今週は米国では引き続き米連邦準備制度理事会(FRB)の一段の利上げ減速の可能性を探る展開となる。材料としては、消費者物価指数(CPI)とともに重要なインフレ指標となる12月生産者物価指数(PPI)、重要経済指標の12月小売売上高、また、住宅関連指標に注目。さらに、イエレン米財務長官は米国債務が19日にも債務上限に達すると、警告しており、動向に注目される。イエレン長官は財務省が債務上限問題を巡り特別措置を講じる意向を表明。FRBの利上げ減速に加えてドル売り圧力になりうる。



変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアのPPIは前年比で5.4%増と、9カ月連続で伸びが鈍化、昨年5月来の低水準に改善することが予想されている。CPIに続きPPIでもインフレピーク達成が確認されれば、長期金利の低下に繋がる。また、12月小売売上高は11月に続き2カ月連続のマイナスで成長鈍化を証明する見込み。どちらの結果も予想通りとなると、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ減速の思惑を一段と強める見通しで、利上げ長期化観測が後退し、ドル売り圧力を強めると見る。FRBはまた、ベージュブック(地区連銀景況報告)を公表する予定。結果は今月末から2月1日にかけて開催されるFOMCで金融政策を決定する上での一部材料となる。各地区で、物価圧力の後退や消費鈍化などのコメントが見られると12月会合での0.25%利上げ減速予想がさらに強まりドル売りをさらに支援する可能性がある。



また、16日から20日にかけて、世界経済年次フォーラムがスィスのダボスで開催される。19か国の中銀総裁、56カ国の財務相も参加が予定されている。ラガルドECB総裁もダボス会議での討論会に参加予定で、世界経済や金融政策を巡る要人発言に注目される。



日銀は17日、18日に金融政策決定会合を開催する。市場は日銀がイールドカーブコントロール(YCC)を撤廃するなどの政策修正への思惑を強めた。日本の10年債利回りは7年ぶり高水準の0.545%と日銀上限超えとなり円の買戻しが加速。対ドルでは昨年5月来の円高を更新。会合に向けて円の買戻しが継続する可能性がある。万が一、予想外に日銀が大規模緩和を維持し、ハト派姿勢を維持した場合は、円売りが再燃することになる。



また、FRBに比べ、欧州中央銀行(ECB)がタカ派姿勢を強めるかどうかにも注目。ユーロ・ドルが上昇基調を続ける要因になる。



■今週の主な注目イベント



・16-20日:世界経済年次フォーラム(スィスのダボス)

20日:ゲオルギエバIMF専務理事やルメール財務相仏財務相が講演



●米国

16日:キング牧師の日で休場

17日:1月二ューヨーク連銀製造業景気指数、ウィリアムズNY連銀総裁

18日:12月小売売上高、12月生産者物価指数(PPI)、12月鉱工業生産、設備稼働率、11月企業在庫、NAHB住宅市場指数、11月対米証券投資、ベージュブック(地区連銀景況報告)ボスティック米アトランタ連銀総裁あいさつ、ローガン米ダラス連銀総裁講演、ハーカー米フィラデルフィア連銀総裁が講演

19日:12月住宅着工件数・建設許可件数、1月フィラデルフィア連銀景況指数、週次新規失業保険申請件数、コリンズ米ボストン連銀総裁、ウィリアムズNY連銀総裁が講演

20日:12月中古住宅販売(20日)



●日本

17日:コア機械受注

18日:日銀金融政策、黒田日銀総裁会見

19日:貿易

20日:CPI



●欧州

16日-18日:財務相会合

17日:独CPI、ZEW調査、ECBセンテノポルトガル中銀総裁がダボスで講演

18日:ユーロ圏CPI

19日:ECB、22年12月理事会会合要旨、ラガルドECB総裁、ダボス会議での討論会に参加

20日:独PPI



●中国

17日:小売売上高、鉱工業生産、GDP



●英

17日:失業率

18日:CPI

20日:小売売上高