以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家Hama氏(ブログ「実践で学ぶ、負けない現代株式投資」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。



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※2017年6月19日7時 に執筆



「実践で学ぶ、負けない現代株式投資」のHamaでございます。



先週6月16日、日銀が大規模金融緩和の継続を決定しました。



本日は、ニュースでたびたび出てくる「金融緩和」について、その基礎的なお話をしたいと思います。



日銀が大規模緩和の継続を決定した、その2日前、米国の中央銀行に当たるFRBは、日本とは真逆の決定、金融の引き締め(縮小)を決定しています。



米国は日本に先立って、リーマンショックで落ち込んだ米経済を立て直そうと、2008年より大規模金融緩和を推し進め、世の中に大量のお金を供給し、これまで約10年間かけて景気を押し上げてきました。



そして、目下、米国は景気の安定浮上に目途がついたので、「そろそろ供給したお金を回収しはじめますよ」ということを決定したということです。



一方、日本はまだまだ景気の浮揚が見えておらず、「引き続き、大量のお金を供給し続けますよ」ということですね。



中央銀行が供給する「大量のお金」は、「マネタリーベース」「Monetary Base」などという言葉を使って表現されます。



読者の皆さんも、一度ぐらい聞いたことがある言葉だと思います。



良くご存知の方もいらっしゃると思いますが、初心者の方を対象にお話しをしますので、少々お付き合いください。



「マネタリーベース」と言われるとなんだか難しそうな言葉にも聞こえますが、



「マネタリーベース」を直訳すると、「お金のベース」。



つまり、「お金の基(もと)」ということになります。



その意味するところは「日銀が世の中に供給するお金の量」、過去から今までに供給してきた「お金の総量」ということになりますが、



何故「Monetary Base」=「お金の基」などと小難しい言葉を使うのでしょうか。



世の中の経済活動は、中央銀行(日銀)が世の中にお金を供給することがすべての基になっているため、各国の中央銀行が供給するお金(銀行券等)の総量を、「経済活動で流通することになるお金の基」という意味で、今は世界的に「Monetary Base」と呼ぶんですね。



そのマネタリーベース、



日銀は、毎月大量の国債を市中銀行から買い取ることで、年間80兆円のお金を世の中に供給し続けています。ご存知の通り、マネタリーベースにして年間80兆円の量的緩和を続けているということです。



実際に、日銀がホームページで毎月発表するマネタリーベースの月次報告を確認すると、平均して毎月7兆円ずつ世の中にお金を供給していることが分かります。



日銀は2014年10月末の日銀会合の決定に従って、年間80兆円に相当するマネーを日本経済に供給し続け、先週6月16日の日銀政策決定会合でもその方針を継続することを決めたという訳です。



マネタリーベースの中身の分類は別の機会に譲るとして、



日銀のホームページを見ると、日銀がこれまでに供給したお金の量は、2017年5月末時点で、総額:4,559,954億円(約456兆円)となっています。





大まかに言えば、日銀が世の中に供給した456兆円という「お金を基」にして、経済活動が行われているということになります。



では米国のマネタリーベースはどうでしょうか?



日銀同様に、米FRBも毎月の「マネタリーベース」をホームページで公表していますが、米国FRBは、2008年の金融危機以降に大規模な量的緩和を3段階で行いました。



QE1、QE2、QE3



そして、2015年12月に「緩和」から「引き締め」に転換、



現在も「引き締め策」の一部となる「利上げ拡大」が世界中の市場の焦点となっていますが、先ほど述べた通り、まさに先週6月14日に、追加の利上げを決定すると共に、年内の早い時期に、「お金の回収を始める」と宣言したのです。



FRBのホームページによると、米国がQE1〜QE3の大規模緩和を通して供給した米ドルの総量は、「マネタリーベース」で2015年10月にピークを付けた4.06兆ドル



これを分かりやすく現在の為替レート、1ドル110円で単純計算したとして、米FRBは総額「446兆円」のお金を世の中に供給したところで、金融緩和から手を引いたことになります。



本来的には、緩和終了で利上げを行い、その後、抱えている国債を売却することでドルを回収し、引き締めが行われるわけですが、FRBの当面の方針は、国債を満期まで保有し、償還によって得られるマネーを再投資に回さない様にすることで、緩やかにお金を回収していくことを模索しています。



ところで、先ほど日米のマネタリーベースを確認した通り、日銀が供給してきたマネーの総額は、既に、米国金融緩和のピークである約450兆円を追い抜くまでに膨れ上がっているということになります。



欧州中央銀行ECBも大規模緩和を続けていますが、マネタリーベースでは、今のところ日、米の規模には及びません。



日銀が、仮に年間80兆円のマネー供給を続ければ、マネタリーベースは今年の年末に500兆円を突破します。マネタリーベースを、各国の経済規模に照らして考えた場合、米国、欧州のマネタリーベースは、ピーク時でも対GDP比で25%程度までにとどまっており、日本のGDP500兆円からすれば、今年の年末にはGDP比100%超えという突出したマネー供給を行うことになります。



ちなみに、



米国は2015年12月の利上げ以降、マネタリーベースは減少しており、5月時点で3.77兆ドル(約415兆円)となっています。



日本の金融緩和は、その額も、経済規模(GDP)に対する比率も、世界で未知の領域に足を踏み入れていることがご理解いただけると思います。



それでも浮揚しない日本経済。もはや日本経済浮揚のカギは、金融緩和にあらず。最近はそんな空気さえ漂っています。



本日は、株式投資にも大きくかかわる「マネタリーベース」についてご理解いただくため、日本および米国の現状と併せて、基礎的な話をさせていただきましたが、その意味と、現状は多少ご理解いただけたでしょうか?



実は、この日米のマネタリーベースの差が、株式市場にも大きく影響する為替を動かすことになるという話がありますが、トランプ大統領が、日本を「為替操作国」と批判する背景は、日本が供給し続ける巨額のマネタリーベースを念頭に置いているものと思われます。



先週の「購買力平価」と並んで、為替の動向を占ううえでも気になるところですが、この話はまた別の機会にしたいと思います。



少々話が長くなってしまいましたが、本日は日米で旬な話題、「金融緩和」の基礎ということで、「マネタリーベース」について触れてみました。



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それでは、ブログにてお待ちしております。





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執筆者名:Hama

ブログ名:実践で学ぶ、負けない現代株式投資