■ドル弱含み、インフレ抑制を意識してドル売り強まる



先週のドル・円は弱含み。26日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明でバランスシートの縮小開始時期を明示しなかったことや、28日発表の4-6月期雇用コスト指数が市場予想を下回ったことがドル売りにつながった。4-6月期の雇用コスト指数は+0.5%にとどまり、1-3月期の+0.8%を下回った。雇用コスト伸び率鈍化はインフレ抑制の一因になるとの見方が広がり、米長期金利は低下した。



トランプ政権の政策実現性に対する懐疑的な見方が広がったこともドル売り材料となった。米上院で医療保険制度改革法(オバマケア)の一部を廃止する法案が否決されたことから、税制改革に向けた取り組みにも影響を与えるとの懸念が生じている。

また、米トランプ政権と議会共和党指導部が「国境での課税調整」を税制改革案に盛り込まないことを表明したことは、減税規模の縮小につながるとみられている。大規模減税による株高期待やインフレ進行の可能性は主なドル買い材料となっていたが、税制改革への市場の期待は低下し、リスク選好的なドル買いは縮小した。



28日のニューヨーク市場では、インフレ抑制の思惑が広がったことや北朝鮮のミサイル発射報道を受けてドル売りが優勢となり、ドル・円は一時110円55銭まで下落し、110円70銭でこの週の取引を終えた。取引レンジ:110円55銭-112円20銭。



■ドル・円はもみあいか、トランプ政策とFRBの引き締め方針を見極め



今週のドル・円はもみあいか。米7月雇用統計などの主要経済指標を点検し、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を探る展開となりそうだ。一方、ヘルスケア法案の審議をめぐりトランプ大統領の議会運営は混とんとしており、政策実現への不安がさらに高まればドル売りが強まる可能性がある。



足元で発表された経済指標が強弱まちまちだが、インフレ抑制のデータが増えており、FRBの利上げ継続方針には懐疑的な見方が広がっている。このため、インフレ関連指標を中心に経済の動向に対する市場の関心は一層高まる見通し。雇用統計などが低調だった場合、利上げ継続への期待はさらに後退し、ドル売りが優勢となりそうだ。



米上院で医療保険制度改革法(オバマケア)の一部を廃止する法案が否決されたことや、米トランプ政権と議会共和党指導部が「国境での課税調整」を税制改革案に盛り込まないことを表明しており、トランプ政権が計画する経済政策は実現困難との見方が広がっている。1ドル=110円近辺では顧客筋や機関投資家のドル買いが想定されているが、減税規模縮小の懸念は市場センチメントを悪化させる要因となるため、ドルの上値は重い状態が続くことになりそうだ。



【米・7月ISM製造業景況指数】(8月1日発表予定)

7月ISM製造業景況指数は、56.2と6月の57.8を下回る見通し。新規受注や生産が市場予想を下回った場合、製造業の業況悪化に対する警戒感が浮上し、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ継続の期待はさらに後退しそうだ。



【米・7月雇用統計】(8月4日発表予定)

7月雇用統計は、失業率4.3%(前回4.4%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.3万人(同+22.2万人)、平均時給は前年比+2.4%(同+2.5%)と予想される。足元はインフレ関連指標が注目されており、平均時給の予想下振れはドル売り要因になる。



予想レンジ:109円50銭−112円50銭