2018年はアメリカのトランプ大統領の支持率低下に拍車がかかり、政策運営の行き詰まりは必至です。一方、安倍晋三首相は党内の人材不足から続投が見込まれるため、安定感による逃避マネーの流入は避けられません。日米の政治情勢をみると、2018年はドル安・円高に振れそうです。





トランプ政権の目玉である税制改革は年末に成立したものの、政権支持率の上昇にはつなげられませんでした。2年目の2018年は本丸であるインフラ整備に踏み切る方針で、年明けにも枠組みが発表される見通しです。事業規模は1兆ドルにのぼるとみられていましたが、税制改革同様、財政赤字を拡大させることになるため反対意見は多く、骨抜きにされるのは明らかです。関連株は失望で売られ、ドルは押し下げられるでしょう。





アメリカでは来年11月6日に中間選挙が予定されています。下院435、上院34の議席が争われます。下院で民主党は過半数獲得に25議席を上積みする必要がありますが、過去に遡れば40-50議席が入れ替わるケースも珍しくありません。他方、上院では共和党は8議席を守れれば現状を維持できます。ハードルは決して高くありませんが、トランプ大統領の不人気ぶりを考慮するとそれも難しそうです。





連邦準備制度理事会(FRB)が現状を「完全雇用に近い状態」とするなか、トランプ政権が雇用増大を掲げインフラ整備に着手しても劇的な改善は見込めないでしょう。しかも政策内容は大幅に後退し、それでも法案成立が困難となって政治情勢を嫌気したドル売りが進むかもしれません。もっとも、かつてのブッシュ政権で同時多発テロを機に国民の支持が高まった例はありますが・・・。



逆に、日本の政治関連のイベントは春先の日銀人事と9月の自民党総裁選ぐらいしか見当たらず、安定した1年が予想されます。





注目の日銀正副総裁人事については、黒田総裁は就任以来の目標である物価上昇2%の目標を達成できず、再任は難しいと思われます。ただ、足元で名前の挙がる次期総裁候補も金融緩和に積極的です。日銀人事は国会の同意を必要とするものの、最終的には内閣が任命するため安倍政権の意向が強く反映されます。安定政権を前提とした政治情勢のもと、従来のように緩和的な金融政策が引き継がれ、株安・円安基調は継続すると見込まれます。





では自民党総裁選はどうなるでしょうか。総裁任期は今年3月、2期6年から3期9年に延長されました。国内メディアの世論調査によると、安倍首相の3選を望まない人が半数以上にのぼり、不支持率も支持率を逆転しています。しかし、総裁選は自民党の党員や国会議員が選ぶ選挙で、一般の有権者の意思は反映されません。安倍首相が国政選挙5連勝の実績を掲げて立候補すれば、圧勝以外のシナリオがあるでしょうか。





このような閉塞的な政治に対する有権者の不満は、2019年7月の参院選に向けて醸成されるはずです。ただ、希望の党や民進党といったぼやけた色彩で存在価値を失った野党が結集しても、結局は与党をアシストし、安倍首相を退陣に追い込むことは難しいでしょう。こうして、日本の政治に安定性が増すほど、日本以外でリスクが生じた場合には円がより逃避マネーを引き付けてしまう可能性があります。



(吉池 威)