シナリオプランニングとは、「必ず起きること」を予測するものではなく、むしろ「起きるか起きないかわからない」未来を複数描き、それに備えようとする方法論である。不確実性が増す現代を生き抜くためには、考えうる極端なシナリオをすべて描き出し、未来に何が起こるか、自分自身を取り巻く環境はどのような状態になり、どのような影響があるかを今から仮想的に経験しておくことが重要である。これによって、危機対応能力を高め、今からそれらのシナリオ下において何を準備しなければならないかが明確化することとなる。



「シナリオプランニング:戦略的思考と意思決定」の著者であるキース・ヴァン・デル・ハイデンによると、シナリオプランニングとは「未来の記憶」を行うためのものであるとしている。未来のシナリオには、それを作った人、読んだ人に新しい可能性を示し、視野を大きく広げる働きがある。この記憶によって、重要な変化の因子がストーリーとして理解でき、その変化の兆しが現れたらいつでも行動に移せるように準備することができるようになるのだ。



シナリオプランニングは予測とは異なるものである。予測とは基本的に「過去の延長線上で未来を考える」ものであり、現在の環境の構造が未来も持続することを前提としている。一方、シナリオプランニングでは「構造変化など根本的な変化が起こるかもしれない」ことを予測のプロセスとして取り入れる。物事にはすべて原因と結果(因果関係)があるが、シナリオプランニングの際には、この因果関係を徹底的に考え、それを積み重ねることによってストーリーを作っていくことになる。因果関係について考える訓練を重ねることで、現実の出来事の意味や背景、将来何が引き起こされるかが考えられるようになり、社会の根本を揺るがす重要な変化に際して、兆候となる些細なシグナルを素早く感知することができるようにもなる。



シナリオプランニングはもともと軍隊のものであったが、現在では企業の戦略策定のプロセスとして活かされている。シナリオプランニングによってビジネス環境の変化を認識し、それを分析する能力を身につけ、ビジネス環境の変化に耐えられる戦略をたてることができるようになる。つまり、シナリオプランニングとは、不確実な時代に対応できる「能力」を企業組織が身につけることで、成功を勝ち取る方法を提供するものといえる。



シナリオプランニングの実践であるが、「シナリオプランニング:戦略的思考と意思決定」におけるシナリオプランニングには、シナリオの作成、シナリオを使った戦略策定のふたつのプロセスがある。シナリオ作成プロセスでは、ビジネス環境などについてのシナリオを複数作成する。戦略策定プロセスでは、それぞれのシナリオが実現したと仮定して、現在の「事業の仕組み」がどう動くかを検証し、その検証結果をもとにして、どのような戦略をたてるかを考えていくことになる。



■フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議の主要構成メンバー

フィスコ取締役 中村孝也

フィスコIR取締役COO 中川博貴

シークエッジグループ代表 白井一成(※)



※シークエッジグループはフィスコの主要株主であり、白井氏は会議が招聘した外部有識者。



【フィスコ 世界経済・金融シナリオ分析会議】は、フィスコ・エコノミスト、ストラテジスト、アナリストおよびグループ経営者が、世界各国の経済状況や金融マーケットに関するディスカッションを毎週定例で行っているカンファレンス。主要株主であるシークエッジグループ代表の白井氏も含め、外部からの多くの専門家も招聘している。それを元にフィスコの取締役でありアナリストの中村孝也、フィスコIRの取締役COOである中川博貴が内容を取りまとめている。2016年6月より開催しており、これまで、今後の中国経済、朝鮮半島危機を4つのシナリオに分けて分析し、日本経済では第4次産業革命にともなうイノベーションが日本経済にもたらす影響なども考察している。今回の朝鮮半島についてのレポートは、フィスコ監修・実業之日本社刊の雑誌「JマネーFISCO株・企業報」の2017年春号の大特集「朝鮮半島有事の投資法」に掲載されているものを一部抜粋した。