新型コロナワクチン開発が一段と前進し、来年上半期にも広範に支給され、経済活動の再開が本格化しV字型回復への期待も広がり始めている。一方で、直近の経済は冴えなく、回復までの道のりは安易ではない。新型コロナウイルス感染の拡大や政府の追加経済対策の欠如で消費者信頼感の低下が顕著となった。米国経済の7割を占める消費が停滞した場合、成長が一段と滞る。



米商務省が発表した10月小売売上高は前月比+0.3%と、伸びは9月+1.6%から鈍化し過去最大の落ちこみとなった4月来で最小となった。変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比+0.2%。伸びはやはり9月+1.2%から予想以上に鈍化し、4月来で最小となった。特に国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、食品を除いたコントロールグループは前月比+0.1%と4月以降半年ぶりの低い伸びにとどまったほか、9月分も速報の+1.4%から+0.9%へ下方修正され、7−9月期GDPの伸びが下方修正される可能性や、10−12月期の回復が停滞した可能性が警戒される。最新の11月ミシガン大消費者信頼感指数も予想外に低下した。



新型コロナウイルスの感染再拡大で、連邦準備制度理事会(FRB)高官らの懸念も強まりつつある。パウエル議長は17日の討論会で、回復に短期的に著しい下方リスクがあると警告。回復ペースの鈍化を指摘したほか、回復は強弱まちまちだとの見方を示し、経済には財政、金融での支援が依然必要だと主張した。アトランタ連銀のボスティック総裁トランタ連邦準備銀行のボスティック総裁もCNBCとのインタビューで、ウイルスの再拡大が「短期的な懸念」で、米経済の下押し要因になるとの警告している。



ただ、ウイルスワクチン開発における前進は中期的な見通しにプラスになると指摘しており、多くのエコノミストの2021年の強い回復見通しを後押しする。ドルも当面もみ合いが続きそうだ。