市場では米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が75ベーシスポイントや1%といった大幅な利上げの可能性を否定したため、FRBが高インフレを制御できず、インフレ高進が警戒されている。



NY連銀の4月調査によると、1年のインフレ期待は中間で6.3%と、3月の過去最高を記録した6.6%から0.3%低下した。ガソリン価格の期待が大きく下げたことなどが背景となる。また、3年期待インフレ+3.9%と、3月+3.7%から0.2%上昇も、過去最高の4.2%は0.3%下回る水準で、インフレがピークに達した兆候も見られ始めた。ただ、消費支出は今後1年で過去最高となる8%増が予想されている。同時に、雇用への楽観的見方も依然高止まり。1年のうちに雇用を失うと予想している回答者は全体の10.8%にとどまり、過去最低に並んだ。



■NY連銀

1年期待インフレ+6.3%(3月+6.6%、過去最高)

3年期待インフレ+3.9%(3月+3.7%、過去最高は4.2%)



リッチモンド連銀のバーキン総裁は、75ベーシスポイントの利上げを巡る支持も除外しない、としている。一方で、アトランタ連銀のボスティック総裁は、「0.5%ポイントの利上げはすでにかなり積極的」との考えで、「0.5%以上の幅の利上げの必要性見られない」と主張。2会合、あるいは3会合0.5%追加利上げを実施し、その後、様子見する軌道を予想。結局、目標は政策金利を中立である2%-2.5%に戻すことだとした。さらに、利上げしても経済が勢いを保つことが可能だ、と自信を示した。



市場はワシントンで5月11日に発表される消費者物価指数(CPI)に注目している。FRBが特にインフレ指標として注目している燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で3月から伸びが鈍化する見込み。PPIも同様。3月にインフレがピークをつけたことがさらに証明されるかどうかに焦点が集まる。



金利の上昇が一段落した場合は、ドルの上昇も一段落する可能性がある。ただ、中国のパンデミックによる経済封鎖でサプライチェーン混乱が一段と深刻化する可能性があるほか、ウクライナ戦争の影響で、燃料や食料品、原材料価格の上昇が、インフレを一段と引き上げる可能性は依然リスクとなる。



同時に、成長減速の兆候も見られる。米商務省と類似したモデルを使用しているため、注目されるアトランタ連銀の4-6月期国内総生産(GDP)予想は+1.8%へ従来の+2.2%から下方修正された。民間の純国内投資が—1.3%から—2.8%へ引き下げられた。



第1四半期のGDP速報値は-0.4%と、予想外のマイナス成長に陥った。ウクライナ戦争が影響し、欧州などで景気後退入り懸念が強まる中、米国の今年上半期の経済や低成長にとどまる可能性がある。