〇政治リスク警戒広がるも、目先調整一巡感を探る〇



昨日のドル建て日経平均終値は180.25ドル、高値は180.50ドル、安値は179.59ドル。ほぼ1か月ぶりに180ドル台を回復した。7月相場はポジション調整的な売り圧迫が続き、6月の180-183ドルゾーンから下振れて推移してきた。ドル円が一時114円台となったが、トランプ相場であった「株買い+円売りヘッジ」ではなく、「ユーロやメキシコペソ買い+円売りヘッジ」の動きで、株価へのインパクトは乏しかった。膨らんだ円売りポジションに一時的に調整の動きが出ると、株価にも調整観が広がり易い地合いだったと考えられる。



このまま180ドル台固めで推移できるかどうかは、もう少し様子を見る必要があるが、NY市場のドル円は110.71円を付けた後、111円台で戻って来た。ユーロ・ドルが15年8月以来の1.1684ドルまで上昇後、1.164ドル前後へドルが小反発しており、25日の米CB消費者信頼感指数、26日のFOMC声明、28日の4-6月期米GDP速報などの前のポジション調整の動きに一巡感がある。各指標に予想外の動きが出れば別だが、米株式市場ではハイテク株が買われ、ナスダックが史上最高値を更新してきた(ただし、時間外でアルファベットが減益決算を発表し、2.2%安と反落)。NYダウには調整色が残っているが、夏休み前あるいは下期入りでの調整に一巡の可能性がある。



カブドットコム証券の斎藤社長が「8月は日米政治リスクでダブルパンチも」との見解を述べたと伝えられた。21日には、榊原経団連会長が「(安倍内閣の支持率急落を)深刻な問題と受け止めている」と表明。「経済最優先の政策をしっかり推進し、デフレ脱却と経済再生を実現すれば、国民の支持も戻って来る」と述べた。憲法改正反対の趣旨とも取れなくもないが、内閣支持率の急落には、経済実感が好転しない国民の不満高まりがあると考えられる。16年8月の内閣府調査で「現在の収入に不満」が49.6%となり、「節約志向」が定着、賃上げとの好循環歯車を実現できていない。21日発表の経済白書は1990年代の経済危機の後遺症がデフレスパイラルから抜け出せない負の遺産としたが、何等かの突破口が模索されるタイミングにあると考えられる。



トランプ政権のロシア疑惑にしろ、安倍内閣の「傲慢批判」にしろ、プラス材料ではないが、直ちに政権が崩壊する話ではない。それほど相場に致命的な影響を与えているとは思われず、落ち着いた局面で、政策立て直しの動きが注目されるパターンになる。安倍内閣の行き詰まり感には、05年8月の小泉郵政解散前、14年10月の日銀ハロウィン緩和前と似た状況との見方も出始めており、抜本的な転換期待もある。中国では既に北戴河会議が始まったと観測され、江沢民氏欠席と伝えられる。中国情勢などの予想外の展開も「転機」となり得るので、「調整一巡感」をベースに市場動向を注視したい。



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出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/25号)