〇オバマケア代替案頓挫、強まるドル安警戒〇



18日の海外外為市場で、ドルは対ユーロで1年2ヵ月ぶりの安値となった(一時1ユーロ=1.1583ドル。16年高値1.1616ドルに接近)。直接のキッカケは、米議会でオバマケア代替案が上院共和党から造反が出たことで、事実上頓挫、「まず廃止」も困難な情勢となったため。減税などトランプ政策への期待が一段と萎み、FRBの利上げ観測後退も相まって、米債利回りが低下(米10年物国債利回りは2.2607%)した。この日発表の6月輸入物価指数が前月比0.2%下落(石油製品の一段安が影響。前年比では+1.5%で5月の+2.3%から後退)したことも影響した。携帯電話サービスの値下がりなども影響し、インフレ観が後退している(現状、次の利上げは12月の観測)。



ユーロが買われる流れで、ヘッジ的に円は売られてきたが、ドル円も一時111.69円と3週間ぶりの円高に振れた。投機筋の円売り越しが11日時点で11万2125枚、6月27日時点の6万1350枚から5万枚強膨れており、潜在的な解消懸念が漂う。円売り膨張の背景には、6月から日銀が海外中銀の当座預金口座の一部にマイナス金利を適用し始めたことなどが明らか(海外中銀の口座は3月末時点で93口座、13.6兆円規模。運用目的が大半)となるなど、円金利情勢の安定化も寄与していたと見られる。反面、7月前半2週間で、日本企業のドル建て債起債が月間ベースの過去最大(14日までで116.6億ドル)に増加、上乗せ金利縮小などの市場環境の変化があり、企業の市場でのドル調達意欲は低下している公算もある。

19-20日は日銀金融政策決定会合、20日はECB定例理事会が開催される。日銀会合前に飛ばし記事で知られるブルームバーグは、今回は「日銀内でETF買い入れの持続可能性に懸念の声広がる−関係者」との記事を配信した。ただ、中身に新味はなく、「喫緊の課題ではないと見られており、今週の会合で修正する可能性は低い」。一方、ECBは6月会合で「必要に応じて資産買い入れを拡大する」との文言を削除ずるか協議しており、いわゆる「緩和バイアス」の修正が注目点。13日付WSJ紙は「ECBが来年から資産買い入れを段階的に縮小する方針を9月7日の理事会で示唆する公算が大きい」と報じている。ドラギ総裁は8月下旬の米ジャクソンホール会合に3年ぶりに出席予定で、ここでの発言が注目されている(前回は大規模緩和への地ならしを行った)。



逆説的に見れば、夏場はドル安プレッシャーが掛かり易い状況が続く可能性がある。主要通貨に対しドルは約10カ月ぶり安値、ドル買い越し額は6250万ドル、昨年4月以来の低水準に縮小している。円の売り越しは突出してきたが、ドル全面安での解消圧力との綱引きになると考えられる。企業の決算動向などを睨みつつ、ドル円110〜115円のボックス圏ながら神経質な地合いが想定される。



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出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/19号)