世界銀行は「Global Waves of Debt」という報告書で、過去4回の「債務の波」を分析している。過去3回の波はいずれも景気後退あるいは景気減速につながった。2010年以降に発生している過去比類なき規模の「第4の波」では、特に中国非金融企業の債務拡大が目立つ。過去5年の中国の債務拡大ペースがアジア通貨危機当時のタイやマレーシアに匹敵するというのは何とも不穏である。



もっとも35.6兆ドルという非金融部門の債務(政府:7.1兆ドル、家計: 7.4兆ドル、企業:21兆ドル)のうち、対外債務は2兆ドルに限られる。中国企業債務のデフォルトが増えている点や、対外債務に占める短期債務依存度の高さには一定の警戒が必要ではあるが、非金融企業の債務が中国の家計部門によってファイナンスされているという点は押さえておきたい。



中国の金融資産取引表では、2010〜17年に企業部門は29兆元の資金不足であったのに対して、家計部門は43兆元の資金余剰であった。海外部門は12兆元の資金不足であり、海外部門が企業部門の資金不足をファイナンスしているわけではない。中国企業債務の拡大が国内の問題であるのなら、リスクが顕在化するかどうかは中国当局の意思次第ということになる。