NYの視点:米景気減速の兆候、10年債利回りは0.5%追加利上げ前の水準
労働市場のひっ迫が緩和する兆候も見られる。米労働省が発表した週次新規失業保険申請件数(5/7)は2.1万件増の21.8万件と4月末以来の高水準。失業保険申請件数も減少が一段落し、増加傾向にある。パンデミック時に景気回復を支えた住宅市場の成長も鈍化の兆しを見せた。全米不動産者協会(NAR)が発表した中古住宅販売件数の4月分は前月比-2.4%の561万戸と、予想564万戸を小幅下回り、20年6月来の低水準となった。住宅ローン金利の上昇や原材料価格の高騰で価格も上昇していることが背景になる。コンファレンスボードが発表した6カ月先の景気見通しを示す4月景気先行指数は前月比-0.3%と、予想外に1月来のマイナスに落ち込んだ。
米国債相場は反発。10年債利回りは5月連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が0.5%の追加利上げを決定する前の水準まで低下した。今後、労働市場のひっ迫が解消、需要も鈍化し、当初警戒されたような大幅な利上げは必要とならなくなる可能性も浮上しており、ドル買いも一段落している