの海運株も軟調に推移している。また、KDDI<9433>やNTT<9432>などの通信株、三菱UFJ<8306>や三井住友<8316>などの銀行株、任天堂<7974>やトヨタ自<7203>などの大型株も下落。ほか業績予想の下方修正を発表したツバキ・ナカシマ<6464>、ミルボン<4919>、ゲオHD<2681>、スプリックス<7030>などが東証プライム市場の値下り率上位に顔を出した。

 一方、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>などの一部の半導体関連株が上昇、ファーストリテ<9983>やキーエンス<6861>、資生堂<4911>、日本電産<6594>などが堅調に推移、ダブル・スコープ<6619>やリクルートHD<6098>などの主力グロース株も上昇した。そのほか、想定以上の7-9月期業績や上方修正を好感されたアシックス<7936>、今期業績見通しはコンセンサス上振れとなったラクス<3923>などが大幅に上昇した。そのほか、平田機工<6258>、スズケン<9987>などが東証プライム市場の値上がり率上位に顔を出した。

 セクターでは倉庫・運輸関連、情報・通信、石油・石炭製品が下落率上位となった一方、ガラス・土石、化学、陸運が上昇率上位となった。東証プライムの値上がり銘柄は全体の31%、対して値下がり銘柄は65%となっている。

 本日の日経平均株価は、小幅ながら続伸してスタートした後マイナス圏に転落して軟調な展開が続いている。寄り付き段階では想定よりしっかりだったとはいえ、出資するFTXの破綻影響も警戒されているソフトバンクGなども指数の重石となるなか、下げ幅をやや広げる展開となった。そのほか、中国・香港市況は堅調に推移している一方で、米株先物はやや軟調な展開が続いている。

 新興市場は堅調な展開が続いている。マザーズ指数やグロース市場の時価総額上位20銘柄で構成される東証グロース市場Core指数は上昇してスタートした後じりじりと上げ幅を広げている。FRBの利上げペースが鈍化する期待が大きく高まったことで米長期金利が3.8%台まで低下しており、バリュエーション面での割高感が意識されやすい新興株にとって追い風となっている。また、本日東証プライム市場の主力株が冴えない展開となっており、幕間つなぎの物色が新興株に向かっている可能性もある。引き続き個別材料株への物色は旺盛で、前引け時点で東証マザーズ指数が1.83%高、東証グロース市場Core指数が2.59%高となっている。

 さて、10日の消費者物価指数(CPI)発表後、米10年債利回りは3.8%台と4%を大幅に下回る水準に低下した。実際に、本日もインフレ減速・金融引き締め懸念後退を好感した動きが継続しており、グロース株優位の展開が続いている。ただ、米10月CPIのコア指数は前年比で+6.3%と高水準で、住居費は前月比+0.8%と9月から加速している。今後、コアCPIが前年比で+6.0%台をしぶとく維持する可能性もあり、中長期では警戒は怠れないとの意見もある。

 ブルームバーグでは、「米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は14日、10月米CPIの上昇率が鈍化したことは良いニュースだが、一つのデータポイントに過ぎずFRBが利上げを停止するまでには「まだ道のりは長い」との認識を示している。」と報じられた。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)がその後の会合で、政策担当者が利上げ幅を0.5ポイントに減速させることはあり得るとしながらも、利上げの停止に近づいているわけではないと注意を促したという。

 さらに、ターミナルレートが5%を上回る可能性があるかとの質問に対し、5%を超えるかどうかはインフレ動向次第だとも述べている。FF金利誘導目標が2023年半ばに4.9%前後でピークに達するとの見通しをある程度織り込んでいるが、仮にターミナルレートが5%を上回る可能性がさらに示唆されると、織り込め切れていない株式市場にいとってはマイナス要因となるだろう。引き続き、FRBの利上げペースの動向には注視せざるを得ない。

 今回のCPIの減速確認により短期的には上昇基調が続くと考えられる。中間選挙が実施される11月以降のS&P500指数の株価パフォーマンスは良好というアノマリーも相まって投資家心理が上向く可能性もあろう。ただ、世界的に様々なリスクが散見されるなか、暗号資産業界に衝撃を与えた暗号資産取引所FTXの破綻のように、株式市場でもいきなり市場が動揺する材料が飛び込んでくる可能性も0ではない。筆者は変わらず、年末にかけて一旦の反発があったとしても来年以降大きく下落する可能性があることを念頭に置いている。さて、後場の日経平均は、下げ止まるか。米株先物の動向を横目に、個別に材料が出た銘柄中心に物色が継続するか注目しておきたい。