【今週の概況】

■英・EU通商合意で投資家心理は改善



今週のドル・円は下げ渋り。英国と欧州連合(EU)が自由貿易協定(FTA)などで12月24日までに合意に達し、投資家心理は改善したことから、リスク回避的な円買いは縮小した。ドル・円は12月21日に103円25銭から103円89銭まで買われた後、22日に103円28銭まで下落したが、その後は103円台半ば近辺でもみ合う状態が続いた。欧米諸国などで新型コロナウイルスの変異種が確認され、感染拡大が警戒されているが、米国では来年2月末までに合計1億回分のワクチン供給を目指しており、英国などでもワクチン供給が増えていることから、リスク回避的な取引は拡大しなかった。



なお、12月25日は欧米市場がクリスマス休場のため、ドル・円などの主要通貨の為替取引は動意薄となった。ドル・円は103円43銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:103円25銭−103円89銭。



【来週・再来週の見通し】

■底堅い値動きか、安全逃避的なドル買い継続も



来週・再来週のドル・円は底堅い値動きか。米追加経済対策の早期実施は不透明となり、市場の混乱を回避するための安全逃避的なドル買いが続く可能性がある。新型コロナウイルス変異種の世界的まん延が不安視されており、安全通貨のドルは売りづらい展開となりそうだ。9000億ドル規模の米経済対策はようやく与野党間の協議が決着し議会を通過したものの、トランプ大統領が部分修正を求めており、12月28日のつなぎ予算の期限切れ前に議会での修正は不透明な状況。つなぎ予算が失効した場合、29日から政府機関の一部閉鎖などの事態も想定される。この場合、株式や商品からドルや米国債に投資資金が向かう展開となろう。



米国でのコロナ感染が深刻化するなかファイザー製ワクチンの接種が始まり、モデルナが開発中のワクチンも緊急使用も認可された。ただ、感染力が強いとされる変異種が英国を中心にまん延し、これまで開発されたワクチンの有効性に関心が集まり、リスク許容度は低下している。



一方、米経済指標は強弱まちまちで見極めにくく、1月8日発表の12月米雇用統計が注目される。雇用拡大のペースが鈍化すれば、リスクオフのドル買いが強まるとの見方が出ている。米連邦準備制度理事会(FRB)が、1月6日に公表する12月15-16日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨も材料視される。実質ゼロ金利は長期化するとみられ、ドルの戻りを抑制しよう。



【米・12月ISM製造業景況指数】(2021年1月5日発表予定)

1月5日発表の米12月ISM製造業景況指数は56.5と、11月の57.5を下回る見通し。コロナまん延で制限措置の強化による影響が示され、株売り・ドル買い要因となろう。



【米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨】(1月6日発表予定)

米連邦準備制度理事会(FRB)は、1月6日に12月15-16日に開催したFOMCの議事要旨を公表する。金融緩和策長期化の思惑が台頭した場合、ドル売りがやや優勢となりそうだ。



【米・12月雇用統計】(1月8日発表予定)

1月8日発表の12月雇用統計は、失業率6.8%、非農業部門雇用者数は前月比+6.3万人と予想される。雇用回復ペースは鈍化し、米国経済の早期正常化への期待は後退することから、米国株式は下落する可能性があるが、ドルや米国債に投資資金が向かう可能性がある。



予想レンジ:102円50銭−105円00銭