防衛省によると、2020年12月22日、中国とロシアの爆撃機が日本海から東シナ海にかけて共同監視飛行を行った。中国軍はH-6爆撃機4機、ロシア軍はTU95爆撃機2機が参加し、日本海の竹島周辺、対馬海峡、沖縄本島と宮古島の間を飛行した。両国による共同飛行は昨年7月23日以来2回目であり、極めて異例な訓練である。航空自衛隊の中部航空方面隊、西部航空方面隊、南西航空方面隊が戦闘機を発進させて対応した。



ロシア国防省は、今回の活動について「両国の爆撃機により、共同作戦の遂行能力を向上させ、世界の戦略的安定を強化するものだ。また、予め計画された訓練であり第3国に向けたものではなく、領空侵犯もしていない」と飛行の目的などを説明した。しかしながら、飛行コースや中露両国の緊密な軍事協力体制の誇示という観点からすると、日米韓に対するけん制という側面もありそうだ。



この種の共同飛行においては、航法訓練や共同要領を主要な訓練項目として実施し、合わせて日本のスクランブルの対応状況、レーダーサイト、日米軍基地や港湾に対する情報収集や、模擬攻撃など攻撃手順の確認も行っていることが見積もられる。今回の共同飛行において、日本海上空での飛行の際にはロシア軍機が、東シナ海上空での飛行の際には中国軍機がリーダー機となり、それぞれの後続機を管制するという飛行方式をとり、具体的な共同要領の訓練が行われたとのことである。



12月25日、岸信夫防衛大臣は定例記者会見において「中国とロシアによる共同飛行に高い関心をもって注視している。引き続き、我が国の領土・領海・領空を断固として守るため、警戒監視活動に万全を期すとともに、国際法、自衛隊法に基づき、対領空侵犯措置に万全を期す」と強い決意を表明している。また、「中国については軍事活動の活発化が顕著であり、既存の国際秩序と相容れない独自の主張に基づき、力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続している。我が国の抗議にも拘らず、中国公船が尖閣諸島周辺の我が国領土への侵入を繰り返している。こういった行為は断じて容認できない。12月14日の日中防衛相会談において、我々の率直な意見、懸念をしっかり伝えた。主張すべきはしっかり主張し、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の前向きな対応を強く求めていくことが重要である」と、日本の立場を中国側に毅然と伝えたと述べた。





サンタフェ総研上席研究員 將司 覚

防衛大学校卒業後、海上自衛官として勤務。P-3C操縦士、飛行隊長、航空隊司令歴任、国連PKO訓練参加、カンボジアPKO参加、ソマリア沖・アデン湾における海賊対処行動教訓収集参加。米国海軍勲功章受賞。2011年退官後、大手自動車メーカー海外危機管理支援業務従事。2020年から現職。