NYの視点:米3月FOMCハト派利上げの見通し強まる
2月の雇用統計では雇用の伸びが予想を上回ったものの、賃金の伸びは予想以上に鈍化。失業率も予想外に上昇した。CPIも想定通り、前月から伸びが鈍化したことは利上げ鈍化を正当化する。
FRBの利上げ計画は銀行救済策と衝突してしまう。一部では依然、FRBの利上げを見送るとの見通しも存続。ただ、救済策自体がインフレ要因になるとの指摘もある。FRBはインフレ制御するための利上げ計画を維持し、3月FOMCで25ベーシスポイント(BP)の小幅利上げを実施するとの見通しが強まった。短期金融市場では3月FOMCでの25BPの利上げを8割織り込んだ。利上げ停止の予想は2割。一時8割織り込んでいた50BPの大幅利上げ予想はSVBやシグネチャー銀破綻後、市場でもはや予想されていない。
パウエル議長は前回のFOMCでの会見や上下両院での議会証言において、昨年の大幅な利上げによる経済への影響には時差があることを認識していることを示唆。小幅な利上げにより、その影響を把握することができるとしていた。
インフレは鈍化傾向にあるもののコアCPIは依然6%と、目標の2%をまだ上回る水準。SVBやシグネチャー銀破綻などを受け、小幅利上げにより、利上げによる影響を判断していく方針と見られる。議長が会見でハト派色を見せるハト派利上げが想定され始めた。