【今週の概況】

■米国株式反落もドルは下げ渋る



今週のドル・円は強含み。安倍首相の辞意表明(8月28日)を受けて、週初はリスク回避的な円買いが先行し、8月31日にドル・円は一時105円30銭まで下落した。しかしながら、日本銀行の金融緩和策は長期間維持されるとの見方が広がったことや、首相後継者選びを巡る日本の政局不安は大幅に緩和されたことから、リスク回避の円買いは縮小。ドル・円は9月3日の欧米市場で106円55銭まで買われた。同日の米国株式市場で主要株価指数は大幅安となったが、リスク回避的な円買いは拡大せず、ドル・円は106円台を維持した。



4日のニューヨーク外為市場でドル・円は106円台前半から106円51銭まで買われた。



この日発表された8月米雇用統計で失業率は予想以上に低下し、非農業部門雇用者数は市場予想を上回る増加を記録したことから、ドル買いは一服し、ドル・円は106円24銭でこの週の取引を終えた。今週の取引レンジは105円30銭から106円55銭となった。

・取引レンジ:105円30銭−106円55銭



【来週の見通し】

■もみ合いか、米国金利の先高観は一段と後退



来週のドル・円はもみ合いか。米連邦準備制度理事会(FRB)は追加の金融緩和を検討しており、9月15-16日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フォワードガイダンスの強化や量的緩和策の拡大について議論される可能性がある。8月米雇用統計は市場予想を上回る内容だったものの、米連邦準備制度理事会のパウエル議長は「8月雇用統計は良い結果だったが、我々は活動を支援するために経済には長期にわたる低金利が必要と考えている」との見方を伝えており、米国金利の先高観は一段と後退している。ただし、ユーロやポンドなどの欧州通貨に対するドル買いは継続する可能性があるため、短期的にはドル・円の取引にも何らかの影響が及びそうだ。



欧州中央銀行(ECB)は10日開催の理事会で緩和政策の拡大に踏み切るとの観測から、ユーロ売り・米ドル買いの取引が一時的に増える可能性があり、この局面でドル売り・円買いの取引はやや縮小するとの見方が出ている。3日の米国株式は大幅安となったが、上昇局面における調整安の範囲内とみられ、米国株式の先高観は失われていないようだ。ペンス米副大統領は4日、「パンデミック救済策の合意なくても政府機関閉鎖は回避することで民主党と政府は合意した」と伝えており、追加経済支援策導入への期待は低下したが、米国経済のゆるやかな回復への期待は持続しており、リスク回避的なドル売り・円買いがただちに拡大する可能性は低いとみられる。



【米・今週分新規失業保険申請件数】(10日発表予定)

10日発表の今週分新規失業保険申請件数は、さらに減少するかどうか注目される。失業者数は高止まりしており、制限措置の緩和のトーンダウンなら株安・ドル高を招きやすい。



【米・8月消費者物価コア指数(CPI)】(11日発表予定)

11日発表の8月消費者物価コア指数(CPI)は、前年比+1.6%と7月実績と同水準となる見込み。実質金利のマイナスが続くとの思惑が広がれば、ドル売り要因となろう。



予想レンジ:105円00銭−107円50銭