以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家さっかく氏(twitter「@sakkaku2013 」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。



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※2017年7月29日18時 に執筆



皆さんこんにちは、FISCOソーシャルレポーターのさっかくです。



本稿では、米国金融市場から発せられる警戒シグナルの解説と現状、そして今後のリスク要因について書かせていただきます。



☆米国金融市場の重要性

アメリカの金融市場が風邪を引けば、それはグローバル化した金融マーケットにおいて他国へと即座に伝染します。米国発以外の危機において相場が50%以上の下落を見せたことはあまりなく、筆者は基本的には“米国発以外の危機は買い”のスタンスをとっています。逆に言えば、米国発の危機では大きな下げが想定されると考えています。





☆警戒を示す指標

米国の株式市場は極めて堅調な値動きを見せている一方、誰もが高値警戒感を抱いています。米国市場において警戒を示すシグナルをいくつかご紹介します。



・益回り-10年債スプレッドの縮小

益回り(100÷PER)とは、株式の年間リターンをPERから算出したものです。PERをパーセントに変換することで、“株式”と“債券をはじめとした他の金融商品”とを比較することが可能になります。S&P500のPERは18.9倍(以下全て執筆時点)で、“益回り”は5.3%と算出されます。



一方で、無リスク資産である“米10年債利回り”は2.3%です。つまり、無リスクの債券を選択する代わりに、“株式市場のリスク”を取ることにより得られる追加リターンは5.3%-2.3%=3%と算出できます。これを“益回り-10年債スプレッド”と呼び、株式市場でリスクを取ることにより得られる、追加リターンの大小を判断する指標として用いられています。



現在の3%というスプレッドは低水準であり、債券と比較した株式の相対的優位は薄れつつあります。



・イールド・ハンティング(利回り追求)の姿勢

イールド・ハンティングとは、より高い利回りを求めて、ハイリスクの金融商品に資金が向かうことをいいます。ハイ・イールド債(低格付け債券)にはそれが顕著に表れており、より高い利回りを求める投資家の資金流入が続いています。最近話題になっている仮想通貨への資金流入も、イールド・ハンティングのあらわれかもしれません。



利回り追求が起きているということは、投資家がリスクに対して鈍感であることを意味します。換言すると、何か突発的なテール・イベント(予期されていない事象)の発生に対して市場が無防備であると言えます。投資家がリスクを軽視して、リスクに無防備であることが、利回り追求の姿勢から確認できます。



・イールド・カーブのフラット化

イールド・カーブとは残存期間が異なる債券利回りをグラフ化したものです。一般的にイールド・カーブの傾きが緩やか(フラット化)すると、債券市場が将来の景気後退を示唆していると判断します。現在の米国債券市場ではイールド・カーブのフラット化が起きています。ITバブル崩壊前や住宅バブル崩壊前にも同様の現象が観察されました。





☆きっかけ待ちの相場

複数の指標が米国相場や米景気に対して警戒を示しており、景気後退の必要条件はそろっていると言えます。現在の相場は、景気後退の“十分条件となるカタリスト(きっかけ)”を待っている状態であると言えそうです。換言すれば、“きっかけ”がはっきりと見えてこないため、ダウやナスダックは市場最高値を更新していると捉えることもできます。



宴を終わらせる“きっかけ”は複数考えられます。例えば、FRBの金融引き締めに景気が耐え切れず、景気が腰折れするリスクが考えられます。景気が弱いにも関わらず、中央銀行が金融引き締めを断行すれば、景気を過度に失速させるリスクがあります。これは、いわゆるオーバー・キルと呼ばれる現象です。



別のシナリオとしては、長期金利急騰による相場崩壊の可能性が挙げられます。FRBのバランスシート縮小による、債券への再投資減額をきっかけに、これまで低位で抑えられていた長期金利に上昇圧力が働きます。長期金利上昇に対する抑制が効かず、金利急騰に相場が耐えられなくなる可能性も考えられます。





☆心構え

ひょっとすると我々は、バブルの渦中にいるものの、それに気づいていないだけかもしれません。熱狂に巻き込まれることなく、冷静でいる。そしてリスクに敏感になれば、来たるXデーにおいても即座に行動を起こすことができます。下げ相場で生き残れば、その後の上げ相場において大きな利益を出すことができます。



どのような相場環境においても、常にリスクに対して敏感になり、“生き残ることが第一”だということを忘れることなく、投資を続けていきたいものです。





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執筆者名:さっかく

twitter:@sakkaku2013