■活況続く東京粗糖先物市場



89年春の時点で、東京砂糖取引所の会員数は商社・精糖メーカーなどの一般会員が37社、商品先物会社が36社、海外居住の準会員が12社の総勢85社。会員数も多かったが、東京砂糖取引所にとっては、ここ数年間はそれまでに見られなかった「活況」に沸いた時期でもあった。

東京粗糖先物価格は87年8月25日に22円60銭と年間最安値を付けた後、翌88年春から夏にかけて米国シカゴの穀倉地帯で発生した大規模干ばつによる大豆相場の高騰や、キューバでのハリケーン被害に伴う日本向け砂糖輸出停止などが材料となって急騰した。

88年7月7日には、期先3本が約5年ぶりに50円の大台に乗せるなど全限月が高値を更新した。その月はまた、月間出来高が取引所開所以来の記録99万2097枚となり、「欧州の糖商からも注目される東京砂糖取引所」といったニュースがまず海外の新聞で取り上げられた。こうしたことが、それまで一般的に「プロのマーケット」だと思われていた粗糖先物市場に、国内個人投資家の注目を集める契機となった。

そして、この勢いは今年も続いている。年初の価格こそ当限も期先も1キログラム35円前後でスタートしたが、6月には世界的なインフレ懸念や供給不足、それに伴う中国やソ連の大量買い付けなどを材料に43円台まで上昇。7月には、東京砂糖取引所としては初めてとなる「海外糖商の受渡し」が実現し、粗糖の世界的な供給不足をいっそう鮮明にした。9月限は、当限としては5年ぶりの高値となる44円30銭をつけている。

今年4月に1キログラム35円70銭で取引が開始された90年11月物も、今日までに40円70銭まで上がっている。

価格と共に取引の人気度を示す出来高・取組高も増加した。

出来高は売り注文と買い注文がマッチした総数である。10枚の買いと10枚の売りの取引が成立すれば出来高は10枚と数える。買った人間はその買った枚数の分だけ売る(または現物を引き取る)、売った人間は売った枚数の分だけ買う(または現物を渡す)こととで取引を終了させるのが先物市場のルールだ。この取引を終了させる行為を「手仕舞い」とか「仕切り」、あるいは「反対売買」という。

人気があるマーケットには買いたい人間と売りたい人間が多く集まるため、買われた枚数と売られた枚数がどんどんと積みあがっていく。それはあたかも、未使用の切手が市中に増えていく状態に似ている。

一般人が買った枚数と郵政省なりの発行体が販売した枚数は常に等しい。先物市場の買いと売りの枚数も同じだ。市中に出回っている切手の枚数を、粗糖先物に置き換えればそれが取組高である。

追加の発行がないと仮定して、切手が郵便に使われれば、市中にある枚数は減少する。先物も買いと売りが手仕舞いされれば全体の枚数は減少する。取組高はマーケットの人気を計るバロメーターの役割を果たしているのだ。

NEXT:7月28日金曜日更新予定

期近限月の売買に今後の課題も





【ニュース提供・エムトレ】