[日経平均株価・TOPIX(表)]

日経平均;27651.51;-90.78
TOPIX;1929.16;-6.19


[後場の投資戦略]

 本日の日経平均は米国株の反落を受けて一時200円超下落したが、その後下げ渋って前場を折り返した。日足チャートを見ると、27600円台に位置する25日移動平均線を下回ってのスタートだったが、ほぼ同線水準まで値を戻した格好。業種別では海運業の上昇が突出しているが、NY原油先物相場の反落が売り材料視された石油・石炭製品を中心に全般軟調な印象だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆円あまりで、前日と比べればやや多いが様子見ムードと言っていいだろう。

 新興市場ではマザーズ指数が-0.29%と6日ぶり反落。こちらも朝方売られた後は下げ渋り、1080pt近辺に位置する25日移動平均線を割り込むことなく推移している。前日のネット証券売買代金ランキングでは新興株が複数上位に入っており、ジャクソンホール会議を控え中小型株に幕間つなぎ的な物色が向かったことを窺わせた。ただ、さすがにジャクソンホール会議直前、かつ週末とあって手仕舞いの売りも出ているだろう。また、本日マザーズ事情に新規上場したジェイフロンティア<2934>は公開価格を15%も下回る初値となった。公募・売出し規模がやや大きかったこともあるが、個人投資家の初値買い意欲は想定以上に悪化している印象だ。初値後の株価も伸びが鈍く、資金回転は利きにくいだろう。

 さて、米カンザスシティー連銀のジョージ総裁は「遅かれ早かれテーパリングについて協議する準備ができている」、また米セントルイス連銀のブラード総裁は「現時点で資産購入は必要ない」などと発言。早期テーパリングへの警戒感にアフガニスタン情勢悪化への懸念も加わり、前日のNYダウは200ドル近く下げた。ただ、株安にもかかわらず米10年物国債利回りは小幅ながら上昇(債券価格は下落)。NYダウは今週に入ってからの急ピッチの上昇で高値圏にあったが、10年債利回りは今週初めまで比較的低位で推移していた。これらを踏まえると、金融市場全体の動向としては様々な要因が挙げられつつも、あくまでジャクソンホール会議前の持ち高調整だったのだろう。

 ジャクソンホール会議前にタカ派的な発言が目立った分、パウエル議長の講演で早期テーパリングへの警戒感が和らぐと期待する声もある。ただ、そもそも米ダラス連銀のカプラン総裁が20日、メディアへの出演でタカ派姿勢を軟化させる可能性を示唆し、緩和長期化を織り込む動きもあった。このため、金融市場はあくまで中立的な目線でパウエル議長講演を迎えることになるとみておきたい。

 カプラン総裁が示したように新型コロナウイルス・デルタ株の脅威が続く一方、緩和マネーによるインフレ加速への懸念も根強くある。世界最大級のヘッジファンドである米ブリッジウォーター・アソシエーツのグレッグ・ジェンセン共同最高投資責任者(CIO)は「インフレは当局の目標を大きく上回っている状態で、当局が行動しないならインフレは加速を続けると考えている」などと述べ、テーパリングは市場が予想する以上に速く進むとの見方を示した。やはり予断をもってパウエル議長講演に臨むべきではないだろう。

 香港・上海株の反発などはまずまず安心できる材料だが、後場の日経平均は戻りの鈍い展開になるとみておきたい。
(小林大純)