短期投機家・投資家の円の売り持ち高は前週の2014年11月以来の高水準から小幅減少した。市場が円の売り持ちに大きく傾斜したため、円が下げにくく、逆に上昇しやすい環境が続く。



今週は、税制改革や債務上限問題の進展を睨んだ展開となる。また、全米の製造業活動状況を示す7月のISM製造業景況指数やサービス業活動の状況を示すISM非製造業景況指数に加え、7月の雇用統計など主要経済指標が目白押しで結果に注目が集まる。年末の追加利上げの可能性やバランスシートの正常化開始のタイミングを判断する。また、英国中央銀行は金融政策決定会合で政策金利を過去最低の0.25%に据え置く見込み。



インフレの低迷が長期化する中、雇用統計では引き続き賃金動向がカギとなる。失業率は低下を続け、雇用も18万人程度の伸びが継続すると予想されている。平均時給は前月比で+0.3%と、6月+0.2%から上昇、前年比では+2.4%と、伸びは6月+2.5%から低下が予想されているが、予想を下回ると、年内の追加利上げ観測が後退。FOMCによる保有資産正常化の開始が先送りされるとの見方が強まり、一段のドル売り材料となる。4−6月期の国内総生産(GDP)の成長や雇用コストの伸びが予想に満たず、金利先物市場での12月の追加利上げ確率は低下。40%割れとなった。



一方、米国議会は早速、税制改革案の成立に向けた取り組みを始める。オバマケア廃止・代替法案の成立失敗の教訓を受けて、税制改革法案に向けた取り組みの指揮をとっているムニューシン米財務長官、コーン国家経済会議(NEC)委員長らは、与野党の協調を重視しているという。



オバマケア廃止・代替法案の成立失敗に続き、税制改革が失敗することは、トランプ政権、共和党にとり大打撃となる。オバマケア廃止・代替法案の成立を見込みメディケイド(連邦と州が負担し、州が運営する低所得者向け医療費補助制度)の支出を大幅に削減し、大幅減税の負担分を補う計画だったが、現状ではかなわない。



当初、やはり減税に費やす資金を捻出する手段としてライアン下院議長が提案していた国境税の導入も、新たな税制改革案には含まれないと報じられている。このままでは、期待されていた大規模な減税は困難となると考えられる。



トランプ政権内部では、ロシア絡みの疑惑が払拭しない中、スカラムッチ広報部長とプリバス首席補佐官の勢力争いが露呈するなど、混乱が後を絶たず、重要な経済政策の進展に支障をきたすとの懸念もある。米7月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は93.4と、市場予想93.2を上回り、速報値93.1から上方修正された。ただ、6月の95.1から低下し、2016年10月以来、米大統領選挙前の低水準に戻した。トランプ効果が消滅した。



■今週の主な注目イベント



●米国

1日:7月ISM製造業景況指数:予想56.4(6月57.8)

2日:メスター・クリーブランド連銀総裁、ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁が講演

3日:7月ISM非製造業景況指数:予想56.9(6月57.4)

4日:7月雇用統計:失業率予想:4.3%(6月4.4%)、非農業部門雇用者数:予想前月比+18万件(6月+22.2万件)、平均時給:予想前月比+0.3%(6月+0.2%)、前年比+2.4%(6月+2.5%)

7日:ブラード・セントルイス連銀総裁が米国経済に関し講演、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が講演



●英国

3日:英国中央銀行:金融政策決定会合で政策金利を過去最低の0.25%に据え置く見込み。カーニー英中央銀行総裁会見、インフレ報告:経済、インフレ見通し発表



●欧州

3日:欧州中央銀行(ECB)がeconomic bulletinを公表



●地政学的リスク

ガザ紛争

イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」

シリア

イエメン

トルコ