中国国内で3回目となるデジタル人民元(DCEP)の実証実験が、中国南東部の深セン市で行われた。2月12日より始まる春節(中国の旧暦正月)を前に、1月7日から1月17日までの期間で実施された。深センでの実証実験は昨年10月に続き2回目である。3回目となる実証実験では、2,000万デジタル人民元(約3億円)を中国のお年玉に相当する「紅包」として抽選10万人の市民に配布された。1つの「紅包」あたり200人民元(約3,000円)が「紅包」として貰える計算である。対象利用者数は5万人から10万人の2倍、利用可能店舗数は3千数百店舗から1万店舗以上の約3倍に増加した。また、2回目の蘇州では、オフライン決済を実験したが、何らかの課題があったため、3回目の深センではオフライン決済は実施されなかったようだ。



一方、香港金融管理局(HKMA)は、DCEPの技術的な研究、検証を行っているという。中国本土との決済を視野に入れているとも考えられるが、それ以前に、香港国家安全維持法の制定により転機を迎えている一国二制度などの課題の方が大きいであろう。



香港金融管理局と中国人民銀行デジタル通貨研究所は、国境を越えた決済に利用するため、中国人民銀行が発行するデジタル人民元であるe-CNYの技術的なパイロットテストを協議しており、それに対応する技術的な準備を進めている。人民元はすでに香港で使用されており、e-CNYのステータスは現金流通と同じであるため、香港と中国本土の観光客にさらなる恩恵をもたらす。



また、米国のブロックチェーン企業であるConsenSysは、香港とタイが進めるクロスボーダー中央銀行デジタル通貨プロジェクト「Project Inthanon-LionRock」の支援企業に選ばれたと発表した。このプロジェクトは、分散型台帳技術(DLT)、いわゆるブロックチェーンが商業銀行間のクロスボーダー決済を強化する可能性を検討するもので、ConsenSysは同プロジェクトの「第2段階」に参画することとなる。国際金融セクターとしての香港は、今後も本土とは違った取り組みも模索していくことになるだろう。



株式会社CAICA 高松 良仁、鈴木 伸

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