2017年8月2日(日本時間)にビットコイン(Bitcoin)から分岐して誕生した「ビットコイン・キャッシュ(Bitcoin Cash)」とは、ビットコインと何が違うのか? またどのようにして誕生したのだろうか。この背景には、ビットコインの取引処理能力(スケーラビリティ)があまり多くないという点が挙げられる。



ビットコイン取引のデータ容量処理の上限値は、約10分間に1MBまでと定められている。ビットコインの価格と時価総額が上昇して投資家も増えるにつれ、ビットコインの取引量がこの取引処理能力の上限値に急接近してきたことで、この上限値の問題をどう解決するかについて議論がなされてきた。そして、こうした議論に誘発された形で8月2日(日本時間)にビットコインから分岐して誕生したのがビットコイン・キャッシュだ。



ビットコイン・キャッシュは、オリジナルのビットコインのデザインに課されている1MBという上限を8MBにまで引き伸ばすことを目標としている。これまでビットコインの技術開発に主に携わってきたビットコイン・コア(Bitcoin Core)と呼ばれる開発者チームと対抗する形で、元Facebookの開発者であるアモリ・セシェ(Ameury Sechet)氏が率いるグループが提案したのがビットコイン・キャッシュだ。



ビットコイン・コア開発者が提案したビットコインの取引処理能力に関するアップグレードソリューションは、データ容量の上限値を引き伸ばすことなくより多くの取引を処理できるようにする「セグウィット(Segregated witness)」と呼ばれる解決策だった。ビットコイン・キャッシュはこれに同意せず、あくまでデータ容量の上限値を引き上げるという方法を実現するためにビットコインと袂をわかったことになる。



ビットコインの発行にはマイニング(採掘)と呼ばれる取引承認作業が必要で、承認作業をしたものには報酬としてビットコインが支給されるため、マイナー(採掘者)と呼ばれる個人や営利目的の企業が多大な電力を消費してコンピューターに計算作業をさせている。ビットコイン・コアの提案はこのマイナー達の利益に結びつかず、マイナー側から自己の利益を損なわない提案として産まれたものがビットコイン・キャッシュだという見方もある。





ビットコイン・キャッシュは8月2日に分岐がスタートした。2日以前にビットコインを所有していた人は、自動的に同額のビットコイン・キャッシュを所有する権利を有することになる。8月3日時点ではビットコイン・キャッシュ価格はビットコインの約16%に当たる440米ドル前後で取引されているが、前日の2日に比べて価格はやや下落している。またその発行速度は順調ではなくビットコインに大きく遅れをとっており、



ただしビットコイン・キャッシュの分岐開始より、国内の取引所は大半がビットコインを顧客の資産として認めて出入金に対応する予定としている他、さらにいくつかはその取引サービスも取扱う見込みであることを言明している。



8月1日以前にビットコインを所有していた者から見れば現時点のビットコイン・キャッシュは自然発生的に所有することとなった市場価値のある仮想通貨だ。ビットコインとは異なる性格の仮想通貨であることと、まだ誕生したばかりで技術的にも不明点が多いことなどを踏まえた上で市場の動向を見守っていくことが得策とかんがえられる。