〇最高値更新に落とし穴論も活発〇



好決算のアップルが牽引役となって、NYダウは終値で初の2万2000ドル台に乗せた。最高値更新は6営業日連続。ドルは対ユーロで2年半ぶり安値の一時1.1909ドル。通貨安=企業収益好調=株高の構図が最も出ている市場となっている。



一方で楽観論を戒める議論も活発。20年間で8月が高かったのは5回しか無いとか、年初来の上昇がNYダウで11%、ナスダックが18%を超え、急ブレーキが掛かってもおかしくないとか、債券市場の急変に要注意とか、主に過去の経験則議論。日経平均を中心に、ボラティリティ・インデックス(VIX)の最低更新も話題だ。曰く、「年前半のVIXが低いともれなく後半は拡大」。ただ、私見ではVIXは証券ディーラーや一部ヘッジファンドのおもちゃ的存在だったため、参加者が激減し、動かなくなったものと解釈している。言わば、恐怖感を煽る小道具的存在だっと思われる。そう言った指標を失っていることも心理的に圧迫している可能性がある。メディアも警戒論の方が売れる(読まれる)と思っている可能性がある。



昨日、最も気になったのは米国の対中政策を中心とした議論に反応していない点。一つは、ティラーソン国務長官はイランの核合意を巡って、トランプ大統領と意見の食い違いがあり、2人で話し合ったと述べた。また、北朝鮮問題で、金正恩政権交代を目指しておらず、ある時点で対話することを望んでいると表明。高まる軍事行動圧力を牽制した。この意見の差が国務長官辞任論につながっていると見られるが、市場は今のところ注視していないように見える。なお、米空母2隻が中旬にも半島周辺で展開する予定と報じられた。対中通商交渉で「スーパー301条」復活の動きが出た。対北朝鮮対応の不満を絡め、1980年代の日米通商交渉のカードを持ち出した(ライトハイザーUSTR代表は、この時のUSTR次席代表)。大統領は中国の貿易慣行への対応策を近く発表すると伝えられたが、米中貿易への警戒ムードは出ていない。



モルガン・スタンレーは中国当局の取り締まり強化(資本流出、レバレッジ抑制)により、中国勢の海外不動産投資は今年84%、来年18%減少するとの見通しを発表した。NYの不動産売買の約30%、豪州で約25%が中国勢で、米、英、豪、香港のオフィス物件に注意とした。



ADP民間雇用報告は事前予想を小幅下回ったが、市場の反応は無かったようだ(2カ月連続裏目になっている)。週末の7月雇用統計で金融情勢が変化するとの警戒感も出ていないが、株高値追いとともに調整要因探しも活発化するものと思われる。米国内要因より、中国情勢を中心に、欧州との関係変化、中東・ロシア情勢などに注意したい。





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出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/8/3号)